2011年12月議会 一般質問

●一般質問

超高齢社会への対応」「図書館の評価」について

2項目にわたり一般質問をいたします。

1項目めは、「超高齢社会、単身者の増加などに備えた箕面市の課題」についてお伺いいたします。

4人に1人が高齢者という超高齢社会を迎えています。国立社会保障人口問題研究所の推計では、箕面市の高齢者人口は2015年で約3万3,000人となり、人口に対する高齢者比率は25%を超えることになります。2020年には約3万5,600人となり、高齢者人口の比率は高まる一方です。

さらに先般、勤労世帯の単身で暮らす女性の3人に1人が貧困であることが同研究所の分析でわかりました。2030年には生涯未婚で過ごす女性が5人に1人になると推計されており、ひとり暮らしの女性世帯の貧困率は、20歳から64歳の勤労世帯で32%、65歳以上では52%になります。なお、母子世帯は57%です。女性が家計を支える世帯に貧困が集中していると言われています。貧困者全体の57%を女性が占め、1995年の集計よりも男女の格差が拡大しています。

また、老老介護や子が1人で親を介護する中で、行き詰まったり、だれにも相談できずに孤立したり、ネグレクトや虐待に及ぶケースもあります。連れ合いや親をみとった後は1人で老後を迎え、孤族となる場合もあります。あるいは、ひきこもりの子の面倒を見、障害のある子を見守り介護してきた親も高齢に差しかかり、いずれ親世代が介護を必要とする時期に至ります。

一方で、少子化ゆえに親の介護負担が子に重くのしかかるケースや、親の介護で自身の将来に備えることができない例も珍しくありません。人とのつながりが希薄になり、社会から孤立する無縁社会をどう乗り越えていくのかなどなど、一朝一夕で解決できるものではありません。

ことし8月に菅前総理の指示で一人一人を包摂する社会特命チームが設置され、社会的包摂政策を進めるための戦略が検討されてきました。社会的排除のリスクが高まれば個々人の能力発揮が困難になり、社会全体の可能性の低下につながる。さらに貧困の連鎖は新たな家族形成を困難にし、少子化に拍車がかかるという負のスパイラルに陥ります。

また、世代を越えて格差が広がり、持続可能な循環型のまちづくりにも支障を来します。安定した社会保障制度の維持継続などは、国の責任において政策的に解決せねばならない問題ではありますが、地方自治体でできることは今から検討しておく必要があるだろうと考えます。

1点目に、現状把握と課題についてお尋ねします。
  箕面市では、超高齢社会に入り、さらに今後、単身世帯が増加することが予想できますが、そのような社会の到来に備えた現状把握と課題について、市はどのように整理しておられるのでしょうか。また、社会保障、福祉、医療、生涯学習、男女協働参画、まちづくりなど、さまざまな角度から総合的に位置づけ、取り組む必要があると思いますが、検討会などの立ち上げについてはどのように考えておられるのでしょうか。

2点目に、箕面市内で起こった事件の検証・分析についてお伺いします。
 先月、市内で息子と同居していた高齢の母親が、病気で亡くなった後、約30日間自宅に放置されていたという事件がありました。報道や市の説明などから、発見に際してはご近所、民生委員さん、市職員、地域包括支援センターとの連携があったこと、及び家族同居であり独居ではなかったため見守り対象ではなかったこと、ご本人が公的サービスを利用されていなかったことなどから、確たる情報が得られる状態ではなかったことがわかりました。そして、市としては、この事件は極めてまれなケースというとらえ方であり、市の対応には問題はなかったという見解でした。

しかし、現実問題として、家庭内で看病や介護の放棄があったかもしれませんし、非常事態であるにもかかわらず、だれにも相談しなかった、あるいはできなかったという事実が残ります。今や、一つ同じ屋根の下に暮らしながら食卓を囲まない、言葉さえ交わさないという家庭は珍しくありません。今回の事件は氷山の一角と考え、対処していくべきではないでしょうか。家族と同居しており、公的サービスの利用がなければ見守り対象から外れるケースがあるという盲点について、改めて検証すべきではないでしょうか。この事件の背景についてきちんと研究・分析することは、同様の事件を防ぐための手がかりになると考えますが、いかがでしょうか、市の見解を求めます。

