2014年6月議会 一般質問
●一般質問
◎介護保険のゆくえと箕面市の課題・今後の取り組み、
および高齢者施策について
「地域医療・介護総合確保推進法」が今国会で成立しました。
これは、介護保険法や医療法など10数本の法律改正をめざした一括法ですが、各界から批判や見直しを求める要望などが相次ぐなか、国会での審議が不十分なまま、可決されました。この法律の成立により介護保険制度が大きく変わり、自治体や利用者、事業所にどのような影響が及ぶのだろうかと、不安を抱いている市民は少なくありません。国は、増え続ける介護保険事業費の財政支出の削減を図ろうという意図が濃厚ですが、一方で団塊世代が後期高齢に達する2025年問題が迫っており、地域のあり方を含めて介護保険制度の改革は、切実な課題であるといえます。
とりわけ新制度によって、要支援者の生活援助サービスである訪問介護と通所介護が市町村に移ります。現在、国が決定しているサービスの基準(人員や料金、運営など)が、地域の実情に応じて市が独自に決めることになります。高齢者のニーズに応じたサービスが、しっかり提供されるのか、高い介護保険料を払いながら、希望するサービスを受けることができるのか。保険者である市は、市民の声に向き合い、より効果的なサービスを提供しなければなりません。
そこで箕面市の現状の課題を共有するとともに、「ピンチをチャンスに」転化するために、何ができるのか・・・そして、その他の高齢者施策と合わせて、「箕面モデル」の構築に向けて、ともに模索していきたいとの思いから一般質問を行います。
1点目に、現状の介護保険制度の課題について質問します。
介護保険制度は、「介護の社会化」として2000年に導入されました。13年が経
過した今、介護保険制度の意義は一定評価できるものの、さまざまな課題があることも否めません。2006年の改定時に掲げられた「尊厳ある介護」が、現場でしっかり実践されているのかどうか、についてもさまざまに思うところがあります。
そこで、現在第5期高齢者保険福祉計画が実施されており、また第6期計画策定のためにおこなわれたアンケート調査の結果から、現状の箕面市の高齢福祉政策にともなう介護保険制度の課題について、どのように考えておられるかお尋ねします。利用者ニーズとサービス給付の状況、課題などを的確に把握し、今後につなげるために問うものです。
また、現状の課題とリンクさせながら、来年度からの国の大きな制度改革を控えて、現在、市が準備を進めていることは何でしょうか?
さらに介護の担い手の確保につながる労働環境の改善も必要です。介護従事者の人材確保は大切であり、人材不足の要因は、賃金・労働条件・労働環境にあると考えますが、この件について、市の見解はいかがでしょうか?
そして、オレンジゆずるバス運行経費への拠出についてですが、今後も継続されるお考えでしょうか?また、その理念はどのようなものと考えればよいでしょうか?
◆<答弁>
ただいまの中西議員さんのご質問に対しまして、ご答弁いたします。
まず、現状の介護保険制度の課題についてですが、先の岡沢議員さんのご質問にご答弁しましたとおり、超高齢化の進展に伴い、2025年には、団塊の世代を含む75歳以上の後期高齢者数が急増するため、認知症をはじめ介護が必要なかたの大幅な増加が予測されています。また、単身や夫婦のみの高齢者世帯も全体の4分の1を超える見込みで、高齢者の介護・医療をとりまく社会状況は、大きな変化が予測されています。これらの状況を踏まえ、介護保険制度の持続可能性を高めていくとともに、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される「地域包括ケアシステム」の構築が、大きな課題となっています。
次に、介護保険制度の改正にあたり本市が準備を進めていることについてですが、まず、地域包括支援センター、介護サービス提供事業者及び介護市民団体に対するヒアリングを予定しています。ヒアリングでは、実際にサービスを提供する立場やご家族として介護を行う立場から、現場の実状や問題点、力を入れて取り組んで欲しいことなどについてお聞きし、今後の制度設計に活かしていきます。
また、今回の制度改正により、地域包括支援センターの担うべき役割が増大することから、その機能強化についても検討していきます。
次に、介護従事者の人材確保についてですが、先日、国会で「介護・障害福祉従事者の人材確保のための処遇改善に関する法律案」が可決されるなど、大きな課題と認識しています。
国においては、2025年度に向け、介護人材は、現在の約2倍の250万人が必要と推計しており、そのために、人材の新規参入の促進と定着を図るとともに、他の産業に比べて離職率が高いことや平均賃金が低いことなどの課題を踏まえ、参入の促進、キャリアパスの確立、職場環境や処遇の整備・改善に取り組んでいます。
本市としましては、介護保険制度の改正も踏まえ、特に高齢者の生活支援の多様な担い手を確保・育成していく取り組みを検討していく考えです。
次に、オレンジゆずるバス運行経費への拠出についてですが、市内公共交通整備事業への介護保険地域支援事業からの拠出については、高齢者の閉じこもり防止、外出支援という目的のために実施しているものであり、今後も継続する予定です。
以上でございます。◆
ご答弁ありがとうございます。
地域包括支援センターについては、2項目めの質問と関連しますので、後ほどの質疑と合わせて伺っていきたいと思います。
高齢者の健康状態、ライフスタイルは多岐にわたり、ニーズも多様化しています。一人ひとりが尊重され、多様な選択肢からサービスを選択できる、つまり、本人も家族も望む介護が実現しているのか、という点について、市の認識はいかがでしょうか?
