2012年2月議会 討論
◎ 議員提出議案 第1号 箕面市議会議員定数条例改正の件
この条例提案の目的は、財政状況が厳しく市民に痛みをお願いしているなかで、議員(議会)も議会改革という位置づけで、議会費の削減をおこなうというものであると理解しています。この目的においては、私もおおいに賛同いたします。
しかし、その手法を「議員の定数削減」においている点については、内容を精査しなくてはなりません。
さて、提案者は、電子機器を使うことで、議員一人当たりの仕事量がアップしており、議員数を削減しても弊害はない、と主張しています。これは12年前に2名の議員定数を削減したときの議論とまったく同じです。この間、私たちは委員会室でのパソコンの使用を提案してきましたが「時期尚早」と、議会改革会議のなかで却下されてしまいました。委員会のご答弁では電子機器の使用で、仕事率がどの程度のアップに繋がるのか、客観的データもしくは詳細な説明もなく、ただ「感じる」「と思う」といった主観的、抽象的な理由に終始していました。
さらに、多様な考えの市民の声を議会に反映しようという観点から、議員の数を減らすべきではないことは自明の理です。にもかかわらず、議会運営委員会の質疑のなかで、提案者は各議員が多様な市民の声を聴き、その声を議会活動にいかせばよいのだ、との見解を示されました。「議員定数の削減」については、市民の方々から議会に対し「議員の定数を減らさないでください」「市民本位の多様な意見が反映できる市議会にしてください」という申し入れ書が提出されていましたが、提案者は「自分たちの支持者の声ではないから」なのか、この声は捨て置かれました。自らの思いと異なる市民の声を聴く、というのはやはり限界があると思います。だからこそ、多様な市民の声を代弁できる、多様な立場の議員が必要なのです。
12年前の定数削減議論において、2名削減を提案した議員から、議会の機能を考慮した「適正数」について25名が最適であり「場当たり的ではなく議会活動の機能が発揮できるかを考慮すべきで、市民の声が多いからと安易に削減というのは疑義を感じる」というような議決機関としての機能確保について議論されておりました。
しかし、このたびの定数削減が実現すると、委員会運営を考えれば委員数6人の委員会と5人の委員会がそれぞれ2委員会づつという配分になります。つまり委員長を除いた4人で審査する委員会での採決は委員長判断が求められる場面が多々発生するであろうことが想定できます。この件について、先ほどの議会運営委員会では提案者から「委員会の統廃合」をも視野に入れているとの答弁がありました。これでは、議会の単なる合理化であり、議会機能を低下させるものです。これは議会改革ではなく、議会本来の基本的役割を軽視したものといえます。
そして、もう1点は、定数が削減されれば議員のクオリティが上がる、という根拠についてです。提案者は、選挙を勝ち抜くために努力することが、議員の質を高めるのだと説明されました。
しかし選挙に勝てば、少数精鋭の議員となり議会運営できる、という担保はどこにもありません。そもそも、市民の議員や議会にむけた批判は、「議員や議会が何をしているのか、分からない」「何をしているのか分からない議員に高額な報酬はもってのほかだ」「議員なんて必要ない」という我々に対する不信感の表れです。地方分権・地域主権改革がさけばれている今日、市民の不信感を払拭するには、議員および議会は、自主的・自律的な改革が求められている、という自覚を持たねばなりません。議員定数の削減は、一見分かりやすいかもしれませんが、議会の機能を低下させるだけなので、結果的に、市民のためにはならず、しばらくすればまた議会への不満が蔓延するでしょう。
さて、議員の報酬や期末手当、旅費、政務調査費をはじめ、議会事務局職員の給与、手当て、各種需用費などの議会費は、一般会計予算の約1.2%です。議員の役割は、市の意思を決定する議決機関であり、執行機関を批判監視するほか、政策提案や条例提案など、基礎自治体の分権改革を進めるために、議会の活性化が必須であると考えています。99%の予算をしっかり精査・チェックすることは、限られた財源を活かしきることになり、そのことの方が費用対効果があるのではないでしょうか?
