2014年9月議会 討論
◎平成25年度箕面市特別会計国民健康保険事業費決算認定の件
認定第3号、平成25年度(2013年度)箕面市特別会計国民健康保険事業費決算認定の件について、反対討論を行います。
2013年度の決算は、医療費が当初予算に比べ大幅に減少し、約1億9000万円の単年度黒字になりました。また保険料収入も前年度対比で約2.5ポイント上がっています。
一方、一人当たりの保険料は105,102円で、前年の104,021円から約1,081円のアップとなっています。これは、総所得208万円の一人世帯では、32万8800円、子ども2人の4人世帯では47万1210円という保険料となっており、この場合は所得比の22.6%にも及んでいます。非常に家計を圧迫する、厳しいものになっていることが分かります。とくに国保の加入者の多くは非正規雇用の労働者や零細事業者、年金生活者などの低中所得者層です。
ちなみに、北摂7市のモデル世帯国民健康保険料を比較すると、2013年度の総所得208万円一人世帯では、摂津市が25万760円、豊中市は28万5,552円、茨木市28万5,745円であり、7市の中でも箕面市がこのモデル世帯では最も高額でした。同じく2人世帯、3人世帯、4人世帯においても、それぞれ箕面市はもっとも高い保険料となっています。
私は、国保料金を設定する際には、机上の論理で考えるのではなく、それぞれの世帯の暮らしがどうなるのか、想像力をもって可処分所得を想定し、そのうえで適切な料金とはいくらまでが妥当なのかを検討するべきだと考えています。
もちろん国民健康保険制度が、このような事態になっている構造的な諸問題を国が解決しなければならないことはいうまでもなく、これまでも市や議会がたびたび改善策を求めてきたところです。
しかし国の改善策を待つまでの間、基礎自治体は住民の命を守り、福利の向上をはかるという使命があるので、国保会計の赤字を穴埋めするために法定外繰り入れを行っています。2013年度、箕面市は4億円の法定外繰り入れを行いましたが、近隣市の2012年のデータでは、茨木市が約11億円、類似団体の大東市では約7億9000万円を繰り入れています。
箕面市も過去にはもっと法定外繰り入れをおこなっていました。1998年に6億7,000万円、翌1999年には7億2,000万円、2000年には5億円を繰り入れており、2001年の時点で累積収支は3億1,000万円の黒字でした。翌年の2002年の繰り入れは1億3,000万円で、このとき初めて4億円の赤字に転化しています。以後3年間は繰り入れをやめたため、2005年には19億3,000万円と累積赤字が膨らみました。そして、2006年からは2年間、5億円を繰り入れたものの、単年度赤字を補填するには2億円強が不足していました。2008年から2011年まではさらに4億円に削減したため、累積赤字がとうとう32億円になったものです。
この累積赤字問題について、さまざまに議論されてきましたが。観点を変えれば、毎年約5億円程度を繰り入れてさえいれば今日のような累積赤字は発生せず、若干黒字の収支になっていた計算になります。つまり、今日の赤字は、国保制度の構造的な諸問題のほかに、適切な法定外繰り入れを行わなかったことが要因であるともいえます。
さて、2013年度は、収納率の向上をめざした取組みや、特定健診未受診者へのアンケート調査・分析など、担当課においてさまざまに努力されてきたことは、評価したいと思います。けれども、滞納対策強化の一方で、滞納処分が行われ、短期証の発行が583件、資格証が114件となっています。とくに資格証は2012年度の88件から大きく増加しています。かつての箕面市は命に係わる問題であるため、資格証の発行は控えてきました。医療窓口で10割を負担するというのは、滞納を重ねている世帯においては、ほぼ医療機関にかかれない、ということを意味します。悪質な滞納者に対する制裁ということだと伺っていますが、家族、たとえば18才以上の未成年者には過酷な措置であると考えます。
何よりも、医療にかかれない、初期治療ができず、重篤になってしまうということでは、この制度の意味がなくなってしまいます。また市の財政支出増にもつながります。
国民健康保険制度は社会保障制度であることの意味を考えると、保険料の設定や、単年度で1億9000万円の黒字であるにもかかわらず、この黒字分が全額累積赤字の解消に使われたことなど2013年度の執行状況は適切であるとは考えにくいため、決算認定には賛成できません。
以上、反対討論といたします。
