2012年12月議会 一般質問

●一般質問

指定管理者の評価について

1項目目は、「指定管理者の評価について」質問します。

箕面市では、公の施設の管理・運営について指定管理者制度を活用し、現在、39施設を30の指定管理者に委ねています。

指定管理者制度は2003年の地方自治法改正により創設され、「公の施設」の管理運営について、従来は出資法人や公共団体等への委託しか認められなかった(管理委託制度)を、民間のノウハウを活用し、市民サービスと効率性の向上、経費縮減を目的として、民間事業者への委託を可能にした制度です。

この制度は、施設の特性に応じて、市が管理費用を支払う場合や利用料金制を採用する場合、その両方を併せたケースなどがあります。この制度の導入当初から、NPOなどが事業に参入できる可能性を期待しつつも、利用料金制の採用に関しては収益部分が事業者の利益となることからサービスの劣化に繋がる危険性があり、また経費縮減という命題については、人件費圧縮というかたちで、労働者の処遇悪化が懸念されていました。また、委託制度とは異なることから、行政の監視やチェックがどの程度、行き届くのかという点についても、疑問視する声が上がっていました。

このたび箕面市においては、この制度の導入から二順目を迎えるにあたり、今年度から毎年1回、外部の有識者等による評価を行うこととなりました。指定管理期間が10年という長期スパンの施設が増加傾向にあることも含めて、内部評価のみならず第三者による評価の重要性が増しているといえます。

さて、評価は施設の設置目的に応じて13グループに分類され、本年8月から11月にかけて、はじめての「評価委員の合議」が行われました。この分類の是非はさておき、 評価方法については、予め総務課において「評価シート」という形でフォーマットが作成されており、①指定管理者の基本情報②事業の実施状況③利用者の満足度④収支状況⑤特別提案の状況⑥指定管理者の自己評価という構成になっています。

私も可能な範囲で「評価委員の合議」を傍聴させていただきましたが、そこでは「利用者アンケート」の要約や集計結果、および「利用者等の意見交換会」の要約・概要などが資料として提供されていました。さらに事業報告書が提出されていた施設(指定管理者)もありました。

 一般質問では第1回目の指定管理者の評価員の合議やその結果を振り返り、気づいた点や課題、今後の方策について質問します。

1点目に、指定管理者の評価基準について伺います。指定管理者の評価委員の合議が終わってから、1か月~3か月以上が経過していますが、各資料が未だに入手できない施設がたくさんあります。

指定管理者の評価の意義については、所管部署が第三者の視点から、指定管理者が守るべき事項の確認、指定管理者に移行することで達成されたであろうサービスの質的向上の確認、利用者の満足度、市が支払う管理料の適正度チェックなどを通して評価を行い、その結果を管理運営業務にフィードバックするというPDCAサイクルを構築することで、指定管理者の適正度を審査し、かつ住民サービスのさらなる向上をはかる、という目的であると考えます。この点について同意いただけるなら、評価方法について、指定管理者の役割、施設の目標、業務の水準を明確にし、厳正な評価がおこなえるよう、明確な評価の基準を設定すべきであると考えますが、いかがでしょうか?答弁を求めます。市が参考にしたとされる神戸市においても、公募施設においては指定管理者からの提案内容の達成度や過去の運営実績との比較などを踏まえた5段階評価などを取り入れています。

客観的評価は達成状況の分析に役立ち、課題や改善に大いに役立つと考えます。箕面市では現在のところ、このような採点方式の評価方法を取り入れていませんが、ご検討されているのでしょうか。

2点目は「評価委員の合議」の事前告知について、質問します。

評価委員の合議は、8月から11月にかけて実施されましたが、各施設の所管の部局によって、事前の告知方法にバラツキが見られました。市のホームページでお知らせしていた部局と、ホームページに掲載はしたけれどもそれが実施日の直前だった部局や、告知がまったく行われなかった部局が散見されました。

