2012年9月議会 一般質問

●一般質問

防災とまちづくりについて

まず、一項目目の「防災とまちづくりについて」の質問いたします。

「防災」については、これまでもさまざまな議論がかわされてきましたが、多岐にわたる課題があるためか、全市的な議論や本格的な準備はこれからという状態にあります。しかし、3か月後の来年1月17日には全市一斉の総合防災訓練が実施されようとしています。「防災」とりわけ、大規模災害時に迅速に対応できる備えや組織づくりや、訓練などの対策と、まちづくりの観点からの防災理念が問われていると考えます。

現在、13か所の小学校区で、地区防災委員会が立ち上がっているとのことですが、立ち上げには、市や関連機関、各地域の自治会役員の方々をはじめ、地域のまちづくりに携わっていただいている皆さまにご尽力いただいたことと思います。

私はことある機会ごとに市民の皆さんとこの件についてお話し、各地域での進捗を伺うようにしていますが、残念ながら、現状では多くの住民のみなさんは、自分たちの地域でそのような組織が立ち上がっていることをさほど認識しておらず、あるいは、漠然と知っていても、その内容や進捗についてはよく理解していない、という現状であります。

今後、それぞれの地域課題、行政や関係諸機関との連携や役割分担、災害時の具体的な避難体制や避難所運営など実効性のあるとりくみを地域の住民が主体的に理解し、行動するためには何が必要なのか。また、弱体化している地域コミュニティの再構築をどのように実現していくのか、災害弱者に寄り添った視点と平時からの取りくみがまちづくりに繋がる点などについて以下、質問いたします。

1点目に「地域防災会議」の委員について、総務常任委員会でも議論しましたが、再度確認いたします。

本年6月の災害対策基本法の改正をうけて、内閣府・男女共同参画局は「男女共同参画の推進及び高齢者や障害者などの多様な主体の参画を促進することとし、地域防災計画及びそれに基づく各種防災対策の充実を図ろうとするものである」という見解を示しました。そして災害対策基本法の改正の中で規定されている「『自主防災組織を構成する者または学識経験者』とは、広く自主防災組織の代表者等や大学教授等の研究者のほか、ボランティアなどのNPOや、女性・高齢者・障害者団体等の代表者等を想定している」という具体的な説明を付け加えたうえに「防災に関する政策・方針決定過程等における女性の参画の拡大に努められたい」という意思決定場面への参画について強調し、地方自治体に示しています。

また今年7月の「防災対策推進検討会議」の「最終報告」において「第5節 国の総力を挙げた取組体制の確立」のなかで「地方防災会議に積極的に女性委員を加えるべきである」と明記しています。そして、このような国の方針を受けて、婦人防火クラブや子育て支援センターの代表を委員に加えるなどの市区町も出てきました。私は防災基本計画が修正された趣旨を正しく理解し、多様な主体の意見を反映させてこそ、さまざまなシーンに対応できる対策を講じることができると考えます。

しかし総務常任委員会では、災害対策基本法の改正の趣旨・解釈について述べられている「多様な主体」とは何ですか、という私の質問に対して理事者のご答弁では「箕面市に重要な役割を担っていただいている機関」や「災害対策として活動する多様な組織」というものでした。さらに「女性の参画」については、地域防災計画の素案作成に際して、事務方である市の職員が女性であることをもって「女性の視点を最大限入れようという努力はしている」というものでした。事務職員が女性であることが、委員に女性を登用しているということになるという見解は非常に驚きでした。

そこで、委員会に引き続き、再度質問をいたしますが、箕面市の防災会議委員として「多様な主体の参画」について、どのように取り組んでおられるのでしょうか。また防災会議における女性の参画についての見解を求めます。

2点目は、地域防災力の向上についての質問です。彩都を除く各小学校区で地区防災委員会が立ち上がり、地域の独自課題や避難所運営マニュアルの作成などについて検討されることになっています。同委員会は校区内の全住民と校区内で活動している全団体が参加して活動を支え合うことになっています。(が、現状ではとりあえず各団体の役員さんを中心に動き出したところのようです。)

