2013年9月議会 一般質問

●一般質問

外郭団体に対する市の姿勢を問う

外郭団体への委託や、指定管理者指定・評価について、これまでも問題指摘・議論をかさねてきました。適切な運営と市の監督を求めて、以下の課題について質問を行います。

1点目に情報公開のありかたについてお伺いします。

箕面市情報公開条例第23条「外郭団体等の情報公開」には、実施機関は「その性格及び業務内容に応じ、外郭団体が保有する市の事務又は事業と関係を有する情報の収集と公開に努めなければならない。」とあります。また「実施機関は、出資法人に対し、前項に規定する必要な措置を講ずるよう指導に努めるものとする。」となっています。逐条解説書の「解釈及び運用」では、「市政運営の透明性を高めるためには、実施機関が、法令の規定に基づく権限を適切に行使する等して、外郭団体の情報を入手し、実施機関が保有する情報として開示に努めなければならないことを定めた」とあります。

また第24条では、「実施機関は、指定管理者(地方自治法第244条の2第3項に規定する指定管理者をいう。)が保有する情報のうち、同法第244条第1項に規定する市の公の施設の管理に係る情報であって、実施機関が保有していないものについて、閲覧又は写しの交付の申出があったときは、当該指定管理者に対して、当該情報の提供を求めるものとする。」とあります。

では、実際の運用面はどうなっているか。

たとえば、市の外郭団体である箕面市立障害者自立支援センターあかつき園の指定管理者は社会福祉法人あかつき福祉会です。

同センターの「工賃規定」を開示請求したら、市は「文書不存在」で資料提供を行わず、「市が情報公開条例24条で入手したので『再度開示請求するように』いわれた」、という市民からの苦情を聞きました。

つまり、開示請求をおこなって2週間後に「不存在」を告げられ、再度申請手続きを求められて、さらに2週間後に開示してもらえた、ということです。

これが、もし事実であるならば、1度で済むはずの開示請求を2回行わねばならず、情報提供が14日間、先延ばしされたことになります。このような運用方法をいつから行っているのか?またその理由は何でしょうか?
さらに、就労継続支援B型事業の工賃に関わる理事会の資料、議事録等が「非開示」となっています。センターの管理・運営に関する文書は非開示項目ではないため、公開されないのは、情報公開条例に抵触しているのではないでしょうか?

2点目に、指導・監督についての質問です。

市民から、あかつき園の就労継続支援B型事業による工賃が利用者に適切に配分されていないようだ、という相談を受けました。具体的には、就労継続支援B型の製袋事業の2011年度収入が74,472,791円、支出が69,244,982円で差額5,227,809円が黒字となっている。また2012年度は6,112,631円の黒字となっています。

厚生労働省は、「就労継続支援B型事業は、事業の実施により得た収入から必要な経費を控除した額に相当する金額を工賃として払わなければならない」としており、したがって余剰金が発生しないはずです。このことは、大阪府も「大阪府障害者支援施設の設備及び運営に関する基準を定める条例 第24条」に規定しています。

市が指定管理者として契約しているあかつき福祉会に対して指導・監督責任があり、また箕面市は大阪府から「社会福祉法人の監督指導権限」を移譲されていることからも、責任は重大です。

そこで、あらためて同センターの就労継続支援B型製袋事業の工賃はどのように算定されているのかをお尋ねします。

さらに収支差額が全額工賃として支払われていない理由と、このような市の福祉施設である外郭団体の運営状況について、市の見解を求めます。

◎箕面がめざす教育と子育て支援に関して

これまでの他の議員の方の一般質問と重なる部分もありますが、私なりの観点で質問させていただきますので、よろしくお願いします。

1点目に、秋田150人視察と新放課後モデル事業について伺います。

先般、箕面市は2012年度から2013年度にかけて、教職員を秋田県、由利本荘市に大量視察させて、注目を浴びました。この視察は「学力調査で6回連続全国1位、体力も小学校全国1位など高い水準を維持している」学校へ、その「秘訣を探る」目的で行われたものです。

先進市の事例に学ぶことはよいことだと思います。しかし2011年度の施政方針において「(彩都の丘学園を)関西における学力のフラッグシップ校をめざす」と示されたことと一連の繋がりを感じます。箕面市も学力で全国1位を目指したい、という強い政治的意思が伝わってくるように思えてなりません。

