去る8月8日、参議院本会議での郵政民営化法案の否決を受け、衆議院が解散され、それに伴って、参議院で審議中だった「障害者自立支援法案」は廃案となった。
この「障害者自立支援法案」は障害当事者にとって、実生活に大きく関わる切実で重要な問題を含んだ法案であった。
7月13日に衆議院・厚生労働委員会、15日に衆議院本会議で採決が行なわれ、与党多数で可決され、参議院に送られた。その後、参議院では1回委員会が開催されたが、これらの審議を通じて、むしろ、この法案の問題点や矛盾点が明らかにされた。この間、障害当事者や関係者らによるかつてない大規模な抗議行動が行なわれた。
一旦「障害者自立支援法案」は廃案となったが、尾辻厚生労働大臣は、この特別国会に同じ内容の法案を再提出すると明言している。
この「障害者自立支援法案」は、厚生労働省がニーズ調査や予算の増額をせずに「支援費制度」を導入した結果として、サービス利用の顕在化による予算不足が原因により考えられたものである。現行の障害者施策を大幅に改革することを目的に、「三障害(知的、精神、身体)の保健福祉施策の統合」「自立支援システムへの転換(施設の再編と就労支援)」「制度持続可能性の確保」等が掲げられ、具体的な提案として「サービス量を決めるための全国共通の尺度の開発」と、「専門家で構成される審査会の設置」「応益負担(サービス量に応じた負担)の導入」「施設入所者の自己負担の見直し」「精神医療、更正・育成医療の負担見直し」等が打ち出されている。
しかし、「障害者自立支援法案」は、障害当事者の生活実態や各市町村の制度状況を反映するための基礎データが極めて不十分であり、国会の審議でも多くの問題点、矛盾点が指摘されている。にもかかわらず厚生労働省は十分に説明責任を果たさず、当事者や自治体を無視して性急に議論を推し進めてきた。
よって、国及び政府におかれては、下記の事項を実施するよう強く要望する。 |