せっかく資料を周到に準備したのですから、できるかぎり多くの市民に傍聴いただけた方が、指定管理者にとってもやる気が起きるでしょうし、施設の運営が市民協働で発展的に進められるであろうと考えます。何故、このような事態になったのでしょうか?透明性の確保と市民参画の推進に向けて、来年度以降は、しっかりと告知されるよう改善を求めます。

3点目に、評価の実施方法や運営状況の確認について質問します。

評価シートの構成および、利用者アンケート、利用者の意見交換会などの実施という方向性については良いと思います。丁寧に検証されている施設もありました。ただ、指定管理者のなかには、例えば利用者アンケートについて、サンプル数が極端に少ないものが散見されました。利用者数に対して3%程度のアンケート数で、回収率さえ不明だというものもありました。また、利用者による意見交換会についても、ある市民交流施設では、参加人数がたった1名でした。これでは、市民の声をまんべんなく聴取しているとは言い難いと思います。さらに、アンケート以外に、平時からの苦情・要望・意見なども積極的に収集するなど、より正確な管理運営状況や利用者の声の把握に努めることが望まれます。

これらの件について、市はどのように考えておられるでしょうか?

なお、アンケートについて「男女」の区別を問う設問がありました。男女の区別は必須項目なのでしょうか?当市では男女協働参画の視点で、どうしても統計上必要があるもの以外は、アンケート等にこの項目を設けないようになっています。今後、再考を求めるとともに、市の見解をお聞かせください。

また、財務諸表についても、同分類の施設間で大きな開きがあります。各事業ごとに丁寧に収支報告が行われている施設もあれば、あらゆる事業の収支をひとまとめにして掲載しているために、各事業の収支がさっぱりわからい施設もありました。事業内容が把握できる資料提供が望ましいと考えますが、この点についても見解を求めます。

さらに、傍聴していて感じたことですが、ある施設については予め、事務方が座長用に読み原稿を作成しており、座長さんが、終始、その原稿を読み上げる、という評価員の合議がありました。たとえば、評価員さんの意見がほとんど出ていない段階で、「ご意見の大半は肯定的であったと思われますが・・・」という具合に会議が進められました。会議の落としどころが最初から決まっていたように見受けられ、これでは出来レースではないかと疑われても仕方がありませんし、評価の趣旨が形骸化してしまいます。このような指定管理者の評価委員の合議が終わってから、1か月~3か月以上が経過していますが、各資料が未だに入手できない施設がたくさんあります。指定管理者の評価委員の合議が終わってから、1か月~3か月以上が経過していますが、各資料が未だに入手できない施設がたくさんあります。会議のあり方は今後、あらためていただきたいと思います。市としては、どのように指導されるお考えでしょうか?

もう一点、同分類の複数の施設の指定管理者が参加して進められた合議がありましたが、それぞれの出番が終われば早々に退席されていました。私は、他の施設管理についても傍聴する方が、それぞれの施設管理にとって有意義な経験であると考えます。多忙な身であることは理解できるのですが、年に1度のことでもあり、各施設の管理運営のありようを相対評価できるというメリットもありますので、今後は是非、同席いただくようお願いできないでしょうか?

4点目に資料や評価結果の公開についてお伺いします。

「評価員の合議」という評価会議においても、また後日公開されつつある「評価結果」においても、評価員が公開されていないケースがあります。どのような立場の方が評価員なのか、これは公表するように徹底をはかっていただけないでしょうか?

また先に述べた評価基準について、HP等に公表すれば、よいと思いますがいかがでしょうか?

つぎに資料の公開について伺います。

指定管理者の評価委員の合議が終わってから、1か月~3か月以上が経過しています。このたびの一般質問を行うにあたり、各施設や総務部に資料提供を求めたのですが、未だに入手できない施設があるのは何故でしょうか?何故、資料提供に時間がかかるのか理解できません。

また指定管理者は利用者アンケートのまとめ等、資料作成にも相当な時間を費やされたことと思います。市の所管課も、評価シートの作成を担われたと伺っており、業務で多忙ななか、大変ご苦労されたことと思います。その労力が活かせるためにも、資料は行政資料コーナーや市のHPのほかに各施設にも設置して、公開されてはいかがでしょうか。透明性・公開性が高まりますし、ホームページをご覧にならない方や、市役所の行政資料コーナーまで来られない方には、普段利用される施設で閲覧できれば、より良いサービスに繋がります。そして利用者の施設管理者への信頼感も増すことでしょう。