公報紙『もみじだより』9月号では「自治会に入っていないと・・・災害時のセーフティネットから外れてしまいます」「大規模災害時の安否確認は、自治会単位で行います」と記載されていて、自治会への加入を促しています。しかし、地区防災委員会は自治会や地域団体の他に、集合住宅の管理組合等も構成メンバーに入っていたと思います。また自治会がない地域や、転入者が自治会に加入できない地域もあります。

高齢になり、自治会の役割分担が負担となり脱会した世帯もあります。実際、この公報紙の記載に違和感を覚えた市民の方々からお問い合わせも複数いただきました。自治会だけに限定せず、自治会以外であっても、少人数の地域コミュニティで支えあえる体制を奨励していく方が現実的ではないでしょうか。「世代間連携の促進」や「共生のまちづくり」は、必ずしも自治会組織でなければ果たせない、ということではないと思います。

柔軟に、トップダウン式ではなく、ボトムアップ式の地域コミュニティの醸成、市民自治の推進をはかるべきではないでしょうか?

3点目に、円滑な安否確認や避難所運営を行うための見解を問います。地域コミュニティが、災害時の安否確認を行い、その結果を地区防災会議に連絡することになっています。地域内の連携や日頃からの信頼関係づくりが大切です。

DV問題や認知症、見た目にはわからないさまざまな障害など、それぞれの家庭内の事情をかかえながら暮らしている世帯もあるでしょう。また外国人世帯であるために意思疎通がうまく図れない場合があるかもしれません。

プライバシーや文化の尊重、相手の尊厳を守りつつ、見守りや支援を行うことが必要になるわけで、日頃から人権意識をもちながら、場合によっては、さまざまな配慮や理解が必要になるケースもあるだろうと考えます。ご近所づきあいがトラブルに発展するなど、とかく難しくなっているご時世であるため、このことについて行政はどのようなバックアップや支援を考えておられるでしょうか?

地区防災委員会では避難所運営マニュアルを作成することになっていますが、予定では11月に完成する段取りになっています。マニュアルはできるだけ多くの地域住民が内容を咀嚼すること、および、その過程が大事です。想像力を働かせながら、地域の課題と照らし合わせながら進めることが、より地域の実情に即した内容に仕上げることができると考えます。11月完成ということに拘ると、ひな形どおりでよいということになりかねません。スケジュールの見直しを含め、地域の課題に対し想像力を駆使しながら中身の検討に十分な時間をかけることを優先させるべきだと思いますが、いかがお考えでしょうか?

また、地域防災力の向上に向けて、阪神淡路大震災や東日本大震災で起こった問題や課題・教訓について、さまざまな団体がとりまとめています。現在、全国の自治体に資料提供しているNPOもあります。これらを予め学習する機会があった方がよいと思いますが、情報収集しやすい行政が率先して資料提供してはいかがでしょうか。

また、自治会や管理組合等に加入していないコミュニティの組織化が進まない世帯への地域防災にかかわる意見収集や情報提供・共有化策はどのように考えていますか?

4点目に、災害弱者である要援護者の方々の避難場所は、どのように確保されるのでしょうか?大規模災害時には電話回線や携帯電話が機能しない場合も想定されます。迅速に安全で適切な場所に移動するための手順や避難先について、平時から理解し、備えておく必要があります。とくに、何らかの施設を利用されていない方々の場合は、情報が届きにくいかもしれません。また、施設や介護保険等を利用されている方であっても、福祉事務所の担当者と連絡がとれない場合にうろたえないよう、心づもりが必要となるでしょう。また、75歳以下の独居の方、または昼間独居で要介護ではなく地域包括支援センターとの関わりをもたず、引きこもっておられる方などのフォローはどのように検討されているのでしょうか。

 


       ◆再質問 

 ただいまのご答弁に対し、再質問いたします。充分にご答弁いただけなかったもの、どのように理解してよいのかよく分からない点を確認させていただきます。
まず「防災とまちづくりについて」ですが、

① 箕面市が防災に男女協働参画の視点を入れることの重要性をあまりご理解いただけていない状態であることがよく分かりました。今後この課題については時間をかけて丁寧に議論していかねばならないと痛感いたしましたので、また場所を変えてさまざまな提案をおこなっていきたいと考えます。

さて、「多様な主体の参画」について、防災条例改正案に十分に織り込んで いる、との見解を改めて示していただきましたが、具体的にどの委員をさすのでしょうか?

