2009年6月議会 討論
市民派ネット 中西とも子
○討論
通告外ではありますが、「第74号議案 箕面市人権文化センター条例制定の件について」ひとこと賛成討論させていただきます。
同条例制定は、このたび新たに指定管理者制度を一部導入することによるものです。ただいまの増田議員の討論で懸念される件については私も同感である部分が多いと考えています。
指定管理者制度のありかたについては、今後もサービス内容や評価、情報公開、募集や選定のあり方など、シビアにチェックしていかねばなりませんし、現在指定管理者になっている事業者のなかには、サービスの向上が認められず、あるいは事業の収支状況が不透明で、チェックも十分かなわないところも散見できます。
しかし公の事業について、ワークシェアリングの観点からも、NPOなどの民間でできることは民で行う、というありかたも時代の流れであろうと思います。そのためには、特定の団体への利益供与になってはいけないし、行政との馴れ合いで指定管理者に選定するということがあってはなりません。また、「安上がりの委託」という安易な民営化をはかるという発想もいただけないと考えています。
文教常任委員会において、私は、2順目にあたる指定管理者制度について総括と課題を明確にしていくなかで、今後の制度のありかたを考えていくべきではないか、と指摘したうえで、サービス低下と利益供与にならないための料金設定の問題、公平・公正な選定のありかた、明確な目標設定と徹底した情報公開、利用者の意見を聞くなど第三者評価としてモニタリング・評価制度の導入を求め、これらについては前向きな答弁をいただいたところです。
さらに労働条件については指定管理者の指定は契約ではなく行政処分であるため、最低制限価格制度や低入札価格調査制度の対象外となっており、人件費が抑制されないよう選定条件におり込むということでしたので、一定了解したものです。
また今回は公の管理にふさわしい図書館などは指定管理者からはずして直営となっています。
指定管理者の公募のおりには、十分な周知期間をとり、公平公正・透明性のある指定を行うことなどを再度、要望し、また公募条件・選定・契約時の仕様書の作成については委員会で答弁いただいた内容がしっかり盛り込まれているか、きびしく見届けたいと考えております。
なお指定管理者制度の2順目を迎えるにあたっては、われわれ議員も行政任せではなくしっかり評価・チェックするのだという決意をあらたにしまして、今回の制度移行については賛成といたします。
○討論
通告外ではありますが、「議員提出議案第13号「慰安婦問題に対する政府の誠実な対応を求める意見書」について、ただいまの議論をふまえまして、賛成の対場でひとこと意見を述べさせていただきます。
この意見書の趣旨と意義は、過去におかした戦争と植民地支配による国家の犯罪、重大な人権侵害について、正式に国が犯罪を直視し、真摯に謝罪することと賠償をおこない、被害者の名誉回復と、2度と同じ過ちをおこさないよう、歴史的事実を風化させず後世に伝えていくこと、にあると考えています。
その意味において、この意見書が地方自治法99条の趣旨になじまないとする意見については同意しかねます。
地方自治法第99条では「意見書の提案権」が定められており、社会公共の利益に関することについて、議会としての意志を決定し、国や県などの機関(国会又は関係行政庁)に意見書を提出することができます。その意味で、このたびの意見書がふさわしいものではない、という意見には賛同できません。なぜならば、私たちが過去の痛ましい戦争の歴史、植民地政策がもたらしたアジア諸国の辛苦と向き合うことは、地方自治体においても重要かつ密接なかかわりがあります。この意見書を採決することは、教育現場で行う歴史教育にも大きくかかわることであり、学校、庁内、各施設をはじめ、至るところで歴史を風化させることなく、平和を希求し女性に対する性暴力を根絶させること、在住の外国人に対する人権、人の尊厳について、しっかりと取り組む自治体であることを再認識し、宣言することになるからです。これは日本国籍を有する市民にとっても重要な取り組みであり、また在日外国人市民との信頼関係を築くうえでもプラスの要因となりえます。
