2011年5月議会 一般質問
●一般質問
市民派ネット 中西とも子
「箕面市図書館8館構想(たたき台)」について質問します。
3月、「箕面市図書館8館構想(たたき台)」が箕面市施設再編特命チーム 図書館サブチームから提案されました。文教常任委員会が開催される直前のことであり、議会にとっては、経緯や提案をまとめるに至る議論の中身など十分に租借されないまま、第1回定例は終了しました。そして、この第2回定例会においても引き続き委員会で議論となりました。
私はこの間、箕面市図書館協議会を傍聴し、また現場で働く職員や彼らと協働で事業にとりくむ市民の声、図書館の利用者などからさまざまな意見を聴取し、また図書館サブチームの担当職員などの見解、委員会での議論をふまえたうえ、未だ理解の及ばぬ側面があるため、一般質問を行います。
1項目めとして「箕面市8館構想(たたき台)」が提案されるに至った経緯について質問します。
この構想は「施設再編PJ(たたき台)」として、市の施設再編計画を公表するなかで、小野原西地域の住民から図書館設置を求める強い要望があり、その意向を受ける形で、提案されました。従来の6館に住民の強い要望があった小野原地域、そしてさらに止々呂美の1箇所が加えられて合計8館を実現するために、どのように財源を捻出しようか、という視点で検討されたと解釈しています。
さて、この構想をまとめるにあたって、現場職員からのヒアリングについては「どのような形」でおこなったのでしょうか?その上で現場職員の声はどのように反映されているのでしょうか?また、利用者へのヒアリングや要望などはどのように収集したのでしょうか?
2003年3月に図書館協議会が「図書館業務の委託のあり方について」を答申しています。このなかで人口10万人〜15万人の自治体で市立図書館のサービス比較を掲載し、箕面市立図書館が他市との相対比較において効率よく運営されていることについて述べています。
また、今後の課題や業務委託について答申していますが、これらの答申を市はどのように受け止めておられるのでしょうか。ご答弁をお願いします。
そして結果的に、委託業務については、どのように取り組んだのでしょうか?
文教常任委員会の議論では、図書館職員の人員削減は過去に一度もおこなっていない、というような市の答弁であったのですが、事実、そうであったのでしょうか?委託も行わず、人員もまったく変わらないのでしょうか?
2項目めの質問です。
図書館・司書の役割とこれまで箕面市立図書館が担ってきた成果について、どのように評価しているのでしょうか?また、今後、図書館と司書に求めるものは質的・量的に変化するのでしょうか?明確にお答えください。
また、図書館のミッション、役割をどのように捉えているのでしょうか?
そしてこれまで箕面市立図書館がはたしてきた成果をどのように評価しているのでしょうか?具体的にお答えください。
さらに市は「司書」の役割というものについて、具体的にどのように捉えているのでしょうか?また、箕面市立図書館の司書については、どのように評価しているのでしょうか?
さて、証明書発行業務がこの4月から図書館のカウンターで行われることになりました。図書の貸し出しで人々が並んでいるカウンターで、個人情報である証明書の発行業務が行われることになります。市はこの証明書発行業務は図書館の役割のひとつであると考えているのでしょうか?
箕面市では「箕面市子ども読書活動推進計画」が策定され、現在は第2期計画であると思うのですが、第1次、実施計画について、どのように検証・評価されて、第2期計画の実行にあたっているのでしょうか?お答えください。
3項目めに「8館構想」について質問します。
市は、「これまで図書館がめざしてきた『大切にしたい視点』を変えることなく、図書館サービスの空白地域である小野原西と北部に図書館を設置し、さらに、書籍購入費を2倍に倍増、インターネット端末の貸与、全館ローテーションによる蔵書の流動性アップなど、サービス向上も実現する一方、ICタグシステムの導入、中央図書館への業務集約や人員配置の見直しなど、徹底して効率化を図り、緊急プランで示された目標効果額の確保もめざしている。」というような説明をおこなっています。
そこで、具体的な質問ですが、図書館業務全般について、無駄を省き業務の効率化をはかるという視点で事業仕分けを行ったのでしょうか?また事業仕分けは、どのような手法で行ったのでしょうか?また、その分析結果はどのようなものでしょうか?
ICタグについて、伺います。その導入目的は?導入で得られる費用対効果についてどのように試算しているのでしょうか?先進的に取り組んでいる自治体へのヒアリングではどのような結果が得られていますか?また失敗しないためにも、ある程度、先進市の取り組み結果を検証してから、導入してもよいのではないかと思うのですが、いかがでしょうか?