このたびの条例改正で、社会福祉協議会さんが従来のオブザーバーから正規委員となりましたが、NPO、高齢者、障害者、の主体として参画されると理解してよいのでしょうか?

② 自治会がない地域、新期での加入が難しい自治会、高齢等で自治会を脱会した方々について、行政としてどのような具体的なバックアップを検討されていますか?お答えください。

③ 人権に根ざしたまちづくりについてですが、今日の課題はより複雑・多岐にわたってきていますが、今後さらに「共生のまちづくり」を意識して取り組んでいただけると理解してよいでしょうか?

④ 大災害時には、いつも弱者やマイノリティーがおいてきぼりになりがちで、真っ先に犠牲になります。各地区の防災マニュアルについて、ひな形は広範囲で網羅されていますが、やはり地域住民の皆さんが地域の実情に応じた課題に即して、咀嚼することが大切だと考えます。

確かに骨が折れる作業だと思いますが、逆にその過程が地域の結束力を高め、まちづくりに繋がると考えています。市のご答弁では、「負担をおかけできないので」「市が用意したマニュアルを踏襲すればよい」というふうに受け取れますが、そのような考えでよいのでしょうか?

また、先の大震災の教訓や課題などの情報や資料提供についてのご答弁がありませんでしたので、よろしくお願いします。

⑤ 災害弱者への、具体的な移動支援、日頃からの情報収集・提供などのフォロー体制について、また75歳以下の独居の方、または昼間独居で要介護ではなく地域包括支援センターとの関わりをもたず、引きこもっておられる方などのフォローについてのご答弁をお願いします。

◎公務員制度改革について

次に2項目目の質問を行います。

このたびの市長の所信表明では「この4年間のうちに特に確実に変化をもたらしたい3つのテーマ」というのが示されました。このうちの「公務員制度改革」についてお尋ねします。

一向におさまらない公務員バッシングのなかで、いかに職員のモチベーションを上げて良い行政サービスを住民に提供することができるのか。大きな課題です。

逆説すれば、もし職員のモチベーションが上がり、住民との接点のなかで職員の姿勢や思いが伝わり、かつ住民サービスが向上すれば、相互理解が深まって、やがてバッシングもなくなるかもしれません。住民全体の奉仕者として、市民の福利の向上を目指すという公務員ならではのやりがいを再認識し、やる気をどこまで引き出せるのか。能力開発・人材育成をどのようにはかるのか?制度改革の意味や意義は大変深いものであると理解しており、その意味で以下の質問を行います。

1点目に、制度改革の目的・意義を伺います。

所信表明にある「頑張る職員には報い、頑張らない職員には“一切”報いない」制度とは、どのような理念に基づくのでしょうか?「頑張る」というのは、個々の職員の「姿勢」のこと、つまり「とりくみ過程」を指すのか、それとも「結果や成果物」という実績で判断するのでしょうか?またそれをどのように評価していくのでしょうか?

手当や昇給・昇格に差をつけて職員にインセンティブを与えて、人件費を効率的に配分するために、能力や実績を厳しく評価して物質的な格差をつける、ということなのでしょうか?しかし、それだけでは組織内全体の底上げや市民サービスの向上にはつながらないのではないでしょうか。職員の能力開発や人材育成を含めた改革の目的・意義をどのように位置づけているのかお尋ねします。

2点目に現行制度の課題は何か、をお伺いします。

そもそも改革するのは現行制度に問題や課題があるためだと考えますが、現行制度の課題は何であるか?さらに、現在、箕面市民の市職員(公務員)に対する不満とはどのようなものであると、捉えているか?

