2006年 9月議会 討論
◎請願第2号「脳脊髄液減少症の早期治療に向けた検討と実施医療機関の調査、患者への紹介・情報提供の推進を求める請願」
■賛成討論
市民元気クラブ 中西とも子 請願第2号「脳脊髄液減少症の早期治療に向けた検討と実施医療機関の調査、患者への紹介・情報提供の推進を求める請願」に賛成の立場から討論いたします。
「脳脊髄液減少症」この聞きなれない病気について、苦しむ患者・家族の方々の実態や医療機関の対応などについて詳しく知りえるきっかけとなったのは、このたびの市民の方からの「請願」があったからです。実際の闘病履歴やかかられた病院の対応、また全国に患者の家族会や支援するNPOがあることがわかりました。この病気の過酷さを知れば知るほど、心が痛みます。自分自身の無知さを反省するとともになぜもっと早く意見書をあげられなかったのか、と悔やまれます。だからこそ、現実を知ったからには、この病気で苦しむ患者さんの気持ちをしっかり受け止め、安心して医療がうけられるよう行動することこそが私たち議員の使命であると考えます。
この病名はインターネット検索すると700件以上のホームページやブログサイトを見ることができます。しかも大半がここ数年のもので、あるHPでは約1年間で25万件近くのアクセス件数となっています。それだけ大勢の人が関心を寄せている病気であるにもかかわらず、現在厚労省は保険適用を認めておらず、ゆえに大方の医療機関での診療体制がとれずに、苦しむ患者が後を絶たないという現状となっています。
症状としては激しい頭痛、頚部痛、めまい、吐き気、倦怠感、記憶力や思考力の低下など、他人からはわかりにくいため、「なまけもの」であるとか「心の病」などと誤解されることがあります。また、ある人は40以上の医療機関を回り、自立神経失調症と診断されたり、あるところでは歯のかみ合わせが悪い、またあるところではうつ病という具合に、行く先々で違う病名を告げられ。いったい自分の病気が何なのかわからず不安と絶望の淵で家族にさえ理解してもらえずに苦しみ、孤独におちいる人も少なくありません。またこの病気は大人だけでなく、中高生も同様で、不登校の要因のひとつにもなっているのです。
歩けないほど苦しいなかで、たとえ病名がわかったとしても治療してくれるところがわからない。「病院や医師に関しましては、どうぞご自分で探し、判断してください」と宣告された患者は突き放されたような思いで目の前が真っ暗になるに違いありあせん。
このたびの請願はこのような現状のなかで、地域で診療してもらえる医療機関を増やしてほしい。病気を正しく診断してほしい。そして治療してほしい。もしどうしてもそれが不可能なら、速やかに近隣のしかるべき医療機関へ紹介してほしい。との思いから提出されたものです。ご自身の体験から切実な思いがこめられています。このとても暑かった8月に病み上がりの身体をおして、何度も議会に足を運び、各会派へ説明に回られました。同じ病気で苦しむ人々が同じような思いをしないよう何とかしたい、との一念で必死の思いで行動されたのだと思います。
なお箕面市立病院にはMRIなどのハード面と麻酔科、脳神経外科、神経内科など関係科としてのソフト面もそろっていて、条件的には整備されている部類にはいります。もちろん保険適用外であるという問題は否めませんが、ここ数年、脳脊髄液減少症に関する研究会や論文発表など、医学界での認知度や研究は急速に高まりをみせています。それだけに、地域の条件がそろった身近な市立病院に寄せる期待も格別なのではないか、と思います。開かれた市立病院をアピールするよい機会でもあると考えます。
さて常任委員会での審議のなかで、ご指摘いただいた点について意見を述べさていただきます。まず1点目に「箕面市立病院側が診療体制をとれないと言っているし、いつまでにやるという期限がきれないような程度の検討なら請願者をもてあそぶだけだから反対」また、「請願でおおいに議論できたのは貴重だが、時期尚早なので反対」とする意見がありました。いずれも「病院側にたった」意見であり、請願者・すなわち市民の側に立った視点ではありません。
もし自分の家族・友人が目の前で苦しんでいたとしたら、何とかしなくてはと思うはずです。市民の切実な願いに対し「病院の立場」を尊重し・代弁するのではなく、まず市民の立場に立って市立病院には最善の努力をうながすべきであり、市民の思いを受け止めた前向きな行動・判断をすべきです。
そもそも市立病院側に無理難題をお願いしているわけではなく、検査・診断・治療が行なえるよう「検討」にとりかかって欲しい、というものなので「検討する」こと自体を不可とするのはおかしなことです。検討の結果、どうしても箕面では体制がとれないのなら、その代りに患者が安心して医療が受けられるよう情報を収集し、それを提供して欲しいと求めているにすぎないのです。
2点目に「国に対する意見書を議会として採択するのだから、その結果をまてばよい」というような意見についてですが、国に対して求めるのと同時に、地域でできることは即実行すべきであると思います。患者・家族に対する相談・支援体制の確立を求める意見書を提出する願いとそれを地域で少しでも前進させる行動とは背反するものではありません。
患者の病状は待ってはくれません。事実、請願者の元には診療・治療がうけられずに「もう自殺したい」という切羽詰り、追い詰められた患者の悲壮な声が届けられています。国が保険診療対象とし、重い腰をあげたとしても、それを待ってから動くのであれば、かなり先のこととなってしまいます。少しでも早く、希望が持てるよう配慮すべきなのです。
3点目に、今後、市立病院で対応しかねるさまざまな原因不明の病気についての請願があがってきたらどうするのか、との懸念については、基本的に市民が行政に期待をよせ請願行動を行なうのは歓迎すべきことであると考えます。ただし、その請願が理にかなったものであるか否かを吟味したうえで紹介議員になるわけなので、そのうえで請願があがってきた場合は、十分な審議をつくせばよいし、市民が議会に関心を持ち、活性化にも役立つと理解しています。今後の不確定な請願を想定して、この重要な請願を採択しない、というのはとても後ろ向きで合理性に欠ける発想です。
最後に今回の請願については、請願者の方はもとより多くの患者および家族の方々、支援するNPOの方々なども注目していらっしゃいます。苦しむ患者の期待を裏切ることのないよう、良識ある箕面市議会の心意気を全国に向けて発信していただきたいと思います。
以上私の賛成討論といたします。
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