さらに人件費削減、約1億300万円という試算の根拠について質問します。6館から2館追加されるので、本来なら人件費は増額となるはずです。にもかかわらず、さらに削減するというのは、それなりの試算の根拠があるはずだと考えられますが、現在、試算内容は公表されていません。どのような人員配置を想定して試算されたのか説明いただきたいと思います。(これは、図書館協議会を傍聴していたとき、委員さんからも質問が出ていましたが、市はいっさい答えていませんでした。「たたき台」と位置づけて議会や協議会に報告されたものですが、その内容に対する質問に答えていただけないようでは、議論は進みません。発展的な議論を進めるうえで、是非、説明をお願いいたします)
構想について、市は「これまで図書館がめざしてきた『大切にしたい視点』を変えることなく」と繰り返し説明してきました。この、箕面市が図書館運営において「大切にしたい視点」とは具体的に何を指すのでしょうか?
最後に協働主体である市民との合意形成の図り方についてお伺いします。
市民説明会やパブリックコメントを行わない理由についてですが、文教常任委員会では、すでにゼロ試案の時にパブリックコメントを募集したので、必要がない、というご答弁でした。また施設再編に関するパブリックコメントについて、未だに市の見解は公表されていません。
おまけに、当時の議論と8館構想とでは内容も異なっています。全市民に対して丁寧な説明会を行い、市民と意見を交え、せめてこの8館構想にかんするパブリックコメントを募集すべきだと考えます。
今、市立図書館のカウンターには8館構想(たたき台)も協議会が提出した「意見書」も置かれていません。ある図書館で、何故置いていないのかを尋ねたところ「色々と議論の経過があって、今は置けないことになっています」と申し訳なさそうに答えてくれました。そして「インターネットで見れますので」と付け加えてくれました。しかし、圧倒的に多くの市民は、議論の経過など知る由もありません。カウンターに双方の資料を見つけることができなければ、市の提案もそれに対する協議会の考え方も分からないままなのです。「たたき台なので」「これから議論いただき」という行政の説明はとても虚しく聞こえます。
ほんとうに、しっかり議論したいと願うなら、まず積極的な情報提供を行うべきであるし、市民との意見交換の場を設定するべきです。議論のもととなる資料を撤去するなど民主主義の後退であり、市民参加をないがしろにするものであり、協働の理念が不存在であると言わざるをえません。
今後の説明会の開催、市民意見収集の可能性を問うものです。
さまざまな人たちがさまざまな目的で図書館をおとずれます。そして図書館では地域の方々と協働で多くの事業を担ってきました。図書館の役割を検証し、あるいは行政改革という視点から、事業の点検を行うなかで、無駄があれば省く、しかし本当に必要なものは残す、あるいは強化するという観点が必要であると考えます。箕面が誇る図書館について、一律削減、という発想ではなく、市全体の予算配分の中で、何を大切にし、優先させるのか、という政策判断が求められていると考えます。
以上、真摯なご答弁を期待し、一般質問を終わります。
◎「箕面市図書館8館構想(たたき台)」について(再質問)
ただいまのご答弁に対しまして、再質問させていただきます。
まずはじめに、2003年3月の図書館協議会の答申についてですが、資料整理業務や移動図書館運転業務、配本業務などは結局アウトソーシングに結びついたのではないでしょうか。
さらに図書館の人員体制についてですが、司書の正規職員は不補充となっているおり、6館合わせて非正規やパートを含めて50人から現在40人となっています。また先ほども申しましたが、箕面市立図書館は人口10万人〜15万人の自治体の中で、効率的な運営がなされているというデータが上がっていますことを申し述べておきます。
「8館構想(たたき台)」について、つい先日の市長のタウンミーティングにおいても、市民の方からご意見が出ており、構想をもっと市民に知らせるべきで、もう市民の意見を聞く必要がない、という市の見解は納得できず、市の市民に対する説明が不十分だと訴えておられました。市長さんは図書館が人件費のかかる施設であることをことさら強調し、あげくに「これは行革なのだから、事務レベルで進める」とお答えになられました。
構想には「市全域にきめ細かやかな図書館サービスを提供するプロジェクト」とあります。「行革」といわれるなら、今後総務常任委員会でも取り上げさせていただきたいと思いますが、しかし、少なくとも、構想(たたき台)に対する市民の疑問、質問があれば、市は市民に対し説明責任があると考えます。
市民から寄せられた署名や、さまざまに発信される「説明会」を求める声に市はずっと背を向ける、というのでしょうか。時代の流れに逆行する頑なな姿勢を、ずっと貫くというのでしょうか。
市民の方は「たたき台と言いながら、文教常任委員会や6月の教育委員会を傍聴していると、資料を読み込んで議論している風ではなかった」とさらに質問されましたが、これに対して市長さんは「たたき台なので、議論できる内容ではないので当たり前」「今後、予算のなかで審議する」と答えられました。