秋田の子どもたちをとりまく環境は箕面のそれとは異なるようです。3世代同居の大家族が多く、塾通いはほとんど無く、家族や地域の大人の目が行き届き、自宅での学習が定着している環境であると伝え聞きます。おそらく教育的課題も、都市型の生活環境である箕面とは違う部分があるのではないでしょうか。もしも政策的に「全国テスト1位」の教育に倣うという命題が、現場の優先課題になるとすれば、箕面市がこれまで培ってきた共生教育の理念を全うすることがはたしてできるのでしょうか。

今年度から始まった新放課後モデル事業の2校実施をめぐって、大きな問題が浮き彫りになりました。これまで2回、保護者の方々が自主的に開催されたこの事業実施にかんする学習会で、現場で起こっている課題について生の声をきくことができました。

1回目の学習会では、障がいのある子や支援を必要とする子へのフォローがおざなりになっており、なかには命にかかわるかもしれないケースであるにも関わらず、放置されていたことが明らかになりました。委託先にお任せ状態なのか、とも思えるほど、市教育委員会は現場の実態を把握できていなかったようでした。また、事故の報告が、市教委の上層部へ伝わっていなかったことも発覚しました。市教委内部の意識や体制の脆弱性も明らかになったと思います。

もとをたどると、保護者に十分な説明がなく、細部にわたる対策も不十分な状態で見切り発車した事業だといえます。

政策的な事業課題をスケジュールに載せることが命題となり、現場や現状に即した対応が後手になってしまったのではないでしょうか。

さらに、保護者が企画された2回目の学習会においても、その後の進捗において市教委の見解と保護者のそれとは大きくズレがあり、1回目の学習会で指摘された課題に対する問題意識の温度差がクローズアップされました。ちろん、現場スタッフがすべて怠慢であるという意味ではなく、子どもたちに寄り添い、頑張っている方々がいらっしゃると思いますが、たとえば、介助員にプログラムの手伝いを頼むので肝心の子どもへの目が行き届かないなど、事業者の支援児に対する認識が浅く、指導員の人員体制や根本的な研修が必要との指摘があったことは看過できません。また、加配がつかないため、保護者が付き添うことがプログラム参加の条件となった例があったなど、問題が指摘されてから1か月以上も経つのに改善されていないことが多い、という声もありました。「改善されている」と説明した市教委と食い違っていたのが気にかかります。

これらの声を受けた市教委は「事業者に伝えながらフォローしたい」というに止まり、「市が責任をもって早期に解決する」という強い意志を示されませんでした。

この事業の実施主体は市であるため、委託業者をどのような基準で、何を優先させて選んだのか、大きく問われるところであります。

この事業については、文教常任委員会においても重ねて議論されてきました。その課題を集約すると、

① 保護者に十分な説明がなされず、見切り発車した。

② 学童保育で求められている課題に対応できる事業者を選定しないで委託したのではないか。

③ 十分な引き継ぎや対策を確認しないまま、事業を開始した。

④ 現場で起きた問題に迅速に対処できず、その後の対策も不十分。

⑤ 課題のある委託業者への指導・監督が行き届いていない。

⑥ 共生教育の推進と学童保育の位置づけが曖昧になっているのではないか。

などであると認識しています。

今後、小プロが実施する「運営委員会」や市が開催する「検証委員会」についても保護者の意見や要望を取り入れた、実りのある運営や検証のあり方を模索していただきたいと願います。

今議会の委員会等では学童保育を今後も継続させるという市教委の説明がありましたが、今後想定される待機児童の問題解決を、学校外に求めるのではなく、原則的には公の事業として取り組むべき領域であることを強調・要望いたします。

2回開催された学習会場では、PTAや学童支援員を含め、多くの保護者の生の声を聴くことができました。会場からは、みなさん異口同音に市教委の報告とは異なる現場の実態や不安が払拭されない思いを吐露されていました。