評価結果についてですが、横浜市では、市や指定管理者のホームページおよび施設内等で公表し、指定管理者の業務改善や今後の制度運用に活用されています。

現在箕面市では、評価結果をホームページに公開している部局とそうでない部局があり、市として統一されていない状態です。資料の公開とともに評価結果についても、HP・行政資料コーナーや各施設において公開をお願いしたいのですが、いかがでしょうか?

さらに千葉県の四街道市では、評価結果を一覧表にして市政広報に掲載しています。今後、評価結果は広報紙にも掲載すれば、市民にとって分かりやすいと考えますが、いかがでしょうか?

また日野市では、指定管理者評価委員会の議事要点録が公開されています。箕面市では当初議事要点録の公開を検討されていたようですが、要点録ではなく「指定管理者評価者の合議の意見」というシートを作成し、随時HP上で公開していく、と伺っています。しかし、この「合議の意見」は、議事の内容が割愛されているため、議事要点録の公開を求めます。

5点目に、その他の諸課題と今後について質問します。

施設の中には、非正規職員を多用し、同じ仕事をしながらも、正規雇用職員と待遇格差があるという訴えを現場から聞いています。「同一価値労働、同一賃金」の原則から逸脱している場合、市はどのように対応されるのでしょうか。

各施設の特性に応じて、当然のことながら評価基準は異なります。施設の特性の把握、分析、体系化が求められるのではないでしょうか。そして評価項目によって採点や評価配分も変わってくると考えます。管理目標や事業の理念を具体化、目標化することで、達成度合いを客観的に確認できるよう数値化することも大切ではないでしょうか?

施設の設置目的が十分に達成できたか、経費縮減効果がどうであったか、市民サービスの向上はどの程度はかれたのか、公の施設に相応しい、適正な管理運営がなされたのか。このことがしっかり見える形での評価のあり方が求められています。

このたびの「評価委員の合議」において、各施設の所管部署において評価の精度には大きく開きがありました。このたびは第1回目の評価なので、さまざまな試行錯誤があったかもしれません。真摯に取り組まれた施設があった一方で、形式期的に取り組んでおられるようなところもありました。指定管理者をチェックし、指導しなければならない市の姿勢が問われています。

今回、しっかりと評価に取り組まれた部署をお手本にしながら、得られた課題は次回の評価に活かせばよいと思います。その意味で、全指定管理者の評価を終えて、どのような課題があると考えておられるでしょうか?今後の評価のあり方についてどのように軌道修正されるのか、お答えください。

◆指定管理者の評価について(再質問)

1項目目の指定管理者の評価についての再質問です。

全体的に、適切な評価がおこなわれており、今年度の評価を終えての課題はない、とのご答弁でしたが、はたしてそうでしょうか。公的施設の管理運営であるため、市は常にPDCAサイクル(計画・選定、管理運営、評価、見直し(改善))というマネジメントサイクルを確立し、その徹底をはかる責務があります。

その意味で、施設や事業・業務の特性に応じて評価基準が異なるため、施設の特性を分析・体系化し、評価項目・客観的な採点をおこなえるようにすべきではないでしょうか。まさに市がおっしゃるように画一的ではない評価のあり方が求められています。

北九州市、横浜市、越前市などをはじめ、多くの自治体で、施設の類型化や評価指標を明確にした評価に取り組まれています。モニタリング基準など評価の基となる整備も重要です。

今回の評価においては、出来レースともいえる合議進行があったり、利用者アンケートのサンプル数が十分確保できていなかったり、市民の意見交換会の参加者が1名であるにも関わらず、それが市民の声として集約されていたり、というものが散見されました。また数時間で6施設の合議が行われたものもあります。収支報告が事業ごとになされていない施設もあります。そのためなのかは定かではありませんが、収支報告について評価員からまったく意見が出なかった施設もあります。さらに評価員の意見についても、複数の施設の総評コメントがまったく同じ文章のものや、指定管理者の運営評価にふれていないものもありました。これで、本当に「課題がない」といえるのでしょうか。