また、オレンジバスの運行経費への介護保険・地域支援事業からの拠出についてですが、「高齢者の閉じこもり防止、外出支援」というのが目的であるならば、その目的達成のために、本来ならば65歳以上の高齢者が対象になるべきではないでしょうか?また、対象の高齢者が平等に支援を受けることができるよう、バス停の拡充、または路線バスを利用される高齢者にも、支援がおこなわれるべきではないか、と考えますが、いかがでしょうか?
◆<答弁>
本人も家族も望む介護やオレンジゆずるバスについて、ご答弁いたします。
「第6期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画策定のためのアンケート結果」では、「介護保険サービスの利用に対する満足度」について、大変満足している又は概ね満足していると答えられたかたの合計が、要支援者で71.1%、要介護者で79.4%となっており、比較的高い割合を示しています。市としましては、より多くの方が満足できる介護サービスを提供できるよう、引き続き取り組んでいきます。
次に、オレンジゆずるバス運行経費への介護保険地域支援事業からの拠出は、バスの運行主体である箕面市地域公共交通活性化協議会において決定した高齢者割引対象者分に対し、拠出しています。高齢者割引の対象者は、協議会においてパブリックコメントの意見も踏まえ、議論を重ねて決定されたものです。また、オレンジゆずるバスのバス停の拡充については、箕面市地域公共活性化協議会において、利用者の声を聞きながら、効率的かつ持続的なバス運行を確保する中で考えられています。
なお、路線バスの割引サービスは、運行事業者が検討・実施すべきもので、例えば、阪急グランドパスなどが実施されています。
以上でございます。◆
介護サービスについて、本人や家族が望むサービス提供となっているか、について、7割以上の方々が満足しているとのお答えでした。
現場からはさまざまな声を聴いておりまして、要支援・要介護認定を受けていても実際にサービスを利用していない方々が多いのですが、その理由は何なのか、ということだと思っています。ご本人がデイサービスや在宅ヘルパーサービスを拒否されるケースは少なくありません。また要支援の認定が受けられなかった人たちのなかで、手すりがあれば転倒・骨折しなかったのに、という声があったり、要支援2の方がサービス枠内では足りず、かといって10割負担は厳しいために、状態が悪くなる、という例もあります。個々の方々の健康をできるだけ長く維持し、要支援・要介護にならないための支援策や、要介護になっても、介護度が進行しない、あるいは健康状態が良くなるために、どんなサービス提供が必要なのか、ということが大切です。きめ細かい対応が求められており、そのためには、人やサービス給付あるいは地域資源の活用が必要です。将来を見据えた中での体制づくり、予算の確保を要望いたします。
2点目は地域包括支援センターについて、伺います。
新制度では、要支援1・2の人の予防給付サービスが市町村の「地域支援事業」に移管されます。2005年に創設された地域支援事業は、市町村の実情に応じた地域包括ケアシステムを構築する要として位置付けられており、その見直しが行われました。住まい、予防、医療、介護、生活支援を包括的にとらえる、というものですが、「絵に描いた餅」になりはしないか、という不安がつきまといます。
生活援助サービスによって在宅で暮らしてきた軽度の認知症高齢者はどうなるのか、認知症でも安心して暮らせるまちづくりをどのように構築すればよいのか、市の高齢者施策が大きく問われることとなります。
この新制度では、在宅医療・介護の連携や、認知症施策の推進等、地域包括支援センターがコーディネイトすることになり、その役割はいっそう重要になってきます。
さて介護保険制度は、創設以来、65歳以上の被保険者が約1.5倍に増加するなかで、サービス利用者は約3倍になり、とくに軽度の認定者数の増加が拡大しています。
現在、箕面市の高齢者人口は、今月末現在で、30,670人で、そのうち要支援1・2が1,783人、要介護1~5は 3,535人です。
要支援者のうち、約860人の方が認知症を患っています。これは自立度Ⅰの軽度の方を含めて半数近くに及んでいます。
各地域包括支援センターの利用者は包括センター設立当初から約2.3倍の利用となっています。対する市内4か所にある地域包括支援センターは3名~4名体制です。相談支援や、権利擁護、包括的・継続的マネジメント支援等を担い、介護予防の推進や認知症高齢者の支援においても中心的な役割となっています。高齢者人口増とともに、これらの業務は増加傾向にあり、各圏域ともに、3職種の人員拡充が必至です。
市は、今後の需要予測を含め、人的・財政的支援をどのように検討されていますか?また、現在のセンターの課題をどのように考えているのでしょうか?さらに、開設場所の拡大(ブランチ型など)についてはいかがでしょうか?