◎第79号議案 箕面市証明その他の手数料条例改正の件
第79号議案 箕面市証明その他の手数料条例改正の件につき、反対の立場で討論します。
この条例改正案は、「『大阪府から権限移譲を受けた介護保険法に基づく指定居宅サービス事業者の指定等の事務』、ならびに『従来から市町村事業として実施している地域密着型サービス事業者の指定等の事務』に係る経費について、受益者負担の観点から、事業者の指定の申請・更新業務に係る手数料を該当事業者から徴収するため」とされています。要するに、介護保険法によるサービス事業である通所介護やデイサービス、ケアメネージャーがケアプランを作成する事業所などの申請手続きを行うとき、事業者は従来無料であったのが、来年度からは有料となり、手数料として3万円〜6万5000円、更新だけなら1万円が必要になる、というものです。
さて、反対理由の1点目は、手数料制導入による事務の有料化について大阪府が受益者負担という原理を使い、かつ箕面市も追随する、という件についてです。介護保険サービスの申請手続き等は「益を受ける」というべきなのか。益を受けるとしたら、誰がどのような益を得るのか、と説明を求めましたが、納得のいく説明は得られませんでした。介護保険制度に基づく事業は営利追求が目的ではない場合が多いため、受益者負担主義の導入は馴染まないと考えます。
また、委員会質疑やその後の担当部局への確認のなかで、「原因者負担」であるという考えが示されました。この「原因者負担」とは、「課題解決のため、その原因を発生させたものが自らの負担で対応すること」「特定の個人や事業者の行為が公共サービスを行うべき原因となっているものがあり、そのための経費を原因となっている特定の個人や事業者から徴収すること、と認識しています。たとえば、放置自転車の撤去や保管費用の徴収などがそれにあたりますが、介護保険サービスの提供や、要介護・要支援の利用者を、サービスを行うべき原因を発生させたと位置付けるのはいかがなものでしょうか。利用者は介護保険料を払い、かつサービス受給時にも1割を負担しています。やはり、この考え方も馴染まないと考えます。
2点目に、大阪府から権限移譲を受けた時点では「受益者負担」主義、原因者負担主義ではなかったのに、移譲後、数年たってから大阪府が受益者負担主義に転換し、手数料制を求めてきたことです。民生常任委員会での質疑では、権限移譲と交付金制度から手数料制に変更することとは別もの、というようなご答弁でした。しかし、権限移譲を受けた時の条件を継続させるのが筋ではないでしょうか。2011年から2012年に、権限移譲にかんする議論を何度も重ねましたが、やがて大阪府がハシゴを外すのではないか、という懸念に対しては、市はそのようなことのないよう、しっかり大阪府と協議する、という考えを明らかにされていました。現に、手数料制の導入にあたっては、2011年に大阪府から提示があったが、市は抵抗したとのことでした。今になって思えば、もし2011年に手数料制の導入が決まっていたら、議会は権限移譲に同意しなかったかもしれません。権限移譲と手数料制は別物だといわれても、タイミング的にみて釈然としません。
3点目に、「経過措置」ということで、2015年に約105万円、2016年に約61万円、2017年に43万円くらいの想定額が大阪府から権限移譲に係る事務費交付金措置が行われる、とのことです。手数料制は2015年から開始されるとのことですが、事業者に対し「経過措置」として手数料が減額されることはなく、市はいわゆる二重取り状態になります。
4点目に、交付金制を継続するか、手数料制に移行するかは、じつは箕面市は選べるのだ、という点です。大阪府は、「経過措置」という名のインセンティブをもって手数料制への移行を促し、箕面市はそれを受け入れた、ということです。権限移譲を受けた箕面市が、府に対ししっかり交付金を求めていく、という筋を通してほしかったと思いますし、仮に手数料制に移行するにしても、料金設定については慎重な検討があるべきだと考えます。委員会のご答弁では、事務コストについて積算したものを議会に提出した、と述べられましたが、議論のなかで、そうではなく大阪府の手数料をそのまま流用していることも明らかになりました。議会答弁が誠実でないのは、とても残念であることも、付け加えておきます。
以上の点から、今回の手数料条例改正については、納得できない問題があり、この79号議案には反対であることを表明し、討論を終えます。
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