2013年6月議会 一般質問

●一般質問

子宮頸がんワクチンの副反応問題について

昨今、子宮頸がんワクチンの接種事業をめぐる議論が全国的に高まっています。
ヒトパピローマウィルス(HPV)感染症予防ワクチン、いわゆる子宮頸がんワクチンは、予防接種法が改正され、2013年4月から定期接種に加えられました。

しかし、この「子宮頸がんワクチン」といわれる「サーバリックス」および「ガーダシル」を接種した後に、全国的に副反応事例が多発しています。5月16日、厚生労働省厚生科学審議会・ワクチン分科会副反応検討部会において、1968件にも及ぶ副反応事例が報告されましたが、これは他のワクチンに比べ非常に高率です。

この一般質問の発言通告を提出した6月14日に、厚労省の専門家検討会議が開催されました。国や自治体はこれまでワクチン接種を勧めてきましたが、それを一時中止し、「ワクチン接種を積極的に進めない」という方針転換が行われました。厚労省は同日付で、各都道府県宛に勧告を行い、併せて新たな案内チラシも送付しました。

箕面市においても医師会等に説明し、市のHPに厚労省の関係ページへのリンクを張ったりと、慌ただしく対応に追われたと伺っております。

このたびの国の措置は、ワクチンの副作用をさらに検証するまでの暫定的なものであると言われていますが、現場での混乱や戸惑いは十分に想像がつきます。このワクチン接種事業は、自治事務であるため、住民の命と健康を守らねばならない市町村の責務は重大であると考えます。

そもそも子宮頸がんは、主に性交渉による感染で子宮の入り口付近にできるものです。主要な原因であるヒトパピローマウィルス(HPV)は15種類ありますが、子宮頸がんワクチンで防げるのは16型、18型の2種類だけです。この2種類のウィルスが50%~70%を占めるので、有効性が高いと言われているのですが、しかし、効果が科学的に立証されているものではありません。

日本に住む一般女性の16型・18型感染率は約1.5%です。そのうちの90%は自然排出されます。つまり持続感染率は0.15%です。持続感染が進行した場合でも99.9%の人は中等度・高度異形成には至りません。さらに、0.015%のHPV16型・18型によって中等度・高度異形成に進行しても、細胞診とHPV-DNA検査併用の定期検診でほぼ100%発見できるため、適切な治療で治癒率は概ね100%となります。以上は厚生労働委員会質疑によりあきらかになっています。

これに対して、副反応の状況は、筋力低下を引き起こすギランバレー症候群、免疫力が強くなり過ぎて免疫体系が異常を起こす急性散在性脳脊髄炎という難病などの重篤なケースもあり、何人もの女子生徒が副反応に苦しみ、なかには、その治療法がない状況となっています。予防接種はリスクより予防効果が大きくなければ、その意味がないのではないでしょうか。

今、国や自治体がなすべきことは、子どもたちの健康を、最善の方法で守っていくことにあるのではないでしょうか。

(事例紹介:省略) 副反応被害にあった子どもたちが、厚労大臣あてに提出した嘆願書の一部をご紹介します。

中3の女子は「困っていること。足が痛い、歩けない。頭痛が24時間続いている。勉強が遅れている(計算ができなくなっている)、いつもだるくて疲れている。友達と遊べない、光がまぶしくて外出できない。ぼーっとして無意識に倒れてしまう、早く私を治してください」と訴えています。また、母親は「娘がこの1年半で登校できたのは2か月だけです。・・・

(略)さまざまな症状と闘い頑張っています。接種直後からです。今まで3度に入院、家族の苦痛も限界を超えています。治療法の確立と被害者がこれ以上増えないための中止のご判断を急いでください。

クラスの子の多くに生理が来てないなど、とてつもない事が実際に起きているそうです。中止をお願いします」また、大阪の府立高校に通う3年生の子は「高校1年生の時、サーバリックスを受けた8日後に関節が突然痛み出し、病院へ行った結果「若年性関節リウマチ」と診断されました。この病気は一生治りません。今使っている点滴のお薬を使うまでの約半年間、学校へ通うことも、ペンを持って勉強することも、とにかく身の回りのことができずほぼ寝たきりの状態でした。今も毎日体のどこかの関節が痛み、やりたいことが制限されています。運動はまったくできず階段ものぼりおりが困難です。

もう一度いいます。この病気は一生治りません。一生病院に通い続けなければなりません。一生この病気を背負って生きていかねばなりません。元気だった頃の体にもどしてください。これ以上、私と同じような病気や副反応で苦しんだり辛い思いをする女の子が増えるのはとても心が痛みます。今すぐにこのワクチンの接種を中止してください」 と書いています。行政は、これらの子どもたちや親の悲痛な声を受け止めていかねばなりません。