昨今、認知度が高まってきたとはいえ、まだまだ地域包括支援センターについて、よく知らない方々も多い現状ですが、周知についてはどのように検討されているでしょうか?
さらに、せっかく家族が相談したくても、就労している場合は、開設時間帯が合わず、利用できない、という声もあります。家族などが利用しやすい体制についてはどのように改善される予定でしょうか?土・日・祝、またはサラリーマンの帰宅時間帯などの開設を視野に入れて検討いただきたいのですが、いかがでしょうか?
◆<答弁>
地域包括支援センターについてご答弁いたします。
当該センターは、地域住民の保健医療の向上と福祉の増進を包括的に支援するための中核的機関となっています。
今後の方向性としましては、役割が拡大すること、高齢者人口が増加し、困難事例が増加していること、介護予防給付の制度改正により、訪問介護及び通所介護が段階的に市町村事業へ移行されることなどから、地域包括支援センターの機能強化が必要と考えています。
その手法としましては、先の岡沢議員さんのご質問にご答弁しましたように、現時点では、地域包括支援センターの施設数を増やすのではなく、1箇所あたりの配置人数を増やし、センターとしての対応能力を強化していきたいと考えています。
次に、地域包括支援センターの周知についてですが、高齢福祉サービス案内冊子や広報紙、チラシやホームページ等による周知のほか、地域包括支援センター職員が地域に積極的に出向き、講座を開催したり、地域イベントにおいて地域包括支援センターのPRに努めたりしています。
次に、利用者が利用しやすい体制についてですが、現在は、土・日・祝日の相談窓口の開設は検討していません。しかし、平日は電話相談や家庭訪問にも応じるとともに、関わっている困難ケース等において即応が必要な場合には、休日等にも対応しています。
時間延長など今後の改善・充実については、事業者ヒアリング等も踏まえながら検討していきます。
以上でございます。◆
さて、市が今後、地域包括支援センターを利用していただきたいと考える高齢者の需要予測について、どのように検討しているのでしょうか?つまり、対象者がいて、現状の課題があるというなかで、元気な方、軽度なかたができるだけ長く現状を維持する、あるいはよりよい健康状態に回復していただくためには、対象者数を把握し、必要な配置を検討する、という手順になろうかと考えます。これまでのさまざまなデータから、正確ではなくとも、概ねの対象者数は算出できるのではないでしょうか?また、センターが抱える各地域の課題があると思いますが、これらについて市はどのように把握・検討されているのでしょうか?
地域包括支援センターの施設数を増やすことは、現時点では考えておられないようですが、高齢者や家族にとって、身近に相談できる場所があってこそ、利用しやすいのだということを是非考えていただきたいと思います。
各センターにブランチ型で出張所のようなものを設置する、たとえば空教室や地区福祉会の拠点施設などを活用するなど、お金をなるべくかけずに整備する方法もあろうかと思います。また、日中働いている家族や、本人のいないところで相談したいと考えている家族にとって、やはり土日などの休日の開設は大事です。仕事時間中に電話相談ができない方のことも視野に入れていただき、「センターがあっても利用できない」という方がないように、お願いしたいと要望させていただきます。また、これは蛇足ですが、これから地域包括支援センターが軽度高齢者支援のための地域の拠点として一層重要な役割を担うことになります。市民の方からも「地域包括支援センター」といいうネーミングについて、もっと言いやすくて分かりやすく親しみやすいものに変えるとか、愛称をつけてはどうか、というご提案をいただいているのですが、いかがでしょうか?