なお私は国連・ILOからの勧告およびオランダ、カナダ、EU議会やアメリカ下院決議があったからではなく、日本人の主体的立場で、誠実にわが国の過去の戦争責任と向き合い、ジェンダーの視点からも、日本軍「慰安婦」問題の立法解決の促進を求めるこの意見書に賛成するものです。
私はすさまじい被害をうけた元日本軍「慰安婦」の方々からお話を聴く機会がありました。あまりにもむごい性暴力と被害者であるにもかかわらず戦後も差別的で理不尽な中傷に耐えねばならなかった長く孤独な人生を想うとき、ハルモ二たちにかける言葉が見つかりませんでした。
今回4会派からの議員提出議案としてこの意見書を提案することができたことは、内容的には最大公約数となりましたが、大いに評価したいと思います。この箕面での取り組みが北摂をはじめ各地へ拡がることを願って止みません。残念ながら提案会派とならなかった議員の皆さまにもご賛同いただきますよう呼びかけまして、簡単ですが私の討論といたします。
○賛成討論
請願第2号の2「彩都にかかる事業見通しと小中一貫校建設に関する請願」のうち「当面、小中一貫校の建設を凍結すること」について賛成討論します。
この請願の趣旨は、昨今の経済動向のなかで彩都開発、とりわけ箕面市区域について計画にかかわる推計の見直しを行うべきであり、将来予測も極めて流動的であると考えるべきであることから、現実的な人口推計と適正な財政見通しと、施設一体型の小中一貫校建設について当面の間、延期・凍結を求める、というものです。とくに理事者側からは、昨年12月に緊急プラン・ゼロ思案が市民・議会に提案されており、「収支バランスをはかる」ために、何かにお金を使えば、何かの事業費をカットしなければならいという政策手法が示されています。すでに、福祉や社会保障、教育にかかわる事業が廃止・削減されているというまさに「緊急の事態」となっています。このようにこれまでの事業をゼロベースで再検討しようという市の提案が行われているなかで、請願者は「それならば、彩都の施設一体型小中一貫校の建設についても一度たちどまって検証し、本当に必要な事業であるのか、見極めよう」と考えたものです。
さて、文教常任委員会では「子どもや保護者にとって近くに学校がないこと」「卵が先か、鶏が先か」「立替施工が難しくなる」「2025年(平成37年)には黒字化」ということが請願に対するおもな反対の根拠であったようにと思います。
まず1点目に「教育の保障」「卵が先か、鶏が先か」という観点からのご意見についてですが、そもそも2007年度には彩都の学校建設について様々な質疑がかわされていますが、当初は当時の人口推計から中学校は設置の必要はないということでした。それが、まちの「魅力付けのために」施設一体型の小中一貫校の建設を検討しようということになり、高低差や危険性があるという理由があとづけで加えられて施設一体型の小中一貫校の建設が決まったという経緯があります。これは「子どもたちのため」ではなく、「分譲地を売らんがため」とも受け取れます。本来は必要なかったはずの中学校なのに、いっそのこと小中一貫校を建設すれば、売れ行きが危ぶまれる開発地域の販売を後押しできる、という苦肉の策ともいえるのです。
箕面市が推奨する小中一貫教育とは、どういうものでしょうか。施設一体型の一貫校でなければ実現しないものでしょうか。
小中一貫教育は小学校から中学校にあがるときの連絡を丁寧におこなうことでスムーズな移行を行い環境の変化に伴う子どもの心理的リスクを回避したり、小中間の段差を無くし効果的な学習連携をおこなおうとするものであると考えます。居住地から遠隔地の学校に通うことで「小中一貫教育」が実現できない、ということではないと考えます。また、既存校への通学については先の北川議員の討論でも明らかなようにキャパ的には問題がないと考えます。方法については徒歩やスクールバス、循環バス、路線バスなどさまざまな方法が考えられます。また、6中への通学は急勾配があり距離的にも無理があって危険だという教育委員会のご答弁でしたが、四中校区内の小野原東の生徒や、森町に通う止々呂美地区や特認校制度を活用している子どもたちは、「気の毒」なのでしょうか。学校の良し悪し、魅力づけは距離だけではなく、教育の中身が大事なのではないでしょうか。