さて、この間、全国的にこのような子宮頸がんワクチンの問題が議論され、「被害者の会」が立ち上がり、かつ地方議員も政党の垣根をとりはらって、情報交換・共有しながら、この課題に取り組んできました。

そこで、質問いたします。

1点目に、6月14日の厚労省勧告を受けた、市の対応についてお伺いします。

すでに14日の勧告を受けて、早々に医師会等への説明に奔走されたと聞いています。 健康福祉部においては、市の広報誌『もみじだより』への掲載等、調整を図っていただいておりますが、掲載されるのは、中面の僅かなスペースだと伺っています。ゆえに保護者の方々が、気づかないことや、十分な情報を得られないことも想定できます。

また、厚労省が14日付で作成したサンプルチラシでは「ワクチン接種は積極的には勧めません」となっていますが、裏面を見れば、今までどおりの方針が記載されておりますので、「積極的には勧めないが、接種したい人はどうぞ」という内容になっています。 保護者は戸惑いを隠せないのではないでしょうか。

市では、当事者や保護者に対しては、どのような説明、案内をおこなったのか、または今後の取りくみの検討などはどのようになっているのか、お伺いします。

子宮頸がんワクチンはWHOも推奨し、他国においても実施されていますが、他国でも副反応被害は報告されていますので、今後の扱いがどうなるかは分かりません。

わが国では、被害者の会をはじめ、日本消費者連盟も、子宮頸がんワクチンの中止を訴えていますし、地方議会では各地で意見書も決議され始めています。

千葉県野田市は安全性を最優先すべきだとして、ワクチンの接種を原則として一時、見合わせることを決めました。また同市は接種を強く希望する人は市内の保健センターに母子健康手帳や健康保険証などを持参した上で申請してもらい、「ワクチンの有効性と安全性についての説明を受けることを条件に」接種を受けることができるとしています。

野田市保健福祉部の話では「市民の不安を払拭するため市が独自の判断をした」とのことです。ワクチン接種事業は自治事務であり、自治体が主体的に検討し、対応しなければなりません。箕面市では、どのようにお考えでしょうか。

さらに、相談体制はどのようになるのでしょうか? 接種を迷っておられる方も、2回目、3回目の接種を受けたいと考えておられる方にも、 ベネフィットとリスクについて、説明・情報提供をしっかり行うべきだと考えます。

子宮頸がんの、ワクチン効果については、医学的には明確になっていません。また、ワクチンは最大でも約9.4年程度しかその効用がないことなども、一般的にはあまり知られていません。ワクチン接種は強制ではなく、保護者の判断に委ねられていますので、副反応による具体的な被害状況も併せて、しっかりメリット・デメリットが説明されねばならないと考えます。ワクチンを扱っている医療機関の医師においても賛否がさまざまであるため、当事者・保護者が、偏らない情報を得ることができる相談窓口の体制は、どのようになっているでしょうか。

次に、子宮頸がん感染を防ぐために、当事者への負担を極力軽減した施策についてのお尋ねと提案です。(他市の動向と具体的提案)

1点は、教育委員会との連携についてお伺いします。

子宮頸がんは性交渉が原因で発症するといわれています。 まず、教育の現場で取り組んでいただくことで、子どもたちに正しい知識を身に付けてもらうことも大切です。

教育委員会では昨年、研修の一環で、保護者や養護教諭対象に(約数十名参加で)勉強会を実施されました。その成果を、現場でどのように活かしているのでしょうか。また、性交渉がもとで発症するがんであるため、この問題は女子生徒だけの問題でもありません。子どもたちが、健康について考え、自身で守っていくことができる知識を身に付けることは、とても大切です。併せて、男女協働参画の視点においても重要であり、これは男子学生も、知っておくべきだと考えています。

さらに、現在文科省から、府経由で各学校へ子宮頸がんに関する調査依頼が行われています。

接種後の欠席や異常を訴えた生徒を学校がカウントする調査のようですが、発熱や疲労感、関節炎で休んだ子はカウントされません。副反応の症状がどのようなものであるのかなど、本来ならば調査する側の教員の知識や問題意識も重要になってきます。

箕面市での調査実態はどのようになっているでしょうか。またワクチン接種をどの生徒が、いつおこなったか、についてはほとんどの担任は知りません。副反応の実態を調査するならば、接種を受けた当事者がもれなくアンケートに答える形式が望ましいと考えます。元々の目的達成には程遠い不毛な調査ではなく、実効性のある調査となるよう、国・府への提言などをお願いしたいのですが、いかがでしょうか。以上答弁を求めます。