◆<答弁>
地域包括支援センターの課題について、ご答弁いたします。
需要予測に関しては、今後の第6期計画策定作業の中で検討していきます。また、地域包括支援センターの抱える各地域の課題については、先の岡沢議員さんのご質問にご答弁しましたように、各地域包括支援センターによる「地域ケア個別会議」において検討された事例を、「地域ケアレビュー会議」で評価し、地域の共通課題の発見や情報共有を行い、今後の高齢者施策に結びつけていくよう努めていきます。
次に、地域包括支援センターの名称についてですが、地域包括センターは、平成18年に設置されて以来、相談・ケース対応、普及啓発活動など、センターの努力により、地域の「高齢者の方の相談窓口」として定着しつつありますので、現在のネーミングを変更する予定はありません。
以上でございます。◆
3点目に、介護予防等について質問します。
新制度に向けて、介護予防事業を市が行うにあたり、地域資源をどのように把握されているのかお尋ねします。サービスの質・量の低下を招かないためにも、地域の人材が確保されねばなりません。
軽度者へのサービスをどのように考えているか、についてですが、軽度者の方々へのサービスを強化することは、自立を促進し、介護度の重度化を防ぐことに繋がります。それは将来的な介護・医療費を抑制することになります。そのために、どのようなサービスが必要かなど、ニーズについては、どのように把握されているでしょうか?生活援助サービスのなかに「見守り」や「コミュニケーション・会話」などを組み込んで、個々の方々の状態に合ったサービスが提供できるように検討を求めますが、いかがでしょうか?
また「まちかどデイハウス」の役割と評価については、どのように総括されているのでしょうか?箕面市に7か所あるまちデイにおいても、市の委託事業として介護予防事業が実施されていますが、今後のまちデイの活用はどのように検討されているでしょうか?
さらに、「介護」は身近に迫らないとピンとこないものです。ある日突然、必要に迫られて焦る、という例がよくあります。また、介護保険制度とはどのような仕組みであり、サービスの体系やメニューがどうなっているのか、分かりにくいという声も少なくありません。介護保険制度について、非利用者は63%が知らないという市のアンケート結果をうけて、高齢者や家族向けに丁寧な説明会を開催してはどうでしょうか?
現在の制度では、例えばデイサービスを利用した際に、要支援2の人が週2回利用して、元気になって要支援1になると、1回しか利用できなくなり、また状態が逆戻りしてしまう、とか、報酬単価の設定方法の問題で、要支援1の人が1回利用するのと要支援2の人が2回利用するのとでは、要支援1の人が割高になる場合も発生しています。事業所運営を優先させるために、報酬単価を意識すれば、利用者に適切なサービスが提供されないという例もあるようです。
今後は、市の裁量で事業が実施されるので、それぞれの利用者の実態に応じたサービス利用の在り方についても、柔軟な対応ができるようお願いしたいのですが、この件についても見解を求めます。また、その他介護予防事業について、今後検討されていることがあれば教えてください。
介護予防は、体操や口腔ケアも大切ですが、孤立しないこと、自分が社会に貢献できるとか、人の役に立てるという自己肯定感を持つことなども有益だといわれています。住み慣れた地域で、人と関わりながら暮らせるための仕掛けや体制強化も必要だと考えます。お金をかけなくても、社交の場に参加できるなどの居場所づくりや、同世代として介護の担い手になることや、支援のあり方なども検討できないものでしょうか?
