2009年12月議会(2009.12.14) 一般質問

●一般質問

市民派ネット 中西とも子

◎農地法改正にともなう新規農業参画の可能性と市の対応について

農地法改正にともなう新規農業参画の可能性と市の対応について一般質問します。

昨今、農業に対する関心が高まっています。穀物価格が高騰するなか、安心・安全な食料供給と自給率の向上、環境保全、あるいは新たな雇用の創出など、農業政策の見直しが喫緊の課題となっています。

農林水産省の統計によると、農地をめぐる日本の状況は、農地面積は、1961年以降、農地開発や干拓などで拡張されてきましたが、一方で住宅や道路用地などへの転用が行われ、現状ではピーク時の609万ヘクタールから約7割の463万ヘクタールまで減少しています。また耕作放棄地も約39万ヘクタールに及んでいます。

さらに基幹的農業従事者は1990年の293万人から2008年には197万人に減少し、平均年齢は2007年度で64.6歳と高齢化しています。ちなみに箕面市の農業者数も1995年の630人から10年間で539人に減少しています。

担い手の高齢化、後継者不足そして担い手への農地の利用集積が進まず非効率であること、農地価格と純収益のバランスの悪さなど、さまざまな課題に対応するために農地制度の見直しが検討されてきたところです。

本年6月17日に成立した改正農地法および改正関連法は、「平成の農地改革」ともいわれるほど農地制度の根幹を変えるものになっています。

法改正では「農業生産・経営が展開される基礎的な資源としての農地を確保し、その利活用を図っていく必要」があるとして、賃借権の大幅な緩和=自由化、経営と耕作の分離をはかり、「所有」から「利用」へと転換して農地の流動化を促すというものです。

これは農地法の目的を見直し、農地の利用者を増やす。農地の面積集積を増やす。遊休農地対策を強化する。そして農地税制の見直しを行うことで農家が他の人に貸した場合でも納税猶予の適用を受けられるようにすることで、農地の転用を防ぎ、確保しよう、というものです。

これらが上手く進められれば、農空間の減少を食い止め、農業の継続と新たな農業の担い手を創出することができるでしょう。

もっともこの法改正については、企業の農業参入を容易にし、農業の市場化を促進することで、従来型の家族経営中心の農業を解体し、安心・安全な食料自給や環境保全を阻害するという批判もあります。

しかし、箕面市のような小規模な都市農業においては、今回の改正農地関連法を活かすことで、当市が抱えている課題を解決できる可能性が十分にあるのではないかと考えます。

このたびの法改正では、分散した農地を面的にまとめる仕組みが市町村に導入されました。また遊休農地対策など農業委員会の役割もいっそう重要になっています。

先に述べた農地や就農をめぐる課題は箕面市においても同様です。そこで箕面市の今後の新規農業者の参画や就農としての農業の可能性など、さまざまな方策に関して農業委員会や農政における取組みや展望について質問します。

1点目に法改正による農地の流動化策についてお尋ねします。

農業委員会では「農地の流動化」をはかるために、どのような手立てが検討されているのでしょうか?市街化調整区域内の流動化はどのように行うのでしょうか?

また、納税猶予者に対する農地の利活用について、調整区域内農地と市街化区域内の生産緑地それぞれの利活用をどのように進めていくのでしょうか?ご答弁を求めます。

2点目に新規農業参画者等の育成や支援活動の取り組みについて伺います。

全国的な課題ですが箕面市においても、高齢化と後継者不足の問題があります。とりわけ止々呂美においては、過疎化対策としての農業後継者問題が深刻な課題となっています。

大阪府では2008年4月から「大阪府都市農業の推進及び農空間の保全と活用に関する条例」が施行されました。大阪府の実情にそった独自制度が必要ということで条例化されたものですが、これは「多様な担い手の育成」「農空間の保全」「安全安心な農作物の供給」という3つの柱で制度化されています。このような制度も活用しながら、箕面市独自の箕面市の実情にあった制度や取組みが必要になろうかと思います。

箕面市では本年4月から農業者の営農を支援する「農業サポーター制度」を実施しています。農業の担い手支援策として、また新規就農を目指す市民を適材適所へマネージメントする取り組として、箕面市の農業が一歩前進したと評価しています。また、7月には農業委員会は「営農指導チーム」を創設しました。耕作をやめた農家に農業再開を促すために、農地パトロールなどで地域の農業者の悩みや相談ごとに対応されており、害虫など近隣に被害が及ぶ恐れがある「指導対象農地」約1.6ヘクタールのうちほぼ8割の遊休地が、8月末までに解消できたと伺っています。「農業サポーター制度」を活用し「営農チーム」が効果的に機能しているのだと理解しています。

このサポーター制度を今後はどのように発展させ、次の段階へ昇華させる予定でしょうか?現在の「農業サポーター制度」は「援農のためのボランティア」という位置づけになっていますが、本格的に農業を考えている「新規の農業の担い手」育成が必要になってくると思います。

12月15日に「箕面市担い手育成総合支援協議会」が発足しました。私もこの設立総会を傍聴させていただきましたが、遊休農地発生の原因にもなっている後継者問題、農地転用の取り締まりの強化と、担い手の発掘、育成・支援について農業委員が積極的に担っていくというお話がありました。

この間の農業委員会の精力的な取り組には敬意を表しますが、さらにこれから農地の利用調整、マッチングなどの農地の斡旋や新規参画者の養成にあたり、技術習得など担い手の育成については農業委員会ではどのように検討されているのでしょうか?また農地の利活用や経営相談など具体的な取り組・推進策はどのようになっているのでしょうか?

さらに、安心・安全な生産物を消費者へ提供するためのシステムづくりは検討されているのでしょうか?

このたびの農地法改正では今後、農業委員会や農政の役割がさらに重要となってきますが、推進・指導体制は万全でしょうか?

以上、ご答弁を求めます。

3点目に生産物の販路について質問します。

これまでの箕面市の農業振興にかかわる大きな課題のひとつですが、新規農業参画が可能になったとしても、農業経営には生産物の販路確保が欠かせないと思います。農協等団体との連携などの見通しを含め、安定的な場所の確保なども合わせて具体的な展望はどのようになっているのでしょうか?あらたに「就農」を検討されている方々にも経営が成り立つかどうかにかかわる問題であると考えます。

地産地消や地域の賑わいなど箕面のまちづくりにも大きくかかわってくる取り組でもありますので、大いに期待したいところです。ご答弁をよろしくお願いします。

以上は、これからの箕面の「箕面らしさ」を生かすことにもつながる重要な要素でもあります。今後の農業委員会の活動や建設的な農業政策について質問しましたので、理事者の真摯なご答弁を期待して私の一般質問を終わります。


2009年12月議会報告へ戻る


閉じる

トップページへ戻る