なぜ、施設一体型の一貫校がどうしても必要なのか、また施設一体型一貫校でなければならないのか?おおいに疑問が残るところです。どうしようもなく破綻が見えているニュータウン開発を何とか後押しするために「施設一体型一貫校」を建設することにより起死回生をはかり、とにかく売りさばくための道具にしようと企てているようにも見えてしまいます。学校を、開発を後押しするための道具にするべきではありませんし、学校が近くになければ販売が期待できないというのなら、すでにニュータウン本来の魅力が失せている証拠です。先行きのないニュータウンを「施設一体型の小中一貫校」でつなぎ留めようとするのは、本末転倒であると言えます。
2点目に「長期財政収支見通し」についてです。
請願者は大規模開発特別委員会や緊急プラン・ゼロ試案で示された数値、すなわち人口推計や財政見通しがすでに現実に即さないものと考えています。ゼロ試案の数値は市内の固定資産税・都市計画税の合計を人数割りしただけというアバウトな数値であり、彩都の土地の評価が行われたうえで決定されたものではありません。また、市の支出についても同様の平均値であるため、実際には子育て世代が張り付くということであれば、保育所管理運営経費は乳幼児1人あたり約178万円、幼稚園管理運営経費は園児1人あたり約78万6千円、小学校管理運営費は児童1人あたり約13万9千円、中学校管理運営経費は生徒一人当たり約10万1千円であることから、行政経費をぐんと押し上げることになります。
市は販売価格帯や購入年齢など需要予測をたてているわけではなく、阪急不動産などの大手ディベロッパーが売る、といっているのだから完売は間違いない、あるいは固都税だけで十分黒字だと判断していますが、果たしてそうでしょうか。また、そうだと仮定しても、20年経って、子どもが成長したあとのマンションでは、若い世代の再生産は期待できません。子どもがいなくなった後の学校はどうなるのでしょうか。そして、高齢化した彩都ニュータウンでの市民の暮らしをどのように想像しているのでしょうか。ただ儲かればよいと考えることこそ無責任ではないかと思います。
3点目に、立て替え施工についてです。文教常任委員会では、学校建設が延期もしくは凍結ということになれば、立て替え施工ができなくなり、財政的な痛手をこうむる、とのことでした。しかし本当にそうでしょうか。とにかく売りたいと願っている大手地権者との交渉は可能性があるでしょうし、検討の結果、学校建設の必要性がなければ、立て替え施工も無用です。
彩都の大型ニュータウン建設は総開発面積743ヘクタール、うち箕面市域は約164ヘクタールで、1万1千人がはりつくという計画人口になっていますが、彩都西駅近くのショッピングモールは店舗の撤収が目立ち、駐車場もガラガラです。分譲地の販売スタッフに今後の出店計画を尋ねても「今のところそのような計画は聞いていない」とのことでした。もはやさきゆきのない開発であると、新聞報道をはじめ専門家の多くが同様の評価をくだしています。時代遅れの大型ニュータウン開発であり、バブル崩壊後の大手ディベロッパーとゼネコンを救済するために市が事業推進を側面支援しているかのような構図が浮かびあがってきます。本当にこのまま突き進んでよいのでしょうか。
ここでいったん立ち止まり、冷静に成り行きを見極め、自治体が実施する関連事業については、必要最小限の適正規模を検討すべきであると考えます。
また市は市民への説明責任を充分はたし、将来にわたって負の遺産を残さないためにも、URとの正式契約を交わす前の今が最後のチャンスであり、勇気ある決断が求められていると思います。
その意味で、施設一体型の小中一貫校の建設を当面の間、延期しようというこの請願に賛成し、議員のみなさまがご賛同くださることを訴えまして私の討論といたします。
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