◆<答弁>
人的資源の把握についてご答弁いたします。
本市が行う介護予防に関する各種講座の修了者数を、人的資源として把握しています。これまでの実績としては、「認知症サポーター養成講座」修了者が2061人、「介護予防推進員支援講座」修了者が93人、「認知症予防活動支援講座」修了者が56人となっています。また、認知症サポーターを養成する指導者であるキャラバンメイトのうち、市内で活動可能な人数は、20人となっています。
次に、軽度者のサービスやニーズ把握についてですが、今回の介護保険制度の改正により、要支援者に対する介護予防給付のうち、訪問介護及び通所介護が地域支援事業として市町村事業に移行するとともに、生活支援サービスについても、市が制度設計することとなりました。
ニーズにつきましては、地域包括支援センターや介護サービス提供事業者及び介護市民団体に対するヒアリング、「第6期計画策定のためのアンケート調査」を通じて把握し、制度設計については、本年7月に国のガイドラインが示される予定になっていますので、それを踏まえ、具体的な検討に入る予定です。
次に、街かどデイハウスの役割と評価についてですが、街かどデイハウスは、地域住民を中心としたボランティア団体が、既存の施設を利用し、食事や介護予防に適したサービスの提供を行いながら、地域の高齢者を支える施設です。要介護認定・要支援認定までには至らない虚弱高齢者の介護予防・引きこもり防止のための通いの場のひとつとして、重要な役割を果たしていると考えています。
また、活用については、現在、街かどデイハウスでは、本市の委託事業として、運動や認知症予防の介護予防教室を実施しています。今後、介護予防を広く市民に展開していく中で、地域における身近な介護予防の拠点としての役割を期待しています。
次に、説明会の開催についてですが、今回の介護保険制度改正は、かなり大きな内容となっており、市民の方への丁寧な周知が必要と考えています。説明会の開催等、効果的な周知方法については、今後検討・工夫していきます。
次に、介護保険サービスの利用についてですが、現在も、ケアマネージャーや地域包括支援センター職員が、ご本人やご家族から状況を丁寧にお聞きし、実態に応じたプランを作成しています。介護保険法改正による新しい介護予防・日常生活支援総合事業につきましても、引き続き、それぞれの利用者の実態にあったサービスに結びつけていきます。
介護予防事業の新たな取り組みについては、介護予防教室を受講して終わるだけでなく、人と人とのつながりを通じ、安心して過ごせる場所づくりと、地域で主体的かつ日常的に介護予防に継続して取り組めるしくみづくりに力を入れていきたいと考えています。
以上でございます。◆
ご答弁ありがとうございました。
人的資源についてですが、認知症サポーターやキャラバンメイトなどの養成に取り組んでこられたことについて、一定評価したいと思いますが、適切な相談・支援に関わることができる専門職の確保も重要だと考えます。
また、まちかどデイハウスの評価について、利用実態がどうなのか、把握されているでしょうか?どのような人たちが利用しているか。どれくらいの人たちが登録しており(利用したいという意思を示し)、実際に利用している(利用できている)のは、どれくらいなのか、年齢帯とか、どのようなライフスタイルの方が何を求めて利用しているか、などを見ておくべきだと考えますが、いかがでしょうか?そういうまちデイの利用実態と活動内容を照らし合わせて、まちデイの評価や、今後の拡大の有用性が検討されるのではないでしょうか?あるいくつかのまちデイでは、単身者や中間独居の利用が多く、また男性の参加者が約2割と少ない傾向にある、と伺っています。まちデイの役割や利用者ニーズを把握し、今後、地域包括との連携のあり方、効果的な活用などを模索していくことも大切ではないでしょうか?
また、住み慣れた地域で、人と関わりながら暮らせるための仕掛けや体制強化も必要だと思います。お金をかけなくても、社交の場に参加できるなどの居場所づくりや、同世代としての介護や支援のあり方などの検討」については、具体的なご答弁がありませんでしたが、歩いて行ける場所に拠点を設けて、高齢者が自主的に活動できるよう、お金をあまりかけずに行政ができる支援、あるいは地域がコミュニティーとしてできることがあると考えます。これはまちづくりにも繋がります。今後も提案してまいりますので、前向きにご検討くださるよう要望いたします。
なお、介護サービスは、利用者の実態に応じて現在でも適切にサービス利用できている、とのご答弁でしたが、さきほど申し上げた内容はケアマネさんやヘルパーさんなど現場の方々から伺った生の声の一部をご紹介したものです。今後さらに、しっかりとヒアリングしていただき、実態に即したサービス提供が実現するように、要望させていただきますので、どうかよろしくお願いいたします。
◆<答弁>
街かどデイハウスについて、ご答弁いたします。
まず利用実態についてですが、登録者数は376人、月平均の実利用者数は205人となっています。また、利用目的は、食事を楽しみに来られるかた、他の利用者との交流やレクリエーションのプログラムなどを目的にこられるかたなど、実に様々です。各街かどデイハウスとも、メニューの工夫により、虚弱高齢者の「通いの場」としての機能を果たしています。
なお、街かどデイハウスは、介護保険制度改正後の新しい「介護予防・日常生活支援総合事業」における「多様な主体による地域の通いの場」に近いことから、第6期計画策定の中で、その位置づけ、効果的な活用方法などについて調査検討していきます。
