2013年9月議会 討論

◎ 第106号議案 平成25年度箕面市一般会計補正予算(第6号)

無所属の中西智子です。
第106号議案 平成25年度箕面市一般会計補正予算(第6号)に反対の立場で討論します。
この補正予算は、国の緊急雇用対策であり、府の「起業支援型雇用創造事業」を活用して3つの事業を行うということで、今年度から来年度にかけて総事業費約7000万円が計上されています。

事業の目的は、設立10年未満の起業を支援することで、失業者を新規雇用する、という趣旨です。とはいえ、起業してから10年以上経っていても、新規にNPOなどを起ち上げた場合はOKということなので、要するに、設立してまもない起業を支援する、ということではなく、支援対象は広い、ということのようです。

一般の起業支援の助成金等は1団体数百万円というものが多いなかで、事業計画の100%、1事業につき数千万円の支援が受けられるという破格のものです。

この好条件の助成事業について、主管課である地域創造部は庁内各課に情報提供し、また商工会議所や大阪府のホームページなどにも案内した、とのことですが、市の広報誌やHP、公共施設などで十分な情報提供、周知がなされた訳ではありません。このような条件なら、ぜひ活用したいと考えた起業家、あるいは起業をめざす市民が多かったであろうと考えます。市は公募したと述べていますが、もっと箕面市民に向けて広く情報発信する方法はいくらでもあったと思われるので、公平性の観点が欠けていたと捉えています。

またこの事業は、この補助事業を知った事業者が市に企画提案し、その企画を、市が大阪府に事業提案するという具合に、府の審査を経て採択されたと聞いています。その採択された事業を、市に提案した事業者へ箕面市が委託する、という手続きの流れになっています。

この一見、補助金事業のように見える事業は、じつは委託事業だということなので、とてもわかりづらくややこしい形態となっています。つまり事業主体は起業する事業所であるはずなのですが、これは市の委託事業であるため、事業の主体は市ということになります。市が責任をもって起業を見届ける、ということではありますが、来年度、委託事業が終了したのちは、市の手から離れることになるので、事業の質の担保と継続性がどうなるのか、という点も大きな課題です。

最初からスキルのある事業所に事業委託するのではなく、一からスキルを学ぶ、専門機関で資格を取る、と言った具合なので、たった1年で技術やノウハウを完全に習得できるものなのか、やってみなければ分からない、という要素の多いことが委員会での質疑で明らかになりました。

さらに事業の収支計画書がないために、採算性が不明であることも問題です。経営コンサルタントなどのアドバイザーが指導しながら、事業委託するというものですが、仮に、事業継続のスキルが獲得できなくても、当該事業所に委託することが決定しているという、不合理な内容であり、税金を投入する事業であるため、市民の納得が得られないのではないかと考えます。

当初の議会説明では委託先は「入札で決定する」という説明でしたが、その後3団体ともに「随意契約」である、と訂正されました。随契の法的根拠を求めましたが、原課からは未だ説明されないままです。

この3事業は、@点字発行物推進創造事業、A農と食をつなげるソーシャルビジネス推進事業、B不登校支援型学生サポーター派遣事業となっています。いずれも随意契約であるという市の説明でしたが、委員会後に入手できた大阪府に提出した申請書類には、2つの事業(点字、農と食)が、委託先は公募により選定するとなっています。そのほかにも、事前の担当課の説明とは異なる記述が散見されます。

たとえば文教常任委員会では、不登校支援型学生サポーター派遣事業について、さまざまな議論となりましたが、申請書には、事業終了後の自立化について「民間企業等マーケティング・学習教材販売と連携した事業展開」と書かれてあり、個人情報の扱いや、福祉的視点がおざなりになり、ビジネスとしての不登校支援というあり方に違和感を覚えますし、このような説明は委員会では行われませんでした。

「農と食をつなげるソーシャルビジネス推進事業」は、採算性が不明で、事業として成り立つのか否か、委託事業が終了したあとの継続性にも疑問があり、これまた委員会での説明にはなかった「障がい者団体との連携」というのが、府への申請書類に明記されていて、何が本当の情報なのか、よくわかりません。

以上、若干、例をあげて述べましたが、この事業の企画上の社会的な有用性は一定認められますが、3事業の総額が約7000万円という大きな予算であるにもかかわらず、非常に事業の全体像がわかりにくく、市に説明をもとめた際も内容が二転三転した経緯があります。十分な説明責任をはたせず、府へ提出した書面と議会向けの説明資料には齟齬があるなど、まったく論外であります。

また公平性、透明性、維持継続性の観点からも、疑問があります。国・府の事業であっても、税金であることには変わりありません。昨今、地方自治の重要性が叫ばれており、国の財源も厳しいなかで、自治体が自律的に事業の有効性を吟味したうえで、助成金の活用を検討すべきであることを申し添えて、私の反対討論といたします。

◎第107号議案 箕面市公平委員会委員の選任について同意を求める件

公平委員会は、地方自治法(第202条の2第2項)及び地方公務員法(第7条第3項)の規定に基づき設置される地方公共団体の執行機関です。

市の職員が懲戒その他その意に反する不利益な処分を受けた場合、その処分を受けた職員からの不服申立に基づき、公平中立な第三者機関である公平委員会が準司法的な手続きにより、適法性、妥当性について審査を行います。

公平委員は、人格が高潔で、地方自治の本旨及び民主的で能率的な事務の処理に理解があり、かつ人事行政に関し識見を有する者のうちから、議会の同意を得て、市長が選任することになっています。