また、職員は自らの職場改善と市民協働をどのように考えているか?若手の民間企業出身者や民間企業へ出向した職員らでプロジェクトチームを発足させた、とのことですが、全職員を対象に「職場活性化に関するアンケート」などは実施されているのでしょうか?

職場環境、コミュニケーション、制度(評価・処遇、能力開発)、内面的要因(能力アップ、やりがい・楽しさ)などが、どのように把握、整理されているのでしょうか?

3点目に目指すべき公務員像と人事評価について質問します。

全体の奉仕者として、また市民の福利向上を目指す職員が、やる気を高めるためには、どのような基準で評価をするのか、また、職員が納得できる評価のあり方がポイントとなってきます。

市民と向き合い寄り添うこと、市民協働の推進など、かならずしも効率的ではない取りくみの評価が適切であるように願います。

職員の評価への不信感を払拭するために、誰もが納得できる制度設計を心がけるべきだと考えます。公平・客観的・透明性が担保されるべきであり、そのためには評価基準が策定され、公表されることが望ましいと考えます。

そして評価者の能力向上、上司と部下の信頼関係の構築が不可欠です。さらに、被評価者が納得できるよう、双方の丁寧な面談の実施、指導・助言などを通して評価内容を被評価者に適切にフィードバックすることが重要ではないでしょうか。

また一般的には「各職場において求める人材像を定めたり、能力・資質の項目とレベルのマトリックスを作成することも大切」だと言われております。

極端な表現ではありますが、上司の顔色をうかがいながら仕事をするのではなく、より良い市民サービスに向けた仕事の方向性が明確となり、自身の主体的な努力が報われる仕組みづくりが大切ではないでしょうか。

また、物質面だけではなく「コミュニケーション報酬」の活用も大切なポイントではないでしょうか。
以上、見解を求めます。

4点目に人材育成や能力開発についてお伺いします。

計画的な職員研修や能力開発も重要度が増しています。また、民間ボランティア、自治体、企業などとの外部交流で、組織を客観的にみることや、外部でうけた刺激や外からの眼を職場に反映させやすくなります。これまで民間に出向して得られた成果はどのように活かされているのでしょうか。組織内や組織間の情報共有はどのようにはかられているのでしょうか?

人材育成や能力開発については、計画的な人材育成や目標が必要です。個人の能力アップやキャリアプランの支援、女性の管理職を推進するためのワークライフバランスの推進なども検討課題ではないでしょうか。

これらの見解をお伺いします。

以上、すでに他の議員から同様のテーマで質問されたものもありますが、理事者の分け隔てのない、真摯なご答弁を求めまして、質問を終わります。


◆再質問 

この質問は市長の所信表明に関するものです。

市長の公約に関する内容について、明確にお答えいただけず、肝心な点について「プロジェクトで検討している」と丸投げ状態になっていることは非常に残念です。また、このチームは8月に立ち上げて、11月にたたき台を出す、というスケジュールのようですが、この時点で、概略についてもご答弁いただけないというのは、理解に苦しみます。ある意味、職員の自主的な活動を認めてのことかもしれませんし、その点を否定するものではありませんが、「公務員制度改革」を標榜される以上は、もう少しお答えいただくべきであると考えます。

現行制度の課題について、「人事制度等に関するアンケート」を実施し、昇任制度の見直しにとりくんできた結果は、どのように把握、整理されていますか?

また、私は処遇改善もさることながら、職員がみずからが、自身が働いている部署をどのように改善したら良くなるか、市民サービスや職場環境、処遇を改善できるか、という「職場活性化アンケート」の実施の有無をお尋ねしましたが、これは実施されているのでしょうか?

なお目指すべき公務員像と人事評価について、市民協働の推進など必ずしも効率的ではない取りくみの評価や、評価者を意識することなく、市民を意識してとりくんでいただけるよう整備をお願いしたいと思います。

また、今回私はさまざまな具体的なご提案をさせていただいていますので、是非参考にしていただきたいと要望します。

以上、再質問といたします。

2012年9月議会報告へ戻る


閉じる

トップページへ戻る