2007年9月議会 討論

■賛成討論

市民元気クラブ 中西とも子

◎請願第1号 後期高齢者医療制度の見直しを求める意見書採択に関する請願

請願第1号「後期高齢者医療制度の見直しを求める意見書採択に関する請願」に賛成の立場から討論をおこないます。

大阪府後期高齢者医療広域連合の設立時にも、反対討論で指摘しましたように、まず第一に制度上の問題があります。高齢者の負担増となり、とくにこれまで扶養家族として保険料負担がなかった高齢者も75歳になれば新たな医療組合への加入を余儀なくされます。国は介護保険と医療保険を併せて高額負担がある場合などは負担が軽減されるケースもあると説明していますが、医療給付が増えれば保険料もおのずと増額になる仕組みになっているため、低所得者層の保険料を軽減すれば、たちまち他の保険料に影響を及ぼします。また、この制度創設にあたり、当初の担当課からの説明では、国民健康保険から75 歳以上の高齢者が切り離され、後期高齢者医療保険に移るので、「国保の医療給付費が少なくなって、国保の負担が軽減される」という趣旨の説明をいただきましたが、今日ではそれは幻想に過ぎず、むしろ国保料の値上げの可能性があるとも言われだしています。後期高齢者の医療制度の負担割合は、公費が5割、保険料が5割となっています。この保険料5割のうち、4割が現役世代からの支援金になっているため、つまり現役世代の国保加入者の場合、この支援金分を余分に背負い込むことになります。少子高齢化のなかで75歳以上の高齢者の健康寿命が極端に伸びないかぎり、後期高齢者も現役世代も負担が厳しくなるでしょう。

また、これまで市町村の裁量で、保険料の未納・滞納があっても医療が受けられる柔軟な対応が可能でしたが、この制度では保険料の徴収は各市町村で行うものの、保険料の設定や運用にかんしては、広域連合で決定することになっています。滞納すれば資格証明書に切り替えられ、保険証が取り上げられることになります。医療費を支払えない状況では10割の治療費が払えるはずもなく、ぎりぎりまで医療にかからないという厳しい状態に追い込まれることになります。

第二に、大阪府後期高齢者医療広域連合議会では、43自治体に対したった20名の議員しか選出できず、きわめて市議会や市民の意向が反映されにくい構造になっています。私は7月26日に開催された臨時議会を傍聴しましたが、質疑回数を3回に限定したり、傍聴者を30名に制限するなど、自由闊達な議論が保障されず、市民に開かれた公開度の高い議会ではありませんでした。

各自治体に専用窓口があるわけでもなく、市民の声を吸い上げ、議会へつなぐ議員も各自治体から最低1名が選出できるわけではありません。議員は単年度で各地域ブロックから持ち回りで選出することとなっており、次年度は箕面市議会から1名選出する予定になっていますが、箕面市議会議員選挙の年度であるため、任期は4月から8月までのわずか5ヶ月です。こんなことでは、たとえ議員に選出されたとしても、責任をもって議会活動をまっとうすることなどできるはずがありません。また、府下の無所属議員有志で臨時議会前に提出した「請願」も受理はされましたが、議会で取り上げてもらえなかったばかりか、この扱いすらも未だ決まっておらず、大阪府広域連合議会のホームページにもこの請願の存在の痕跡すらない、という有様です。

広域連合議会に積極的に関わろうとしても、広域連合議会議員ではない市町村議員の声は届かないし、透明性・公開性に欠く運営となっています。

このように当初から懸念されていた広域連合議会のあり方も現状では、予想以上に形骸化されたものといえます。

なお、「後期高齢者医療制度」に関する意見書はこの9月議会において例えば東京都の三鷹市では全会一致で可決されました。また岩手県では約半数の市議会で「見直し」を求める請願が採択されるなど、各地で中止や撤回を求める動きが広がっています。

以上のように、市民が安心して医療が受けられる体制を整えるためには、制度面と運用面の早期見直し・改善をはかる必要があります。

現状では市民がこの制度について改善を希望する場合、専用の窓口がありません。われわれ市議会が窓口になって市民の声を聞き、反映できるよう最大の努力を払うべきです。そして、あらゆるところから様々な声をあげてこそ、制度改革につながるのだということを強調したいと思います。

この夏、請願者の市民の方々は何度も箕面市議会の各会派に対して、この制度の見直しや改善の必要性を訴えて回られました。命の重さは計り知れず、医療を受ける権利は誰に対しても平等に与えられています。

国の決定であり、市としてはどうしようもない側面があるからこそ、国や府の広域連合に対し、確固たる思いで意見書を上げていきたいという思いで、この請願に賛成いたします。


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