2009年6月議会 一般質問
●一般質問
市民派ネット 中西とも子
市民派ネットの中西智子です。
機構改革については、2月議会の本会議や委員会で大変議論となり、またこの6月議会においても総務常任委員会で新年度から数ヶ月間の検証について議論されました。これまでの議論をふまえて、今回は、とりわけ「箕面営業課」について一般質問を行います。
本市が4月におこなった機構改革の目的について、市は
- 効率的な行政運営と複雑・多様化する行政事務への効率的な対応
- 新たな行政課題に効果的にとり組むための重点施策の推進
- 迅速かつ的確な行財政運営と役所の実行力を高めるための体制を整える
という説明を行っています。
そして機構改革の目玉のひとつとして、従来の地域振興部を発展解消させて「地域創造部」を設けた、としています。「箕面の魅力をPRする」「PRすることで箕面のブランド力を高める」というのが地域創造部設置の目的であると、この総務常任委員会でも強調されていました。そのなかで「箕面営業課」は「箕面の魅力をPRする」ために新設したと説明されています。
そこで、以下4項目の質問を行います。
1点目に「箕面営業課」設置の意義についてお尋ねします。
「箕面営業課」については、これまでもさまざまな質疑・議論が交わされてきたにもかかわらず、いまだにあえて新しい課を設置した意味や真の目的を掴みかねています。
従来、地域振興部の既成市街地活性化担当が担っていた役割と「箕面営業課」の役割との違いは何でしょうか?「箕面営業課」とは額面どおりに受け取れば、箕面のシティ・アイデンティティを外向けに発信するための組織であるということにならないでしょうか?
これまでの市長や関係部局のご答弁を聞いていますと、「外に向かって発信する」、であったり、「内外に」と言われてみたり、ターゲットがどこにあるのか、よくわかりません。答弁を求めます。
箕面の「PRを行う」、「訴求力を高める」というのなら広報課でもなし得ると思われます。そもそも地域創造部の中心として「箕面営業課」を設置された理由はどこにあるのでしょうか。あらためて確認させていただきます。
2点目に、箕面のブランド力についてお伺いします。
箕面のもつ地理的特性、文化特性、環境特性、市民が潜在的に持つ市民力がブランド力になると考えます。これに社会的潮流、地域資源の洗い出し、戦略シナリオとアクションプランによってブランドを構築するのが常套手段であると考えますが、市として明確なブランド力の構築方法があればお伺いしたいと思います。
具体的には、自然環境の素晴らしさとともに「環境都市・箕面」として売り出すことは箕面らしさとして共感を得られるのではないでしょうか。そのように市内外にPRする姿勢を示すことで、行政・市民が協働で(一丸となって)取り組めることになり実効性も増す、という正のスパイラルが実現すると考えますがいかがでしょうか。
さらに箕面のブランド力を高めることは「住みやすいまち」にすることであると考えるが、CS、つまり顧客満足度をどのように考えているのでしょうか?企業ではCSの向上が商品購入に結びつくため、クレーム対応には敏速に対応し、かつそれを商品開発に活かしながらリピーターを増やす、という手法でとりくんでいます。市民満足度を高めることについて具体的にどのように考えているのでしょうか?マーケティング調査にあたる市民の満足度調査や、庁内に寄せられるクレームなどを、どのように活かしながら、市民満足度の向上をはかろうとされているのでしょうか?
以上、答弁を求めます。
3点目は「民間の視点・良さ」についての質問です。
この4月から民間の経験者が正規職員として採用されました。このたびの総務常任委員会における地域創造部のご答弁のなかでも「民間の視点を取り入れた行政をしていきたい」という説明がなされましたが「営業課」に民間企業経験職員を配置することによる、「従来の市の発想ではない民間の視点」とは具体的に何でしょうか?「郷に入れば郷にしたがえ」式にしないための手立てはあるのでしょうか?市役所組織のなかにあって民間企業経験者の「民間の視点・良さ」が発揮できるために、どのような組織的配慮が行われているのでしょうか?
また、これまでの地域振興部(既成市街地活性化担当)の仕事についてはどのように総括していますか?またその総括を、これからの「箕面営業課」にどのように活かそうとしているのでしょうか?