先日、市議会の研修で、議会改革について講演された新川達郎さんからは、「議会の自己改革、監視機能強化」「住民と議会の関係を変えて遠い議会から身近な議会へ」「住民参加の観点から地方議会を変える」「議会への住民参加の推進」等々、さまざまな提案をいただいたことは、まだ記憶に新しいと思います。
以上、議員定数の削減は、議会改革とはなりえません。また議員みずからが「身を削る」のは、議会経費の見直しや、議員が関連している経費の削減などもっと他にも方法があります。
箕面市議会のみなさまが真の議会改革の実現と建設的な見地から、この条例案には反対くださるよう訴えまして、私の反対討論といたします。
◎議員提出議案 第2号 箕面市報酬及び費用弁償条例改正の件
この条例は、議員の自主的・自律的改革姿勢を示すために、提案されたものです。
まず1点目は議員の期末手当に含まれている役職加算20%を廃止しようというものです。
1991年、人事院勧告をうけ、官民格差を是正する目的で、この加算制度が導入されました。バブル期の国家公務員の給与が民間に比べて低かったためで、これが地方公務員に適用され、議員についても準用する条例改正がおこなわれました。
しかし、20年が過ぎ、現在の社会状況や箕面市の財政事情を考えれば、すでにこの制度が果たした役割を終えていると考えます。むしろ、この制度を適用する根拠がなくなった今、いつまでもこの制度を適用し続けるのは、市民の方々に説明ができない税金の支出と言わざるをえません。
さきほどの議員提出議案第1号の議員定数削減案についても述べておられたように、「市民のみなさんに痛みをお願いしているなかで議員も自ら身を削るべき」という考えは、箕面市議会で共有できるものと考えております。
「市民に言われたから」ではなく、まずは、議員自らが自主的・自律的に、説明のつきにくいこの役職加算の議員への適用を廃止しようという提案に、賛成いたします。
なお、先の議会運営委員会では、議長・副議長の仕事が煩雑であるため、報酬面での考慮について議論があったように思います。しかし、議長・副議長にはすでに報酬額において考慮されていますし、またそれぞれ希望して要職に就いておられます。重責をまっとうされていることには敬意を表しますとともに、報酬の多寡で議長・副議長職に就かれたのではないと理解していることも付け加えておきたいと思います。
また法律用語である「当分の間」という表記について、議会運営委員会でも説明させていただきましたが、なお、誤解のないように説明を加えておきたいと思います。これは、もともとの条例に入っていた文言であり、このたび新たに追加したものではありません。また役職加算を時限的に廃止するためではなく、恒久的な廃止を意図しています。そもそも議員の報酬については、生活給と活動費が含まれており、報酬のありかたを整理し、望ましい報酬額について議論すべきであると考えています。
2点目には、競艇運営審議会委員報酬を、月額から日額制に変更するものです。
現在、競艇運営審議会委員は、全員が市議会議員であり、報酬について会長は月額1万9千円、副会長は18,500円、一般の委員は18,000円が、支給されています。このたびの提案では一律に日額制とし、他のほとんどの審議会報酬と同じ、7400円にしようと提案しています。
審議会は年に3回から5回程度の開催です。開催時間は平均すると30分〜60分程度です。審議会とは別に出務とよばれている競艇場の調査活動があるようですが、これは任意の活動になっていて、拘束時間もなく、出欠もとりません。ビッグレースが開催されるときの年1〜2回はほぼ全委員の方々が住ノ江競艇場に出かけられている、とのことです。また、特殊な案件があればこの限りではなく、ナイターレースの開催が始まるときや梅田ボートピアの竣工時などは、さまざまなイベントや会合があったと記憶しています。
私は競艇運営審議会委員は全員が議員であることから、議員報酬をいただいており、その職責において競艇の調査活動を行えばよいと考えています。