3点目に、若者支援について質問いたします。
 困難を有する若者への地域における包括的、個別的、継続的な支援体制の構築を目的とする子ども・若者育成支援推進法が2010年に施行されました。ひきこもりの早期発見、中間的な労働機会の提供や就労支援により、若者が自立し、生き生きと働くことは、貧困の連鎖を断ち、活力ある地域を形成する一因となることであり、意義深いと考えます。

超高齢社会では、労働力人口の問題は重要な課題です。厚生労働省ナショナルミニマム研究会の報告、貧困格差に起因する経済的損失の推計作業チーム中間報告では、若者が職業訓練を受けて就業した場合と、訓練を受けずに就職しなかった場合の費用対効果を試算しています。最大で男性が9,000万円から1億円、女性は7,000万円から9,000万円の社会的便益があったとされています。

労働経済白書では、ニートの定義を15歳から34歳までの非労働力人口、非就業、非休職で家事も進学もしていない若年無業者としていますが、このニートやひきこもりの若者が高齢になり、生活を支えてくれた親が亡くなれば、自立は難しく、生活保護の受給に頼らざるを得ないという事態も想定できます。つまり、このような中長期的な若者の就労支援は、将来的な市の財政支出の抑制にもつながります。

そのためには、1、学校段階でひきこもりを早期発見、支援を行う。2、生活支援や就職活動までの段階的なジョブトレーニングを行う中間的な労働の場と、それを提供する支援機関の確保が必要ではないでしょうか。 また、義務教育課程においては、横断的に関係機関でケース検討会議が開かれますが、義務教育を終え、進学しなければ、全く受け皿機関がないのが現状であると思います。そのような場合は生涯学習部などが受け皿となり、切れ目のない支援見守り体制が継続されるようにすべきであると考えますが、この受け皿の設置について、市の見解を問うものです。

4点目に、無縁社会、孤族を乗り越えるための施策について伺います。
 昨年流行語にもなった無縁社会や孤族という表現にあらわされているように、家族、地域、職場における人とのきずなが薄れ、社会的に孤立し、生活困難に陥る問題が社会的リスクとなっています。核家族化で家族のきずなが薄れ、近所づき合いの煩わしさから地域でかかわりを敬遠し、職場では成果主義の導入によるぎすぎすした人間関係で疲弊する。気がつけばだれにもSOSが発信できず、孤立した環境に置かれることに気がつくが、心身ともに疲れていてどうすることもできない、いわゆる社会的排除のリスクが高まっています。

単身世帯の増加が推定されている中、箕面市における実態調査が必要ではないでしょうか。社会や地域との接点をふやし、居場所と出番の創出について、市はどのように考えているのでしょうか。 また、それぞれの能力が発揮できる環境整備が必要であり、このような社会を実現するために、社会的排除の構造と原因を克服する政策的対応を社会的包摂と呼びますが、その意味で支え合う共生のまちづくりの構築について、行政の役割とは何であると考えていますか。

5点目に、社会的マイノリティーへの配慮や支援について質問します。
高齢かつ単身者の場合、日ごろからの安心感が欠かせません。ふだんから見守られている、いざというときにはSOSが出せるという信頼関係のある、理解し合えるご近所さんや、知人、友人の存在は大きいと思います。地域のネットワークは、日常的に培った関係性の積み重ねによって機能します。

総務常任委員会において、地区防災委員会をめぐり、「もみじだより」に掲載されていた「自治会に入会していない世帯は、地域で安否を確認するセーフティーネットから外れてしまいます」という文について議論がありました。市長のご答弁では、事態の認識のためにあえて冷たく言うという趣旨の説明であったと理解しています。しかし、自治会に加入しなかったら安否確認はしてもらえないよと言うよりは、まず安否確認ができるような小さなコミュニティーをつくろうと呼びかけたほうがよいのではないでしょうか。

市内には、居住地に自治会がない地域や、転入者が容易に加入できない自治会も存在します。大所帯の自治会よりは、小回りのきく地域の小規模なコミュニティーづくりに力を注ぐほうが効果的な場合もあるでしょう。防災という切り口で地域のネットワークの強化を図るという意味では、日ごろからの支え合いが可能となる気のおけない仲間のネットワークづくりも大事です。