また、アンケートにおける男女の設問についてですが、トイレなどの男女別設備について必要がある項目、とはどういう意味でしょうか?男女別の集計結果をどのように活用されるのでしょうか?説明を求めます。

ちなみに、男女の設問は「回答者」の属性を問うものと、施設利用された「参加者」の属性を問うものとが入り混じっており、何故この設問が絶対に必要なのか、よくわかりません。とりわけ、「人権文化の推進」「人権問題の解決」という設置目的に分類された施設も含めて、このようなアンケートが実施されたわけですが「男女協働参画」の理念や人権啓発にかかわる課題を、性的マイノリティへの配慮など市はどのように指導されるのでしょうか?

最後に、施設で働く労働者の待遇格差の問題についてですが、「法令順守」が義務付けられているので問題なしとするのではなく、順守されているかどうかのチェックが必要であると考えます。来年4月からは労働契約法が改正され、20条があらたに加えられます。これで不合理な労働条件は認められなくなります。是非、法令順守で指導されるよう要望しておきます。

重ねて申しますが、指定管理者の第三者による評価は始まったばかりです。とても努力をされている施設やまだ改善の余地のある施設など様々ですが、今後、公の施設に相応しい施設管理運営の適正化・サービスの向上をはかっていただきたいと強く願っています。そしてそのための「見える」評価制度を構築していきたいとの思いから前向きに質問させていただきました。

2項目目の「公益通報について」の質問ですが、直近まで委員会への報告の日程目途が立っていないとのことでしたが、昨日委員会を開催していただいたというご答弁をいただき、了解いたしました。

また、委員会の構成については、中立・公正な観点や、誤解を招かないためにも今後、検討の余地があるのではないかと考えておりますので、要望とさせていただきます。

以上、再質問といたします。

◎公益通報について

2項目目は、緊急の課題であるため、議長に追加質問の許可をいただきましたので、「公益通報について」2点の確認を簡潔に質問させていただきます。

 1点目は通報窓口における手続きについてお伺いします。

公益通報が行われた場合、総務部職員課長および総務部長は、「箕面市職員等の公益通報に関する要綱」第7条第1項にもとづき、公益通報処理委員会に報告しなければなりません。そこで、2012年12月16日付で本市宛に公益通報が行われた案件についてですが、同委員会への報告は行われたのでしょうか?12月19日現在では未だ目途が立っていない、とのことでしたが、もし未だである場合は、その理由と、いつ頃報告されるのか、説明を求めます。

なお、多忙で公益通報処理委員会に報告する時間がないというお話でしたが、時間が無いにもかかわらず、また委員会への報告を行うより先に通報内容に関する件で、議会説明が行われたのは何故でしょうか?このたびの公益通報は、同時に通報者から議会へも通報の事実が知らされました。その意味では特殊なケースであるといえるかもしれませんが、とはいえ、通報の内容を判断するのは委員会です。委員会に上げる前に、結果を想定させるかのような説明が行われたのですから、やはり手順が前後しているように思えます。

2点目に公益通報処理委員会の設置における構成員についてお尋ねします。

委員会の設置は箕面市職員等の公益通報に関する要綱」第7条第2項において、公益通報処理委員会の設置が定められています。

この公益通報処理委員会の構成メンバーは副市長、教育長、上下水道企業管理者、病院事業管理者、市長政策室長、総務部長、消防庁及び総務部次長となっています。

そこで、もし、市長および当該委員会委員の所管に係る公益通報であった場合には、たとえば市長が当事者であれば副市長は委員からは除外するなどの対策を講じられるのでしょうか?公平・公正な立場で調査を実施するためには重要な事項であると考えますが、要綱にはこのような事例についての定めがないため、市の見解を伺うものです。

以上、手続きと公益通報処理委員会の構成員について質問します。

真摯なご答弁をお願いします。


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