2006年12月議会 一般質問

■一般質問

市民元気クラブ 中西とも子

◎シングルマザーの支援策について

ひとり親家庭の現状と支援策について、とりわけ今回はシングルマザーの支援策について一般質問します。

昨今、離婚や未婚・非婚その他の理由によりひとり親家庭が増加しています。厚生労働省の「全国母子世帯等調査」では2003年には122万5,400世帯にのぼり、5年前の調査から28.3%の増加となっています。

少子化対策としての子育て支援がさまざまな角度から検討されており、20日に内示された2007年度政府予算の財務省原案では乳幼児への児童手当拡充や育児休業給付の引き上げなどが盛り込まれているものの、一方では生活保護費の母子加算廃止に向けた減額が示されています。また、2008年度からは児童扶養手当が削減されることになっており、シングルマザーの生活苦にますます拍車をかける状況となっています。

政府は児童扶養手当削減の代替として「就労支援策の充実」を打ち出していますが、2004年の厚労省の「国民生活基礎調査」ではシングルマザーは83%が就業しており、そのうち常用雇用者が39.2%、臨時・パートは49%となっています。また平均所得は224万6,000円、世帯人員1人あたりの平均所得は86万8,000円です。

これは一般世帯の平均所得が579万7,000円、世帯人員1人あたりの平均所得203万4,000円と比べると、いかに低い水準にあるかがわかります。

シングルマザーの大半は就労しているけれども貧困率が高く、いわゆるワーキングプアの状態にある、ということです。職業能力を高めたいと思っても子育てと仕事に追われるため、学習にさく時間がないという現状をいかに解決していくかが、課題のひとつとなっています。

さて、母子家庭の生活が厳しいのには、次のような社会的・経済的背景があります。

  • 男女の性的役割分業という既成概念から結婚・退職・出産というライフサイクルのなかで、「労働」の位置づけが一時的、または「家計補助」的となっていたこと。
  • シングルマザーが多様なライフスタイルのひとつとして社会的に位置づけられてこなかったため、支援の対象という視点が弱かった。
  • 再就職や短時間の正規労働など子育てしやすい労働条件が整っていないため、パート就労を余儀なくされる、という問題。
  • 子どもを養育している親の責任が重く、もう1人の親である父親の責任が社会的に追及される仕組みが整っていないこと。
  • 「子どもの人権」保障の立ち遅れ。子どもの自立に向けた支援策とそのために母親の自立が不可欠である、という視点が希薄であったこと。

これらの背景を考慮し、様々な人や社会との関わり・支えをとおして「自立」を捉えることが大事であり、「だれでも自分らしい生き方を選択でき、ひとらしく生活できる」「こどもは誰もが平等の機会を与えられ、健やかに育つ権利がある」という人権が保障される社会の構築にむけてシングルマザーの支援を位置づけるべきであると考えます。

2002年3月、政府は「母子家庭等自立支援対策大綱」を策定しました。この趣旨をうけて同年11月に「母子及び寡婦福祉法等の一部を改正する法律」が成立しました。「きめ細やかな福祉サービスの展開」と「自立の支援」を核とした子育て支援・就業支援・養育費の確保・経済支援などの総合的な対策のため、国・地方公共団体における自立支援体制の整備が規定されました。

国の定めた「基本方針」に即して2004年、大阪府母子家庭等自立促進計画が策定され、各市町においてもひとり親家庭を支援する総合対策プランが策定されています。しかし残念ながら箕面市においては「箕面市新子どもプラン」(箕面市次世代育成支援対策行動計画)のなかで「付記」として「母子家庭等自立促進計画関連事項」としてわずか3ページだけの記載されているにとどまっています。