この発言には、非常に驚きました。これでは意思形成段階で、市民が意見を言えないことを完全に肯定されています。市民は口出しするな。協議会や議会で議論する。ということなのでしょうが、議会で予算審議の時になって構想(たたき台)の中身のあるものが示される、というのであれば、このたたき台とはいったい何のために出されたのでしょうか?また、予算審議ではその他の事業と一緒に賛否が問われ、採決されます。その他の重要な予算が多数、混じっていた場合、個別の事業予算に問題があったとしても予算総体として賛成せざるを得ないと判断する議員の方もいらっしゃるでしょう。大事な課題については、市民意見を求めながら政策決定すべきであると考えます。
図書館の運営に関しては、これまでも多くの市民の方々が関心を持ち、多数のご意見が市に寄せられています。だから、これ以上、意見を聞く必要がない、というのではなく、これだけ市民の関心が高い課題について、丁寧に説明し、意見交換し、合意を目指すという、行政として当たり前のことが何故、できないのかと不思議に思います。どうしてこれほどまでに硬直化した対応をとるのか。これでは、民主主義不在であると言わざるをえません。箕面市市民参加条例にも抵触します。市長は、単なる行革なんだから、市民から見えなくてあたりまえともおっしゃいました。しかし、先日の教育委員会では委員から「箕面が誇れる図書館をどうしたいのか、市のサービスとは箱ものであり、箕面はこれまで地域密着型で司書を配置してきたが、このたび大きくシステムを切り替えて、できることとできないことが何なのか、非常にわかりにくい」という意見がありました。
図書館の運営を大きく変えることを市が提案している訳であり、図書館協議会においても看過できない課題として「意見書」が提出されています。
現在、この意見書に対する市の回答も、放置されたままのようです。このような状態のなかで、「行革なんだから、市民から見えなくてあたりまえ」とは、乱暴な考え方であり、たとえ、行革であったとしても、もっと市民に見えるよう可視化すべきであると考えますし、強く要望いたします。市の、「行政が決めたこと、結果を市民に報告すればよい」という姿勢を改めるべきです。そんな姿勢からは市民協働はえられません。
ちなみに、行革とはイコール引見費の削減なのでしょうか?仕事の目的が達成できているか。必要な事業であるか否か。無駄な業務がないか。という観点からチェックを行い、部署のミッションや目的が果たせるよう改革を行うものです。行革イコール人件費の削減という短絡的な発想ではなく、公務員という職責の重さ、あるいは専門職はそのスキルを磨き、専門性を発揮できるような体制を組むことが大事であると考えます。
なお、小野原の住民には施設再編という位置づけで説明する、とのことですが、私は、施設再編の問題と、図書館運営のあり方を大きく転換することは、別次元の問題であるため、図書館構想が進まなければ、小野原の施設建設も進まないというような言い訳にならないよう、要望します。
さて、私はご答弁を聞いていて、専門性を理解しない机上の論理と現場の声がまったくかみ合っていないように思います。市のご答弁には、図書館の役割や司書の役割については、実に簡素な内容になっています。それだけ、ご理解や関心が及んでいないのだろうと感じます。
図書館の司書の仕事は、カウンターで見ているよりも多様です。
資料の収集、整理、保存のほか、利用者から質問されたことに答えるレファレンス・サービスや図書館にそろえる本を選ぶ「選書」、成人・児童・青少年・高齢者・障がい者・地域に在留する外国人などの利用者に応じた図書サービス。さらに住民の自主的・自発的な学習活動を援助するため、読書会、研究会、鑑賞会、映写会、資料展示会などを企画し、また他の社会教育施設や学校、民間の団体などと共催するなど、多岐に渡っています。
地域の乳幼児を対象とした絵本の読み聞かせなどもそうです。そのほかにも、住民の情報活用能力の向上を支援するために、講座や学習会の開催や、ボランティア参加の促進、広報活動などとてもきりがない多くの業務に従事しています。
そこでお尋ねします。
6月6日におこなわれた参議院決算委員会で、片山総務大臣は図書館の司書がどんどん非正規化している現状について「司書などは是非、正規化すべきだと思う。最近のように非常に高度化して専門的知見、経験が必要な相談業務も増えている。実情に応じて正規化を試みることも必要」と述べています。
さらに「総務省はかつて集中改革プランを示し、5年間で5%定数削減すべし、と機械的に強力な指導をしてきた過去がある。それは撤廃し、必要なところに正規職員を充てるべきだという考えを示している」と述べました。このことは、当然市はご存知であったと思いますが、この総務省見解をどのように受けとめておられますか。
以上、図書館でのサービスに人件費がかかるのは、ある程度当然といえます。しかし行革にしろ、図書館改革にしろ、現場職員と十分に話し合い、かつ可視化が必要です。構想(たたき台)の公開での議論を求め、再質問とします。
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