もちろん専門員の方々は、かつては2名体制であったり、昨今では3名体制だったりと流動的になっています。専門員は議長を経験された方が担っているとのことですが、その仕事内容は、明確な規定があるわけではなく、不定期に団体と懇談をすることがあると聞いています。そしてその懇談も議事録があるというものではありません。もし、仕事の一部であると位置づけるなら、とても分かりにくいものであり、お客さまをもてなすご挨拶のようなものだと考えたらよいのだろうか、とも思っています。
私はナイターレースが検討されていたとき、何度も住ノ江に行き、地域住民の方々と意見交換を行いました。また、それ以外でも、住ノ江競艇場や梅田のボートピアに、足を運び、現場の様子や周辺地域の調査をおこなってきました。これらは議員として、当然の調査活動であると考えています。
また交通費は政務調査費を活用することもできます。
他の審議会、たとえば都市計画審議会や、保険医療福祉総合審議会などは日額制になっています。審議会の審査に要す時間や資料のボリューム、事前のヒアリングや調査活動などを総合的に考え、委員が全員議員であることを考慮して、日額制にするべきであると考えています。たとえ特殊な審議会であったとしても、日額制と政務調査費を合わせて、充分、調査活動はできるだろうと思います。
さきほどから、介護保険料や国保、市税の値上げをめぐり、苦渋の中での決断を余儀なくされたというような議論が飛び交っています。まさに、私たち議員が少し、身を削ることを開始しようではありませんか。
以上、この条例案の提案者でもある立場から、賛成討論させていただきました。
私はこれまでも、さまざまな議案に対し、是々非々の立場で、自分で考え、賛否を決定してきました。今、議員に求められている資質のひとつは、個々の議案をしっかり精査し、議論を尽くし、結論を見出すことにあると考えています。お互いの意見を尊重し傾聴する姿勢と、最初から結論ありきの硬直した態度ではなく、議論の蓄積のなかで結論を見出すというまさに「議論の府」にふさわしい議会や議員のあり方を目指すべきではないかと考えています。その意味で、今回提案者以外の議員のみなさまが、建設的にご判断いただきますことを訴え、私の賛成討論といたします。
◎ 第3号 平成24年度(2012年度)箕面市特別会計競艇事業費予算
2012年度の競艇事業費予算では、予算規模が506億円、総売上、438億円、収益6億4235万円のうち6億円が一般会計に繰り出される予定になっています。貴重な財源であることは否定できませんが、公営事業である以上、合理的な運営と健全経営であることが求められます。
さて、住ノ江競艇場の借上げ経費についてですが、本来、家賃というのは固定費のはずなのに、変動費扱いとなっており、売上の4.5%、消費税込みでは4.725%を家賃として箕面市が住ノ江興業株式会社に支払うという仕組みになっています。
2012年度の当初予算では、消費税込みで9億4500万円の家賃が計上されています。またこの家賃には駐車場も含まれていますが、箕面市は家賃を払うけれども、売上は住ノ江興業株式会社にわたるという不合理な状態になっています。
施設の維持管理は住ノ江興業が行うことになっていますが、夫々の費用の明細は不明であり、不透明な管理運営体制になっています。公営事業である以上は、明朗会計でチェックが行えるようにしておくべきでしょう。
このほかに住ノ江興業鰍ヘ、箕面市以外の施工者とも賃貸借契約をおこない、さらに箕面市が借りている競艇場内にある食堂、売店ほかからも、使用料を二重に徴収し、収入にしています。
このような重複する家賃徴収が行えるのは、箕面市と住ノ江興業との間で、任意の賃貸借契約がかわされ、そのなかで、住ノ江興業のさまざまな権利を認めているからです。そしてこの契約は毎年、年度始めに更新されています。
たとえば、この施設内の個人売店事業者が、割に合わない家賃徴収で、収益に影響した場合があったとしても、箕面市が調査することはできないという構造になっています。地方公共団体が実施する公営事業が、このように不透明、不合理な運営になっていることは、非常に残念であり、同時に違和感を覚えます。
したがいまして、公営事業の透明性のある健全な体質改善のために、住ノ江興業鰍ニの賃貸借契約の見直しを求めつつ、問題提起といたします。
以上、簡単ですが、さらなる議論の深化を願い、反対討論といたします。
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