2013年2月議会 討論
◎ 第2号議案 平成25年度箕面市特別会計競艇事業予算
無所属の中西です。通告外ですが、第2号議案 平成25年度箕面市特別会計競艇事業予算について別の観点から反対の立場で討論に参加し、以下簡潔に理由を述べます。
競艇事業の是非について議論するとき、収益金の一部が箕面市の一般会計に繰り出されることから、箕面市財政に寄与している事業であるというのが、いつも、賛成の論拠として述べられてきました。そして仮に競艇事業に反対するならば、代わりの財源確保をどうするのか対案をだすべきである、という議論が繰り返されてきました。その答えは、とりあえずは、身の丈に応じた予算組を行うこと、無駄を排し、可能な限りの倹約をすること、と言わざるをえません。
一方で、では市の財源になるのなら事業の中味は一切問わなくてもよいのでしょうか。
公営事業として合理性のある内容になっているか、「住民の福利に資する」という公営ギャンブルの目的から外れてはいないか。私はこの2点について、議会のみなさんと議論を重ねていきたいと考え、提案してきました。
課題の1つとしては、競艇場の賃貸借のあり方です。本来、家賃というのは固定費です。それが連動経費という変動費扱いとなっていて、本場売上と電話投票売上の4,725%を(税込で)住之江興業株式会社へ支払うことになっています。当初予算額では6億7095万円が競艇場借り上げ経費として計上されています。また住之江興業は都市協定組合からも同様の借り上げ経費を徴収しています。さらに、競艇場施設内の個人売店事業者からも賃貸料他を徴収しており、家賃と管理運営費がそれぞれいくらなのか、たいへん不透明になっています。
さらにこの賃貸借契約は、法的な根拠に基づくものではなく、住之江興業株式会社と箕面市長との間で毎年契約が更新されています。この賃貸借契約において、住之江興業は売店や駐車場などから使用料を徴収することができる、となっており、箕面市が借り上げている競艇施設の範囲のなかに売店施設も含まれており、その管理運営や使用料の徴収などが住之江興業にお任せとなっています。そのため売店事業者が法外な賃借料で困っていたとしても、箕面市は関知しないという構造になっています。
地方公共団体が実施している事業であるのに、このような不合理な運営形態は、やはり疑問であります。
2点目に、昨今社会問題となっている「ギャンブル依存症」の問題があります。
日々、競艇事業に精力的にとりくんでおられる職員のみなさまには、業務を否定するようで心苦しいのですが、政策執行機関として業務を遂行されるのは当然のことであり、遠方での運営に従事され、大変ご苦労をおかけしていますことは、十分承知をしています。しかし、議会としては事業そのものを精査し事業目的が達成されているのか、存続の有無を含めて結論を出さねばなりません。これまでギャンブル依存症とは、世界保健機構(WHO)が病気として認定しているもので、日本ではパチンコ・パチスロ・競馬・競輪、そして競艇によるものが多いとされています。大儲けを目論んで無理な賭けをしたり、借金を返済するために、勝つまで賭けをする傾向があり、負債を増やし、多重債務をかかえるケースもあります。借金は本人だけではなく家族を巻き込み、生活費を渡さない、とか家族の貯蓄に手をつけたり、家族も借金トラブルに巻き込まれたり、また家庭不和から離婚に至る場合さえあるといわれています。また借金苦から自殺という最悪のケースも少なくないそうです。
経済情勢が厳しい今日、射幸心を煽ることで、挙句にはこのようなギャンブル依存症を発症する原因になっています。公営ギャンブルの目的である「公共の福祉に資する」はずなのに、箕面市民が恩恵を受ける傍らで、このような目的とは相反する状況をつくっていることを直視しなければなりません。施行者である自治体がこのような現状に対して何らかの対策を講じるならともかく、市は今後も対策などは考えていない、というのが総務常任委員会でのご答弁でした。
2013年度からは、受託事業の拡大路線が明かになっていますので、いよいよ拍車がかかるでしょう。
私は、今後、競艇事業をどのように評価し、展望していくかということについて、全市的に議論しなくてはならないと考えています。
以上、2号議案・特別会計競艇事業費予算には反対し、私の討論といたします。
◎第24号議案 平成24年度箕面市一般会計補正予算(第10号)
通告外ですが、第24号議案 平成24年度箕面市一般会計補正予算(第10号)に反対の立場から討論します。
この補正予算は、国の緊急経済対策を使って、北大阪急行線延伸整備事業と、都市計画道路萱野東西線道路改良事業の、合せて約14億8300万円の事業に充てるというものです。
北大阪急行線延伸整備事業の内訳は、鉄軌道詳細設計委託費が7億5375万円、新駅周辺まちづくり検討委託費ほか、1996万円となっています。そしてこの事業の財源は、国庫補助が約3億6600万円、起債が3億6500万円、一般財源が約4500万円という内訳になっています。ただし、起債分の半分の1億8250万円は、後から交付税措置があり、またこの経済対策による事業の、地方負担総額の8割は「地域の元気臨時交付金」として還元されることになっていますので、これが北急延伸整備事業は「市の負担ゼロ」といわれる所以です。