 もう1点は、検診の充実・強化策についてです。

現在、島根大学が先進的にHPV検査に取組み、全県あげて島根大学の先生の提唱で子宮頸がんの細胞診とHPV検診の併用検診が島根県内市町村に広がり、今年度全市町村で実施となりました。

子宮頸がんの細胞診とHPV検診の併用検診でおよそ100%発見でき、初期段階ではほぼ100%治癒できるとされています。子宮がん検診において併用検診を広めていくことが必要であると考えますが、この件について、国・府への要望を含めた市の見解を求めます。

◎国立循環器病研究センターの誘致問題と今後の船場のまちづくりについて

このたびの誘致が、箕面市ではなかったことに対しては、非常に残念であり、この2年近く担当職員の方々をはじめ、関係者のみなさまのご尽力や、箕面市民にとっての医療と安心を考えると、大変無念としか言いようがありません。

今後は、あたまを切り替えて、船場のまちづくりを考えていかねばなりませんが、その前にこのたびの誘致問題について、若干のふりかえりが必要であると考え、質問いたします。

まず1点目に、誘致問題であきらかになった「初めからの『出来レース』」といわれている件について伺います。

これが事実であれば言語道断ですが、何のために「当て馬」が必要だったのか、その理由を当時確認されたのでしょうか?またこのことを知っていたのは、市長・副市長2名の他にもいらっしゃったのでしょうか?

本来はこのような要請に対し、即自的に正式に抗議し、厚労省に対しても公正・公平な審査を行うように申し入れし、適正な指導を求め、その担保が得られてから、エントリーすべきではなかったでしょうか。今頃になっての抗議は、前後が逆転しており、何故「出来レース」と知っていながら誘致合戦に参加したのか、理解に苦しむところです。以上、説明を求めます。

2点目に市民会館の移転についてお伺いします。

私は、この具体的な移転計画が、現実的なものとして検討されているということを新聞報道で知り、担当課に確認したところ、すでに市内部で意思決定されていることを知りました。

市民会館の整備に関しては、市民の意向が最大限に反映されるべきであると考えます。広範囲な市民を対象とした市民アンケートの実施や、市民検討委員会などを立ち上げて、現在地に建替える、または補強して使用する、あるいは立替移転する、というようなさまざまな整備方針を検討していくのが筋ではないでしょうか。また、そのためには、他の施設との一体的整備の可能性や、整備費用、諸課題などが市民に提示されなければなりません。このような過程を経ずして、立替移転が市サイドで意思決定されたのは何故でしょうか。

また、これまで、グリーンホールの老朽化問題はあまり議論されず、2011年度に耐震化補強設計とエレベーター設置に着手したばかりです。にもかかわらず、「建替え移転」とは、どのように検討された結果なのでしょうか。(要答弁)唐突にマスコミに情報提供され、公表されたことは遺憾であると言わざるをえません。今後、市民不在で市民会館の建替え移転が決定されないよう、強く要望するとともに、市の見解を問うものです。

3点目に、船場のまちづくりについてお伺いします。

国循移転予定だった先行開発予定地に、市民会館を移転させるということは、この地域を文化ゾーンとして位置づけていく、ということなのでしょうか?

船場のまちづくり「B案」のまちづくりコンセプトは何でしょうか。

さらに、委員会では船場繊維卸売団地組合が主体的にまちづくりを担う、とのことでしたが、船場東では同団地組合の非組合員の所有地が2割あると聞いております。この2割の地権者さんに対して、これまでどのような話合いや情報提供がおこなわれてきたのでしょうか?

また、今後の予定はどのようになっているのでしょうか?

さらに、船場西住民をも交えたまちづくりについて、市はどのように考えておられるのでしょうか。

以上、簡単ですが、この項目の質問といたします。

◎公益通報制度の運用をめぐって

箕面市の「公益通報制度」の運用については、これまでも議論をおこなってきましたが、市の答弁には理解しがたい矛盾点があります。

先日の総務常任委員会でも質疑しましたが、論点を整理し、質問にお答えいただけなかったものについて、確認の意味で簡潔に質問いたします。

1点目に、自治体の公益通報制度の意義は「職員らが法令を守り、推進し、適法かつ公正な市政運営のために、内部からみえる不正を正すことができるよう、通報する職員が不利益にならないよう窓口を設置する」ものであると考えますが、市はこの制度を今後も積極的に活用する意思はあるのでしょうか?