このような現状の中で、箕面らしい「共生教育」をこれからも継続発展させることができるのか、危機感を抱くものです。いま、あらためて市の理念が問われています。極端な言い方をすれば、学力テストで1位を目指すこと、無言清掃などで静かに自分を見つめる、という課題が苦手な子どもにとっては、学校が目指さんとする価値の対局に置かれることになるのではないかと、危惧するのです。さまざまな個性の子どもたちがいて、それをお互いが認め合い、支え合い、ともに学び合って成長する。それが豊かな心をはぐくみ、生きる力につながる。多様性を尊重するという教育は画一的ではなく、個々の子どもたちに応じて行われるものであると考えます。あらためて箕面が培ってき共生教育や人権教育について、学童保育の位置づけを明らかにしたうえで、明確な市の理念・教育方針を確認したいと考えます。そして、秋田方式の教育を取り入れる際にはそれがどのように位置づけられるのか、お示しください。

2点目にひとり親家庭に対する「みなし控除」について質問します。

この9月4日、最高裁大法廷は、民法の相続格差規定について、従来の合憲判断を見直し、違憲判断を示しました。14人の裁判官が全員一致での判決でした。結婚していない男女間の子の遺産相続分を、結婚した男女間の子の半分とした規定について、法の下の平等を定めた憲法14条に違反するか否かが最大の焦点でした。この判決は最も基本的な憲法の人権規定を重くみた判断といえます。

「子どもに責任のない出生によって、法的な不利益を受けるのはおかしい」わけであり多様な家族観を前提とした最高裁判決の趣旨をふまえれば、婚外子差別についても同様の判断のもとで法的な見直しが不可欠であると考えます。

婚姻歴があってパートナーと死別・離別した女性には「寡婦控除」があり、所得税や住民税の控除が得られ、保育料や国民健康保険、市営住宅の賃貸料も減免されます。しかし婚姻歴のない母、いわゆる非婚の母には適用されません。

寡婦(夫)控除とは配偶者らと死別や離婚をした場合、所得控除が受けられる税制上の措置です。
この寡婦控除規定により算出された所得が,地方税,国民健康保険料,公営住宅の入居資格や賃料,保育料等の算定のための基準とされています。寡婦控除できる金額は27万円、特定の寡婦に該当する場合には35万円です。非婚の母の場合はこの控除が受けられないため、たとえば、年収200万円の非婚母子家庭が、保育料と税で年額20万円~30万円の負担増となっています。

先の最高裁判決の出る以前から、たとえば札幌市、千葉市、四日市市、奈良市、岡山市、高松市、高知市、熊本市、那覇市、などの地方自治体においては「みなし適用」を行ってきました。

また八王子市は検討した結果、市民税の運用規定を見直し、保育料、幼稚園の費用を4月にさかのぼり、市営住宅の家賃については7月から減免することにしました。

この適用の理由については「所得税法の改正が筋かもしれないが、国の動きは鈍く、先んずる形で決断した」「子は親を選べないということを根拠に踏み切った」というものでした。「離婚のひとり親世帯と状況は何ら変わりない」とした高知市など、多くが現制度の矛盾を挙げています。

2012年の全国母子世帯等調査結果では、平均年間就労収入は死別母子世帯が256万円であるのに対し、離婚母子世帯が176万円、しかし未婚母子世帯はなんと160万円しかない、という結果が出ています。非婚の母のほうが、経済的な状況は厳しいということが伺えます。より状況の厳しい、困窮度の高い非婚母子家庭に寡婦控除は適用されませんから、さらに格差が開く可能性があります。

「みなし適用」は地方自治を主体的に推進すべき自治体が、自ら法制度が変わるまでのあいだ、住民の暮らしを守るために実行している苦肉の策であるといえます。多くの自治体から声を上げ、みなし適用を実行することで国の法改正を促すことに繋がると考えます。

そこで、保育料算定や公営住宅利用などの手続きを行うにあたり、現行税法の「寡婦」と同等の控除をしたものとして取り扱うことができないでしょうか。子どもは親を選べず、自分の母が「婚姻歴がある母」か「非婚の母」かは,子ども自身ではどうすることもできません。

日々の営みのなかで親子には一刻の猶予もないわけであり、法改正を待っているわけにはいきません。「子育て日本一」をかかげる箕面市が、「みなし適用」を早急に取り組まれるよう望み、市の見解を求めます。

以上、真摯なご答弁を求めます。

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