これでは箕面市がひとり親家庭、とりわけシングルマザーの深刻な現状をどのように受け止め検討しているのかがわからないため、順をおって質問していきたいと思います。

  1. シングルマザーをとりまく現状把握について
  2. たとえば吹田市では「吹田市母子家庭等自立促進計画」のなかで母子世帯数の推移、児童扶養手当受給者数の推移、同受給者の状況、生活保護受給母子世帯数の推移や同世帯平均の所得、留守家庭児童育成室の入室児童数の推移などから、市営住宅応募状況他の多角的な分析が記されている。またひとり親家庭に対するアンケート調査を無記名返送で実施(05年度)し、その結果の概要をまとめて公表しています。当事者の支援策を検討するとき、まずこのような詳細な実態調査が必須であり、実態を知らずして当事者に即した施策を実現することは不可能であると考えます。
  3. 箕面市では2004年に「箕面市就学前保育に関する市民意識調査」をまとめていますが、このデータからもひとり親世帯の実情が若干みえてきます。このデータはどのように活用されているのでしょうか?
  4. また吹田市のような詳細な調査は検討されているのでしょうか?
  5. その上で以下、母子家庭に対する具体的な施策についての質問です。
  6. 子育て・生活支援について
    • 夜間保育や休日保育の拡大についての検討はどのようになっていますか?
    • 留守家庭児童保育事業の推進・進捗はいかがでしょうか?
    • まちづくり政策課主導で市営住宅等供給・管理検討会を開催し、住宅困窮者の状況と今後の方向性を検討されているとのことですが、公営住宅の福祉枠確保の促進・進捗はいかがでしょうか?
    • 生活設計のアドバイスについて、どのように実施されていますか?
    • またこのほか、シングルマザーの「居場所」づくりがとても重要です。たがいに悩みをうちあけたり、交流できる空間が必要であることも申し添えておきます。
  7. 経済的「自立」のための就業支援について
    • レディースハローワーク・(マザーズ)との連携はいかがでしょうか?当事者が活用し、就労に結びついている実態の把握はできているのでしょうか?
    • 関係団体との協力要請はどのようにはかっていますか?事業所への働きかけはどのようにおこなっており、具体的に何社くらいへ働きかけているのでしょうか?そしてどのような協力が実現しているか教えてください。また就業に関する情報収集・提供はどのように実施されているのか、当事者の就労に関する相談件数や就労率はどれくらいでしょうか?
    • 箕面市でのキャリアカウンセリングの実施状況等について具体的に教えてください。
    • 2006年度の母子家庭関連施策の市町村実施状況をみると箕面市は自立支援給付事業のなかで「自立支援教育訓練給付」「高等技能訓練促進費」を支給していますが、この受給者数はどのくらいでしょうか?また、自立促進計画を策定したことになっていますが、これは先に挙げた3ページのものと考えればよいのでしょうか?今後母子自立支援プログラム策定員の設置についてどのように検討されていますか?
  8. 相談機能の充実について
    • 離婚にともなう法的なアドバイス、たとえば離婚給付、親権や財産管理、養育料などや、子育てに関する相談、就業相談などの相談体制の充実はどのようにはかられていますか?また、今後どのように推進しようとしているのでしょうか?相談窓口は日曜・夜間も必要ではないでしょうか。小さい子をかかえて大阪市内や池田市まで出かけるのは大変であるため、身近な市内での相談体制が必要であると思われますが、どのように検討されているか教えてください。
    • ともにエンパワメントするためにピアカウンセリングが重要です。この件をどのようにお考えでしょうか?
  9. 経済支援について
    • たとえば東京都や他の自治体などでは独自の支援策として「児童育成手当」を給付しています。経過措置があるとはいえ、生活保護費の母子加算廃止や児童扶養手当の削減に対し、市独自の施策をどのように検討していますか?
    • 市町村奨学金制度について北摂7市で比較すると、豊中市・池田市・吹田市・茨木市は給付となっていますが、箕面市は貸与であり、専修学校は修業年限が2年以上という条件付となっています。また、実際に貸付を受ける時期について、タイムラグがあり、これは自立支援給付事業についても言えることなのですが、蓄えがないものにとっては一時的に持ち出す資金がないため、実際には制度を利用できない場合があります。このような問題を解消するための策について検討はなされていますか?

以上、シングルマザーの支援策について5項目にわたって質問させていただきました。離婚や未婚・非婚を選んだ親に対し、「身勝手」だから仕方ないのでは、という声があります。シングルマザーの大半は身を粉にして、頑張って子育てをしていますが、自立が困難で生活は苦しく、精神的・肉体的負担も少なくありません。必死で子どもの養育にとりくむ親を冷ややかに眺めるのか、社会全体で子育て・子育ちに手を差しのべるのか、社会と私たちひとりひとりの人権意識が問われているのだと思います。

理事者の真摯なご答弁を期待しまして私の一般質問を終わります。


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