さて北急延伸事業についての進捗状況は、市の説明では春(4月頃)に阪急、北急、大阪府、とともに4者で事業化合意ができる予定であり、同時に環境影響評価に向けた調査が実施され、その結果が5月か6月頃には明らかになり、実施設計に盛り込まれる、とのことです。また事業調査の結果については、現時点では内容は公表できず、地盤の問題などで箕面船場駅の位置が若干変更になったということですが、その件についても「現在検討中」ということで具体的な内容や方向性は分かりません。さらに環境影響評価でどのような問題が上がってくるか、なども明らかでないうちに、基本設計が固まり、総事業費がはじき出される、という状況になっています。そして事業合意ができれば、一気に実施設計へと進む段取りであることが委員会答弁でも明らかになりました。
また、市民に対する説明についてですが、これまでのべ1500人を超える方々に説明会を開催していただき、今年度の出張説明会でのアンケート調査では、84%の方が「延伸させるべき」と回答くださったとのことでした。25団体、583人の方に出張説明会をしてくださったとお聞きしていますので、489人の方が賛成してくださったことになります。
担当課の方では、これまでも精力的に説明会等にとりくんでこられたことは承知しています。私も参加し、また当時は会派としても説明会・意見交換会を開催しました。担当の方々には休日を厭わず、説明していただき大変感謝をしています。これまでのべ1500人以上を対象に説明されてきたことを否定するわけでは毛頭ありません。ただ、如何せん、私のところへは今も多様な声が市民の本音として寄せていただいております。北急延伸よりも他に予算を使って欲しい。北急が他の鉄道と繋がるのなら意味があるが、千里中央からわずか2.5キロメートルの延伸で萱野中央までなのだとしたら、費用対効果が危ぶまれる。関連施設の整備費など、これから市で必要となる予算の全容が把握できないので、市の財政的な将来設計が不安だ。今後、船場地域や萱野をどのようなまちにしたいのか、という議論の中で鉄道延伸が最適という結論に至ったのではなく、北急延伸ありき、から組み立てられている計画であり、どうかと思う。人口動向をみると、高齢化が進み、生産人口が激減する。北急延伸を描いていたころと社会状況が大きく変わってきたので、現状にかなった公共交通のあり方を検討すべきではないか。ストロー現象で返って沿線の商業施設が衰退するのではないか。
緑空間を本当に残せるのか、開発圧力に対し、効果的な策はあるのか。などなど多くのご意見が、市民サイドには根強くあります。これらのご意見に対しては、私が知りえる範囲で説明をしていますが、今後の市が行うことになっている関連施設整備については、どれだけの予算が必要となるのか、については説明することができず、市民のみなさまの不安を払拭しきれずにいます。東部地域の方々は千里中央や北千里が生活圏となっており、日常的な生活に欠かせないバス交通の利便性が確保できるかどうか、大きな関心ごとになっておられます。また地域を問わず、北急延伸における費用対効果や、箕面らしい山と農空間が一体となった街や景観を残すことができるのだろうか。のんびりと落ちついた風景が損なわれるのではないか。千里中央のような都市型の市街地となるのではないか。などという市民の皆さまの懐疑的な思いは当然の思いであると受け止めています。
また、市と船場東の地権者の方々との意見交換や情報共有は進んでいるようですが、船場西の住民への情報提供・意見収集等はといえば、住民の側からみれば十分に浸透しているとは言いがたいい状態です。つい先日もある自治会の方が、北急延伸は難航していると思っていた、とおっしゃっていました。2月議会で実施設計委託などが予算に上がっていることなどをお伝えすると、「知らなかった。船場西側への駅の出口設置はどうなっているのか」と心配されていました。駅周辺住民である船場西地域の方々のご意見・要望なども、基本設計が固まる前に、しっかり収集していただくべきであると考えます。
以上、今回の緊急経済対策は、渡りに船であり、これを活用したいという理事者の考えは一定合理性があると思います。しかし、鉄道を敷設するということは、非常に大きな予算を必要とし、関連施設の整備にも多大な費用を要します。さらにそれらの維持管理費用も発生してきます。また、開発が開発を呼び、街の風景も変わっていくでしょう。もちろん新しいまちづくりで得られる可能性を全否定するものではありません。しかし、これからの人口動向や社会状況を踏まえ、第5次総合計画策定に向けた市民会議では、「北急の延伸は慎重に」という意見が市長に提出されていましたように、これまでの30年間に計画されてきた状況と今後の社会・経済状況が著しく異なると考えるべきでしょう。さらに箕面市が管理する道路や建物などの多くの施設の修繕・改修費等の経費も毎年、発生するタイミングにあることも忘れてはならないでしょう。
このようなさまざまな課題があるなかで、市民が北急の延伸を選択するという全市的な合意形成が得られていない状態であると捉えています。またこれまでこつこつと説明会を重ねてきたことが、さらに活きるためにも、最後まで住民合意をはかる努力を尽くしていただきたいと願っています。よってこの実施設計委託事業は延伸の具体的な工事着手に繋がるため、予算には賛成しかねます。
以上、反対討論といたします。
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