一方「市民力と連携できる職員力」については、どのように捉えているかお伺いします。
元我孫子市長の福嶋浩彦さんは、「市民力と連携していくためには行政が市民感覚を身につけなければならない」と提言しています。民間職員を採用することにより、職員全体の市民感覚を磨き、行政の意識変革につなげていくことが重要ではないでしょうか。国の指示通りに業務を遂行する、前例踏襲する、他市なみに歩調を揃える、といった旧態依然の業務遂行の姿勢を変革することが重要ではないかと考えますが、いかがでしょうか、見解を求めます。
4点目に「箕面営業課」のありかたについて伺います。
少子・高齢化時代において、箕面市を魅力的なまちへ創造するためには、まちに暮らす人々が、自立できることや、市民ひとりひとりの力を活かすこと、まちづくりについて市民と行政がしっかり対話できること、その丁寧な積み重ねのなかで合意形成が得られるということが重要となってきます。前述の福島さんは『ガバナンス』4月号(2009年)において「地域で生活する人たちが本当に必要としているものを、その地域にある力を活かして、その地域らしい方法で提供していく仕組みをつくらなくてはならない」また「これまで自治体は、国の補助金による公共事業、企業の誘致、観光客の誘致と、いつも皆が同じ発想で、お金を出してくれるところ、お金を落としてくれる人を奪い合ってきた。いまこそ地域に真の自治を育て、地域にある資源や人材をもう一度徹底して活かすことが求められている。そこからしか、地域の再生はないと考える。」とも述べています。そのようなまちづくりが形成できることは、箕面市の「売り」となるであろうし、その意味で、「箕面営業課」が市民と行政の接着剤・潤滑剤となり、人材発掘を含めた営業的役割を担うことができるのではないかと考えますが、市の見解を求めます。
また全庁的にも言えることですが、「箕面営業課」による事業評価が明確にできるようにしておくべきであると考えます。現在の「箕面営業課」の目標設定は抽象的である。明確な評価が行えるための設定とチームとしての目標管理・各人の目標管理を設定すべきだ。効率的な行政運営は何よりも機構改革の大きな目的であったはずである。PDCAサイクルは明確にしておくべきではないでしょうか?成果指標を明確にし、客観的な評価を簡単に行うことができるようにすべきであると考えるがいかがでしょうか?
「箕面営業課」の年間スケジュールを見ると、箕面わいわいMとの住み分けがよくわかりません。ひとつの業務を2つの機関・組織が担うのは非効率。機構改革の目的ともなっており重複業務の見直しをかけねばならないときであるのに、税金の無駄使いという観点からもどのように考えているのでしょうか?
無駄なプロジェクトや組織は市民にとっては複雑化しているだけで分かりにくくなります。市民に対してもいつでも説明責任が果たせるような分かりやすい組織を構築すべきであると考えますが、いかがでしょうか。
また、「箕面営業課」が所管する事業の責任の所在はどこでしょうか?担当者が思い切った仕事ができて、かつ責任をもって遂行するために、責任は誰がどのように負うのでしょうか?
ところで、先日サンプラザ6階・7階の貸し床の件について、ようやく借り手がついたという報告を受けましたが、内容的には1床76万円の賃料であるにもかかわらず64万円で貸し出す予定とのことです。そうなると1床11万円の赤字となり、2床分で1ヶ月22万円。1年分では264万円の赤字となります。緊急プランが目処としている5ヵ年分の累積赤字は1,320万円。市は電気室の平米数を差し引いたからと説明していますが、そうであるならば、当初の料金設定はかくもいい加減だったのでしょうか?赤字になるような事業は基本的に認められるべきではありません。
当初、貸し館として市民に有料で開放されており、駅近くの至便な立地条件にある市民活動の拠点として大いに利用されていたものを「行財政改革」の一環として「利益を上げるために」貸し床に目的変更をかけたものです。その後、市民活動や福祉などに活用するという方向で検討が進められていたものを倉田市政がストップをかけ、あくまで利益を追求するということでした。しかし、今回の報告では、医療法人に格安で貸し出すということで、市の「利潤を上げる」という政策方針との整合性がありません。
このような、市民感覚と大きく乖離した、合理性に欠ける施策決定が箕面営業課の下で行われています。施設を有効活用させる提案、民間の視点に欠ける箕面営業課の船出となっていることについて、真摯な見解を求めるものです。
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