以上でございます。◆
ご検討をよろしくお願いいたします。
まちデイには、今後もさまざまな可能性があると考えています。それぞれの地域特性にあった取り組みや課題があろうかと思います。またたとえば、まちデイに参加される元気な高齢者の方々がご自身のスキルを生かした事業を地域と連携して起こしていくことも可能かもしれません。財源が厳しいといわれる昨今ですが、地域での循環型まちづくりの構築や、元気を維持するための場、多世代交流など、今後のまちデイを拠点とした活かし方やあらゆる可能性についても、地域包括との連携と合わせてご検討いただけますよう、お願いいたします。
4点目に認知症の支援体制について伺います。
要支援者のうち、認知症の自立度Ⅰ、すなわち「ほぼ自立しているが、何らかの認知症を有する人は739人、「日常生活に支障をきたすような症状、行動や意思疎通の困難さが多少見られても、誰かが注意していれば自立できる」という自立度Ⅱの人は118人です。要支援者の認知症対策について、国のガイドラインには記されていませんが、市の対策として、どのように考えておられるのか、お伺いします。
認知症は、初期が大切です。初期には、本人にも自覚があり、とても苦しいのです。この時、プロの支援があれば、問題行動などの周辺症状を抑えたり、本人の不安を取り除くことが可能です。認知症が少し進んだ方に、適切なサービスを行うことで、進行を遅らせることができるため、専門知識のある介護士や保健師の支援が得られる体制について、どのように考えておられるでしょうか?また、介護従事者の質的向上や育成については、いかがでしょうか?
基本チェックリストについて、市ではどのように活用されてきたのでしょうか?
さらに、3師会との連携強化策はいかがでしょうか?
先般、身元不明高齢者が府下6名との報道がなされましたが、一人暮らしや高齢者のみの世帯など、孤立した環境で暮らす高齢者が増加傾向にあります。地域と行政が連携するネットワークづくりについてどのように考えておられるかも、あわせてお伺いします。
◆<答弁>
要支援者に対する認知症対策についてご答弁いたします。
認知症は決して特別なものではなく、早期に発見し、医師の適切な治療と介護サービスを上手に活用することで、その症状の進行を遅らせることが重要と言われています。そこで、身近なかたが、できるだけ早く変化に気づき、受診などの適切な対応に繋げることができるよう、認知症サポーター養成講座を開催し、認知症に関する正しい知識の普及啓発に取り組んでいます。
次に、介護士や保健師の支援についてですが、現在、認知症に関するご相談があった場合、地域包括支援センター職員や市の保健師が訪問し、ご本人の状況に応じた支援を行っています。また、先の岡沢議員さんのご質問にご答弁しましたとおり、介護保険制度改正により、「認知症初期集中支援チーム」や「認知症地域支援推進員」等を各市町村に設置することになっていますので、今後、制度内容を踏まえて関係機関と協議のうえ、本市の実情にあった配置を検討していきたいと考えています。
また、介護従事者の育成、資質向上策については、認知症サポーター養成講座の講師となりうる人材を育成するため、市の専門職や地域包括支援センター職員等を対象に、キャラバンメイト研修を推進しています。今後も継続して実施し、介護従事者も含めて、受講者を広げていきます。
次に、基本チェックリストの活用についてですが、要介護・要支援認定を受けていない高齢者全員を対象に毎年送付し、認知機能を含む生活機能の低下の有無を総合的に判定し、できるだけ早い段階で支援に繋げるための機会としています。また、特に支援の必要なかたに対しては、地域包括支援センター職員や市職員が電話や訪問を行い、そのかたの状態に応じた支援に繋げています。
次に、三師会との連携についてですが、昨年度には、箕面市医師会や地域包括支援センターとも協働し、認知症の理解と、かかりつけ医での早期相談・診療を勧める「認知症相談マップ」を作成するなど、医療と介護の連携を図っています。
次に、地域とのネットワークづくりについてですが、一人暮らしや高齢者のみ世帯など、孤立した環境で暮らす高齢者の増加に対応し地域住民やボランティアなどによる生活支援サービスの提供や、見守り活動の推進を図っていくことが必要と考えており、すでに、行方不明者SOSネットや徘徊ほっとメール、民生委員活動、社会福祉協議会による小地域ネットワーク活動や一声訪問員、「よりそい隊」の発足などの取り組みが進められていますので、引き続き支援していく考えです。
以上でございます。◆
ご答弁ありがとうございます。
認知症は、家族があとから振り返って「そういえばあの時から始まっていたのかもしれない」と気づく、ということがありがちです。初期が非常に大事なのですが、いかんせん、初期のころは家族には分かりにくかったり、仮に「おやっ?」と気づいても、本人が診療を拒否したりと、なかなか早期治療に結びにくかったりします。あるいは、かかりつけの医師が、認知症状を理解せずに、本人に接してしまう、ということもあります。
認知症マップの活用はいうまでもありませんし、ご協力いただいている3師会のみなさまには感謝いたしますが、認知症に詳しい医師が、多いとは、まだまだいえる状態ではないと考えています。地域・医療の連携をもっとさらに進めていただくよう、市の強力な働きかけをお願いします。
介護従事者の育成、資質向上について、キャラバンメイト研修を継続・実施されるとのことで、大いに期待したいと思いますが、受講者目標数などは、どのように考えておられるでしょうか?