また積極活用のために、今後どのような取りくみを考えておられるのでしょうか? 答弁を求めます。

2点目に公益通報制度の運用面での矛盾についてお伺いします。

2012年度の公益通報状況が、遅ればせながら5月21日、市のHPに公開されました。「運用状況の公表」については「公益通報に関する要綱」の第20条で規定されており、「公益通報の件数、主な内容等について、毎年公表するものとする」とあります。

しかし、市のHP上には「通報件数2件、受理件数0件、不受理件数2件」とあるだけで、通報の内容は公表されていません。委員会ではこの「通報の内容等」についての記載がないことについて理由を質したところ、「要綱に規定する要件に該当しないものについては、そもそも公益通報ではないから」と述べられていました。また、内容等の公表は「要綱に規定する要件に該当した公益通報について公表する」とも答弁されましたので、「公益通報でない」ならば、「公益通報件数」にカウントすること自体がおかしいということになりますが、いかがでしょうか。

さらに、運用状況を公表する意義についての問いに対しては、「市の通報窓口があること」「適正な処理をするということを知らしめる」というご答弁をいただきました。しかし、その意味では、市のHPの「運用状況欄」を見た市民は、適正な処理があったかどうかなど一切知る由がありません。通報が行われたが、何故不受理になったのかという説明がないからです。

委員会で、この問題について見解を求めたところ、今度は「通報の内容は通報者の保護の観点から、秘密の保持の徹底と要綱に書かれてあるので、答えかねる」というご答弁でした。これでは、たとえ「要綱に規定する要件に該当した通報」であっても、結局、内容の公表はしない、ということになってしまうのではないか、と危惧します。このような要綱の解釈は屁理屈の域を出ず、不適切な運用と言わざるをえません。

少なくとも通報内容が掲載されない理由について、市民に分かりやすくHP上で説明すべきではないでしょうか?お答えください。

このように、2012年度の公益通報については、実は「公益通報ではない」と、市が結論づけた訳ですが、通報ではなく、受理もしなかったのに、HPへの公表が年度末に行われず、5月下旬になってしまったことは不可解です。
また、「公益通報ではないが、「あくまで参考としてHPに掲載している」というご答弁でした。では「あくまで参考」とは具体的にどういう意味なのか。説明を求めます。

公益通報制度は「通報者の保護のため、秘密の保持の徹底」をはかり内容等について一切ノーコメントであるというのが、市の見解です。そして、この見解は、市が「公益通報」ではない、と判断した通報についても、同じように運用するのだという見解も、2月議会と、本定例会で、示されました。

しかし一方では、12月議会の本会議においては、要綱の運用を誤り、通報に関する内容について答弁してしまったので、という謝罪が行われました。

さて、本年1月7日付で、市の相談窓口に寄せられた建築住宅課宛の市民相談内容が、市民相談窓口から議会事務局に情報提供されました。そこには「参考まで」という注釈と「回答は建築住宅課が行うので、議会事務局は対応の必要がない」というような、議会事務局への連絡事項が記されていました。そして相談者の氏名もそのまま情報提供されていましたが、このような情報提供が議会に行われたのは相談者がこのたびの公益通報者であったからでした。

ここで私が問題であると考えるのは、市の対応に一貫性がないことです。通報者が自ら氏名を公表し、市議会やマスコミを外部通報者と位置付けて公表したのであろう公益通報について、市は要綱に則り、どのように対処したかは、一切言えない、としてきました。そして、それは通報者の保護の観点から秘密の保持を守るためであると、繰り返し説明してきたにも関わらず、一方では、「公益通報者」の情報に対する扱いについて、個人情報保護の対策をとりませんでした。

このような扱い方は、一貫性を欠いていますし、これまでの市の対応や説明と矛盾します。「公益通報」したが、「公益通報」と認められなかった通報者は、プライバシーが守られないのでしょうか?これは通報制度の運用とともに、市のコンプライアンスのあり方が厳しく問われていると考えます。この件について、市の見解を求めます。

3点目に、委員会では「法の支配が及ばない」要綱のあり方について、是正を求めましたが、市の答弁は市のHPへの公表時期だけをとらえた答弁でした。私の質問の趣旨は、要綱に記載されている「速やかに」などの時間軸をある程度明確にしなければ、法の支配が及ばないではないか、という意味です。たとえば、情報開示請求においても15日を超える事務作業が必要な場合は、理由を通知すれば延長が認められています。このような要綱の是正について見解を求めます。

 以上、3つの項目について一般質問させていただきました。真摯なご答弁を求めます。

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