おりしも、市の懲戒免職処分を重すぎる、として停職6か月の懲戒処分に修正した公平委員会の裁決に対して、箕面市が再審請求を提出したばかりというタイミングにあります。そして市民からは、何故この時期に委員を変えるのか?再審査に大きく影響するのではないか、という素朴な疑問が寄せられています。 1期4年しか就かれていない、委員長でもある委員ですので、継続して選任されるのが、これまでの定石であったように思われますので、無理もありません。ちなみに、過去20年間において1期だけの委員はわずか2名であると伺っております。

そんなわけで私たち議員も、市民に対して説明責任を果たすことができるよう、また納得して人事に同意したいと考え、選任についての説明を求めた次第です。

しかし、残念ながら、さきほどのこの議案に対する私の質疑において、判断材料となる十分なご答弁がなく、明快に説明いただけませんでした。私は、この重要なタイミングであることが事前に分かっているなかで、公平委員の選任の同意については、慎重にならざるをえないと考えています。

再審査について「異なる委員の判断を仰ぎたい」というようなご説明でもあれば、まだ理解できるのですが、さきほどの答弁内容では、そういう意思も明らかではありませんし、このたびの選任について議会に対し真摯に対応するという姿勢すら、お示しいただけませんでした。
このようなことから今回のご提案について、黄堂(こうどう)氏個人が適任か否かという以前の問題があり、私たち議員が総合的に勘案して判断できる材料が乏しいため、責任をもって同意することができません。

よって、本議案には残念ながら不同意とせざるを得ません。 以上を表明し、討論といたします。

◎議員提出議案 第7号「原発事故子ども・被災者支援法」の早期の基本方針策定と具体的施策の実施を求める意見書

議員提出議案 第7号「原発事故子ども・被災者支援法」の早期の基本方針策定と具体的施策の実施を求める意見書に、賛成の立場で簡潔に討論いたします。

昨年6月、全会一致で可決された「原発事故子ども・被災者支援法」ですが、基本方針が策定されないまま、長らく放置され、今年8月30日に突如復興庁は基本方針案を発表しました。

しかし、この法案の中味は被災者が待ち望んでいたものとはほど遠く、被災者の声を反映する手続きを踏まず、支援対象地域を極めて限定し、被ばくの健康影響に対する多くの被災者の懸念に対して極めて不誠実な内容となっています。

脱原発を早期に実現し、労働者と住民の安全と健康を守り、発生じた被害は補償されねばなりません。

さきほどの増田議員の質問でも述べられていましたが、基本方針案を撤回して、被災者の声を十分反映した基本方針案をあらためて策定するべきであると考えます。 そして少なくとも福島県及び事故による追加被ばく線量が年間1ミリシーベルト以上の地域を支援対象とすること、国の責任で生涯にわたる健康診断や医療費無料化などの医療保障を行うこと 、福島県の事業とされている「県民健康管理調査」を国の事業として、国の責任において実施すること、国の責任により、すべての被災者への健康手帳を交付し、生涯にわたる健康診断、医療費無料化など医療保障を行うこと。そして、東電福島原発事故損害賠償の請求権の消滅時効問題を解決する特別立法を策定することなどを、多くの市民や団体が国に求めているところです。

福島をはじめ、被災された方々には一刻の猶予もありません。
私は、この夏、箕面、豊中、吹田など北摂を中心とした市民の方々とともに保養キャンプの企画に加わり、福島から25名の子どもとご家族を招きました。今年は複数の地域で開催されている保養キャンプをハシゴするご家族が多かったように思います。

保養キャンプは一つの過渡的な手段ですが、解決策ではありません。直に聴く現地の話は、とても辛く、想像をはるかに超える過酷なものでした。

国や自治体が速やかに情報提供しなかったばかりに、親子ともども給水車の列に長時間並び、被曝してしまったこと。

国や自治体が真実を伝えようとしないこと。

子どもの甲状腺に嚢胞ができても、医師は原発由来ではないと言い張ること。

空間線量の測定値は、自治体が発表する数値と、自分で測定した数値とは数十倍、数百倍の開きがあること。

避難しようにも、住む家や、仕事がないため、家族間で意見が割れてしまうこと。

市の職員でさえ、放射能の知識に疎く、国の指示どおりにしか動かないこと。

未だに家の中でしか洗濯物が干せないこと。

放射能をなるべく避けようとお弁当を持って学校へ行くと、いじめられること。

事故前は1時間あたり0.05マイクロシーベルトだった放射線量が事故後23マイクロシーベルトになり、460倍になったという話も聞いています。除染をしても0.5が0.2に下がり、また2週間後には0.5マイクロシーベルトに戻るそうです。大量の除染後の汚染土壌は、産業廃棄物として処理され、セメントや鍋、腐葉土になって被災地にも全国にも拡散されます。

また、自主避難された方々も、希望する仕事が見つからず、所得が大幅に減収となるなかで、現地で建てた家や車のローンと、避難先の住宅の家賃などで貯金も底をつき、借金地獄で明日の生活もままならない、というご家族もいらっしゃいます。

さらに、家族間、世代間で、価値観が異なり意見が分かれてしまい、家族がバラバラになってしまった、という例も少なくありません。

事実の公表や、十分な補償を約束して被災地市民が選べるようにしてほしい、という声もあります。

少なくとも子どもたちの命や健康、そして未来に対して私たち大人は責任があります。福島をはじめ被災地の問題は、明日の私たちの問題でもあります。

ひとりでも多くの人々に被災地の現状を理解いただき、速やかに復興策が講じられることを願い、本議案に賛成するものです。

以上、討論といたします。

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