繰り返しますが、認知症の初期の頃は本人も混乱し、大変苦しみます。自身の思いや苦しみが理解されず、硬直してしまう方もいらっしゃいます。それぞれの方々に向き合い、深層を聴きながら安心や信頼の得られる対応ができる、専門的な知識が備わった介護従事者や医療スタッフを増やさなければなりません。そのために市がどのような計画性をもって臨むのか、意気込みをお伺いしたいと思います。
◆<答弁>
支援体制の充実についてご答弁いたします。
まず、キャラバンメイト研修の受講者の目標数についてですが、キャラバンメイト研修は、認知症サポーターを養成する「指導者の養成研修」であり、一定のレベルを維持する必要があることから、現時点では目標値を設定することはせず、質の確保に重点を置きながら、受講者を広げていきます。
次に、認知症に関する専門的な知識を持ったスタッフの増加については、大阪府においても、介護従事者向けに「認知症介護実践研修」を実施しており、今後、これらもより一層活用しながら、人材育成を図ってまいります。
以上でございます。◆
専門性のあるスタッフの養成を是非、よろしくお願いいたします。
5点目に、その他の高齢者施策等の課題について質問します。
新制度では、特養の入居は原則、要介護3以上となっています。しかし、現状では、要介護1.2や要支援2であっても、単身の場合など自宅での生活が難しいケースもあります。その人らしく生きるために、さまざまな選択肢が必要ですが、自宅での生活がかなわない人たちへの支援について、市はどのように考えているでしょうか?
また、サービス付高齢者向け住宅が箕面市内に6か所ありますが、サービス付高齢者住宅の課題については、どのように考えておられるでしょうか?また対策は検討されているでしょうか?
箕面市の高齢者虐待についてですが、現状、課題や対策はどのようになっているでしょうか?今後の虐待防止に向けた強化策についてもどのように検討されているのか教えてください。
以上、高齢化が進むなかで、高齢者のライフスタイルや家族構成も変化し、単身世帯は増加傾向にあります。また老々介護や認々介護がめずらしくない時代になっています。子や孫の世代が介護倒れしないためにも、高齢者が尊厳をもって、自分らしく安心して暮らせる体制とまちづくりが求められています。高齢者の多様なニーズと課題に対応でき高齢者対策をともに考えていきたいとの思いで、質問いたしますので、よろしくお願いいたします。
◆<答弁>
自宅での生活がかなわない人たちへの支援についてご答弁いたします。
特別養護老人ホームなどの介護保険施設、グループホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅などが選択肢となります。今後、超高齢社会を迎え、重度の要介護者のニーズに対応し、持続可能な介護保険制度を構築していくためには、地域包括ケアシステムにより、在宅での生活をできる限り支えていくとともに、介護保険施設の整備も様々な工夫が求められてきます。今回の国の制度改正も踏まえ、適切な整備計画を策定していきたいと考えています。
次に、サービス付き高齢者向け住宅についてですが、高齢者の居住の安定を確保することを目的として、介護・医療と連携し高齢者支援サービスを提供する住宅として、都道府県知事に登録されたものです。本年6月現在、箕面市内には6か所、計251戸が整備されています。内容は多種多様ですが、今後も需要は増加すると思われますので、本市としても、介護サービスの提供が適切に実施されるよう、実態把握をしていく必要があると考えています。
次に、本市の高齢者虐待についてですが、平成25年度の通報件数は22件で、そのうち10件を虐待ありと認定しました。対応については、平成18年の法施行以来、一定のノウハウを積み重ね、通報窓口、初期対応、コアメンバー会議、対応マニュアルなど、仕組みとしてはかなり整備が進んでいます。課題としては、虐待防止のさらなる周知・啓発、組織的な対応視点の共有と、継続したスキルの向上、問題解決手法の拡大などが必要です。虐待防止に向けては、より一層の研修や協働の推進、ネットワークの充実に努めていきます。
以上でございます。◆
ただ今のご答弁にあった「介護保険施設の整備の様々な工夫」とは分かりやすく言うとどういうことでしょうか?
