2013年2月議会 一般質問
●一般質問
◎ 箕面市のコンプライアンスのあり方について
昨今、自治体のコンプライアンスについて論じられることが多くなりました。
行政が法令遵守を行うのは当たり前のことですが、依然として不正事務は後を絶たず、公務員倫理が問われるケースが少なくありません。このようななかで、住民との信頼性確保や、職員の意識改革、適正な行政サービスのために、不正・不当な行政事務を防止する目的で内部告発制度が整備されました。通報者を保護し、内部告発を労働者の権利として位置づけた「公益通報制度」でありますが、その制度をどのように活かし、運用できるかが今、問われていると考えています。
ただ今の名手議員の質疑を聞いていましても、市長宅の西側市道の狭隘道路をめぐる12月議会からの議論では、事前協議の段階でおける「行政指導」があったか、無かったかについては平行線のままになっています。例外規定がないのに「判断した」ということで納得できず、かつ市の内部からも「例外なく指導してきた」という声が届いている以上、再質問のご答弁を聞いていて、いよいよ疑念が深まったと感じます。
さて、「公益通報」について、総務常任委員会でも議論をしましたが、そのことを踏まえてあらためて質問いたします。
1点目の質問です。委員会の議論の中で、公務員の「守秘義務」について市の見解が述べられました。「公益通報」制度が、通報者の保護のために通報に関する問い合わせに応じない、秘密の保持を行う、ということは承知しています。公益通報があってもなくても「守秘義務」は地方公務員法第34条1項で規定されており、違反すれば刑事罰になります。
さて、市長は市長宅の西側にあたる市道についての市民からの問い合わせについて、ご自身の2月17日付ブログに「家を購入したと騙って(騙して)」「執拗かつ悪意を感じる」「善意の第三者をよそおった問い合わせ」というように書き込まれています。ご自身のブログの中で守秘義務が大切であることを述べておられ、かつ相談票の内容は当然知らない、という前提で述べられておられますが、にもかかわらず「執拗」「悪意を感じる」「家を購入したと騙して」「善意の第三者をよそおった」という具体的な記述をされています。つまり、相談が何度も行われ、相談の具体的内容は悪意があると思える記述になっていて、「家を買うから」という名目で行われたことを予めお知りになっていたのです。
このことは、情報公開条例では非開示条項にあたる「市民相談票」の内容が漏れて市長の知るところとなったというように考えられ、守秘義務違反に抵触すると思われます。しかも一方的に、問い合わせた市民を断罪しており、人権意識も問われる内容です。圧倒的な権力を持っている市長が、一般市民に対して、このような馬事雑言を浴びせているのですから、尋常ではありません。これらの非開示であるべき個人情報が漏えいするに至った経緯と、守秘義務違反がおこなわれたことに対する市の説明を求めます。
因みに、この方は、2月25日付で、議会に対しこの件の経過や心情について綴られた文書をご送付くださっており、市を騙して通報したものではないことが、十分理解できる内容でした。
2点目の質問です。私は市長宅の建築をめぐり、2件の公益通報が行われたと認識しています。1回目は12月16日付のもので、「箕面市の事務事業を受託した事業者の従業員」という市民の方からの記名入りのものでした。公益通報者が、意を決して議会という市役所以外の機関に明らかにされることで、この問題の徹底究明を望む強い意志を感じました。また、このような形で告発されることで、信念をもって訴えられたのだと受け止めました。この件は「公益通報」として本会議でも扱われ、窓口が受け付けて、通報処理委員会が12月20日に開かれたと、答弁いただきました。このように議会にもオープンにされた公益通報であったため、その後、受理・不受理はどうであったのか?通報者には市の要綱どおりにきちんと報告されているのかと、さきの総務常任委員会で質しましたが、ご答弁は「公益通報なので」「通報者の保護のために」「一切非公開で答えない」というものでした。しかし12月議会では答弁されていますので、おかしな対応です。すると「はじめてのことだったので答えた」が、「処理委員会で今後一切答えないことが決まった」というようなお答えが返ってきました。
この答弁にも、疑問点があります。「一切が非公開で答えられない」としながら、通報処理委員会での内容を公表されたことです。これを追及すると今度は「説明責任があるから」とお答えになりました。そうであるならば、先の質問にもお答えいただかねばなりません。辻褄が合わず、一貫性のない矛盾した市の立場の使い分けとなっています。以上の矛盾点はどのように位置づけていらっしゃるのでしょうか。明快な答弁を求めます。
3点目に、2回目の「市職員有志」の方からの公益通報の扱いについてお伺いします。要綱においても、国のガイドラインにおいても、公益通報が行われた場合は、通報者に対し、受理した旨、受理しない旨を遅延なく通知することになっています。2月9日付で、議会に知らされた内容によると、昨年12月24日に公益通報してから、一度も連絡はなく、かつ催促しても返事がなかったとあります。通報者の、このままでは闇に葬られるのではないかという危機感から、悩んだ末に議会やマスコミに公表したのであろう苦悩の跡が伝わってきます。本来なら可及的速やかに処理されねばならない公益通報が放置されていたと考えられます。これは不作為ではないでしょうか。「公益通報」に何か不備があった場合は窓口で不備を正す、あるいは不受理ならその理由を通知しなければなりません。とにかく、2月9日の段階では、市は何の手立ても打たれていなかった、放置していたと考えられます。「説明責任がある」と委員会で述べられたことを思い起こしていただき、不作為ではない事情があるなら説明をお願いします。
また、議会に送られてきた「公益通報」の内容を見る限り、匿名であっても連絡先を明記してあり、かつ「真実と信じることができる相当な理由があり、かつ告発目的が公益性を有している」ので、公益通報として受理されるべきでだと考えます。もし仮に記名されていた1回目の公益通報も、何ら通報者に連絡・説明をしないで数か月もの間、放置していたとしたら、これも不作為であるといえるでしょう。
4点目にこのような市のコンプライアンスのあり方を改善していくために、提案を行います。
先進市では、さまざまな取りくみが行われています。まず、千代田区条例では区の事務事業に関して違法あるいは不当な事実、がある場合は、区の職員等は、これを区長その他の区の機関または行政監察員に通報できるとともに、不利益取扱いの禁止等の保護措置を講じて、透明で適法かつ公正な区政運営が確保されるように、通報者保護と行政監察員による外部通報の制度を整備しています。また、吹田市では「吹田市職員等の公正な職務の執行の確保に関する条例」を施行し、市の業務について違法・不当な行為を防止して、市民から信頼される公正・透明性のある市政運営につとめています。この条例では、コンプライアンスの実現に向けて、「コンプライアンス審査会」と「公正職員監査員」という2つの組織を設置しています。また市の内部組織とは別に、外部窓口として弁護士2名を公正職務監察員にして公益内部通報を受け付けて、調査等が行えるようになっています。
さらに大阪市においても公益通報制度だけではなく。内部監察制度、コンプライアンス研修などにもとりくんでいます。2011年度には職員を対象にコンプライアンスアンケートを実施したところ、「コンプライアンス意識が高まった」とする回答が、約95%に達し、職員間の意識向上にもつながっているようです。
このような他市の先進的な取りくみを取り入れることで、箕面市においても、改革への一歩としてはいかがでしょうか。
◎市の情報公開のあり方について
この間、箕面市の情報公開制度について、箕面市情報公開条例の解釈について、拡大解釈や誤認による運用が際立っており、現場での混乱が生じています。
このような問題は、様々な部署で発生しており、市民と行政のあいだでも情報公開をめぐって見解が相違し、現場では解決しなかったために市民サービス政策課を経由して決着し、担当課が謝罪したケースも過去に見られました。
また、本来議員が求めれば知り得ていた情報が、得難くなっていきています。個人情報の保護は無論、大切であることは言うまでもありませんがそのことを踏まえたうえで、情報公開制度の趣旨を庁内でも正しく周知させる必要があるのではないでしょうか。
逐条解説の趣旨を確認するなかで、本来あるべき運用について市の見解を求めます。
1点目として、「開示請求が必要である」との担当課の指示により開示請求しましたが、2週間後、請求に該当するものは図書であるため、行政文書には該当せず、開示請求文書は不存在という結果でした。この件は、市長宅の建築をめぐり、昨年の第4回定例会(12月議会)の本会議において、「建築基準法上の道路に当たらないため、周辺道路を含めて精査した」という答弁がありましたが、この精査に用いた関係書類について原課に問い合わせたところ、「開示請求が必要だ」とのことでしたので、指示通り手続きをしました。ところが、2週間後、請求書類は図書であり、行政文書ではないので不存在、という結果をつげられました。本来ならば、2週間早く、求める資料に辿り着いていたのに、関係課を巻き込んで非常に無駄な事務処理をしたことになります。また、ある議員は同じく12月議会で議論になった元の書類を開示請求したところ、原課から「2週間ではチェックしきれないため、延期になる」との連絡を受けました。理由を確認すると、請求書類の中に非開示条項があるかも知れないため、そのチェックに時間がかかり、とうていあと数日では処理できないというのです。
納得できずさらに理由を問うと、総務部でのチェック(2重チェック)があるから、という説明でした。この件の顛末も、結果は全面非開示でした。全面非開示ならば、チェックの必要はありません。
以上の見解、および改善を求めます。
2点目は外郭団体の情報公開について質問します。
情報公開条例第23条には、外郭団体等の情報公開について定めてあり、市が出資その他の財政支出等をおこなう法人等の情報の公開を定めています。実施機関の責務は明らかにされていますが、外郭団体等の責務は明確にされていません。「市政運営の透明性を高める」、これは行政の至上命題です。外郭団体等は、箕面市から資料提供の要請があれば提供し、箕面市が開示・非開示の判断をおこなうよう改めるべきではないでしょうか?
現在、情報公開に関する規定を設けている外郭団体もありますが、それがすべ
ての外郭団体には整備されておらず、開示請求しても、市の要請を拒否する法人もあるようです。
以上、市の見解を求めます。
3点目は、7条第1号の運用について質問します。
「資格・経歴」が個人のプライバシー保護の観点から、非開示情報として定められているが、ただし市の事業委託を行い、委託事業による人材募集について、「資格」によって採用された場合は、これを非開示とするのは、不適切な運用ではないでしょうか。個人名、年齢等は個人情報として非開示となるのはある程度妥当性がありますが、その時々の状況に応じた運用が望まれるのではないでしょうか。
たとえば個人名・年齢等は伏せて、資格や経歴などは開示できるのではないかと考えますが、いかがでしょうか?
7条第1号の「個人に関する情報」の趣旨は、個人の尊厳の確保や基本的人権の尊重にあります。そして運用にあたっては「通常他人に知られたくない個人に関する情報がみだりに公にされることにないよう」配慮を求めているものです。この通常、他人に知られたくない情報の中に、思想・信条、宗教や身体的特徴ほかと並んで「学歴・資格」が挙げられていますが、これがすべて非公開ではなく、「特徴の個人が識別されるもの」となっています。また逐条解説では例外規定として「公益上の理由がある場合」には開示することができる、とあります。市の委託事業のためのスタッフの資格の開示はこれにあたり、名前や年齢を非公開にすれば十分開示できると考えます。
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