また、所得格差が、介護サービスの格差に連動し、有料老人ホームやサービス付高齢者住宅は、「高嶺の花」だと考えておられる方々もいらっしゃいます。
さらに在宅で介護したくても、小家族では、家族介護者が仕事を辞めるか否かの選択に迫られます。仕事を辞めれば、自身の老後が不安になってしまいます。子や孫が自分の人生を介護に捧げることを美談として済まされない深刻な現実があります。在宅介護に必要なサービスがしっかり提供できるシステムを、時間がかかるかもしれませんが、構築していただきたい。さまざまな現場の課題と向き合って、第6期の計画策定にあたっていただきたいと願います。
次に、高齢者虐待についてですが、虐待を受けたご本人が、たとえば息子さんからの虐待などで、ご本人が認めたがらないため、保護や防止が進まない、というケースがあるようです。常に虐待とは何か、なぜ虐待がいけないのか、ということや、認知症症状についての知識など、広く市民に啓発・周知することも大切ではないかと考えます。これは、公教育、職場、地域で、ことあるごとに学ぶ機会を提供することではないでしょうか。
見解を求めます。
◆<答弁>
介護保険施設と啓発についてご答弁いたします。
まず「介護保険施設の整備の様々な工夫」の内容についてですが、介護保険制度改正により、特別養護老人ホームは、在宅での生活が困難な中重度の介護者を支える施設としての機能に重点化され、原則要介護3以上の高齢者に入所が限定されます。また、「身近な地域で在宅生活を支える」という観点から、今後は、大規模施設を建設するのではなく、小規模多機能型居宅介護の活用など、地域密着型サービスに重点を置いた施設の整備・活用が必要であるとされています。これらも踏まえ、具体的な施設整備計画については、各高齢者や介護者の実態、現在の施設の待機状況や、制度改正後のサービス提供体制、介護保険料等の財源などを勘案しながら、第6期計画策定の中で検討していく予定です。
次に、高齢者虐待防止に関する市民への啓発・周知についてですが、多くのかたが高齢者虐待や認知症症状を正しく理解することは、高齢者虐待を早期発見し、早期に適切な支援に結び付けていくうえで非常に重要であると考えています。
これまで広く市民に対し実施している認知症サポーター養成講座などでも、虐待防止についての啓発を進めるとともに、介護者団体や民生委員・児童委員など、関係機関とも連携しながら、啓発周知に努めていきます。
以上でございます。◆
ご答弁、ありがとうございました。
虐待について、これまでも「高齢者支援」「擁護者支援」「組織的な虐待対応」の視点で取り組んでいただいております。
しかし、たとえば経済的虐待については、ご本人が容認されている場合は認定できないという、悩ましい課題があると聞いています。精神的虐待とあわせて、外からは見えにくいものについて、今後、どのように対応していけばよいか、ともに考えていきたいと思います。
また、これからの時代、来年からの制度改革によって、自治体間において、格差がうまれるであろうと言われています。また所得や家族構成によって生じる格差も懸念されます。
今回は質問しませんでしたが、所得280万円以上の方の利用料が1割から2割負担になることも懸念されています。
あるいは現在、通所介護の事業所はどうなってしまうのだろうかという不安な声も届いています。現在の事業所を安上がりな委託先というような扱いにならないよう、これも要望させていただきます。
健康福祉部のみなさんは、これまでも精力的に取り組んでおられますが、さまざまな諸課題に対し、ともに知恵を出し合い、安心して暮らせる「箕面モデル」となるよう、私も汗を流していく決意でおりますことを、申し述べまして、一般質問を終わります。
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