また、障害者、障害児、外国人などのマイノリティーへの配慮も欠かせません。災害時に真っ先に取り残される弱者やマイノリティーへの配慮や支援策を問うものです。
また、これらを地域福祉計画にどのように位置づけるのか、答弁を求めます。


2項目めに、「図書館評価について」質問いたします。

市立図書館の運営について、箕面市8館構想(たたき台)が、本年、2011年3月7日付で示され、4月14日には図書館協議会から箕面市教育長と教育委員あてに意見書が提出されました。その後、図書館協議会、社会教育委員会、議会の議論を経て、8月、知の拠点づくりアクションプランが教育委員会から提案されました。8館構想の趣旨を踏襲し、緊急プラン・ゼロ試案で提案された人件費削減が達成される形で盛り込まれました。司書の非正規化やICタグ導入によるカウンター業務の機械化については、議会や図書館協議会においても賛否が分かれ紛糾しましたが、8館構想が提案されてから、わずか5カ月というスピードで知の拠点づくりアクションプランの導入が多数決で決定しました。

この一般質問では、ICタグの検証を含め、図書館サービスの評価をどのように行うのかという点について質問いたします。

9月議会においても評価に関する一般質問が行われました。その答弁において、図書館協議会委員と検証を行い、市民満足度アンケート調査において、本年度から図書館サービスに関する項目を追加し、その推移も参考にするという極めて簡単なもので、目的や手法については何も述べられていませんでした。あれから3カ月たちましたので、さまざまな検討が加えられたことと思います。そこで、よりよい図書館運営のために、先進市の取り組みを参考にしながら、以下、具体的な手法について提案させていただきます。

まず、評価の目的についての提案です。
 町田市では、評価を通じて図書館サービスの改善を図ること。また、職員みずからが担当業務を一たん立ちどまって見つめ直し、その意義や可能性を職員同士で共有する契機とすること。また、一人でも多くの市民に図書館に対する認識を深めてもらうためのツールとすることを目的として取り組みましたと説明しています。

やはり、図書館評価は、ICタグの導入が効果的であるかという点にとどまることなく、これからの図書館運営をよりよいものにするという目的を持って実施していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

2008年の図書館法改正により、各図書館がその運営状況を評価し、結果を住民に公表することを努力義務とする条文が新たに加えられました。当然ながら図書館評価を行い、その結果を公表することで、市民への説明責任を果たすべきだと考えますが、いかがでしょうか。新たな評価方法等について検討するためのプロジェクトチームを設置すべきではないでしょうか。図書館サービスの改善のために、他市の例などを研究し、これまで箕面市立図書館が大切にしてきた運営や今後の目標なども改めて整理・検討できるよい機会ではないでしょうか、ご答弁を求めます。

次に、評価方法についての提案です。
 図書館の個々の業務について、市民サービスに直接かかわるものを項目別に取り上げる。まずは図書館としての自己評価を行う。あらかじめ評価基準を設定しておき、客観性、透明性を担保する。次に外部評価として図書館協議会に評価と総評、コメントをもらうという方法を検討いただけないでしょうか。

ちなみに、豊中市においても豊中市立図書館評価システムが確立されており、自己点検報告書、評価表リーディング項目と評価委員会による外部評価が丁寧に行われて、その結果は公表されています。また、毎年図書館利用者アンケートが実施され、調査表、調査結果、同じくクロス集計が行われ、これらもすべて公表されています。これらの公表を通じて市民協働でさらなる改革の積み上げが可能となりますが、いかがでしょうか。

次に、評価の位置づけについてです。
 教育委員会が毎年度実施する箕面市教育委員会の施策等の点検及び評価の中で図書館の評価が行われていますが、これはどれだけの資料やサービス等を提供したかというアウトプット型の評価方法であり、進捗や実績状況を点検評価しています。これから実施する図書館評価は、業務に対する現状や課題の把握、目標に対する成果度合いの検証につながるものという位置づけで行っていくべきではないでしょうか。

豊中市では、2007年の豊中市立図書館における評価のあり方について、提言の中で以下のように記しており、大変共感いたします。豊中の図書館活動において実施されている管理運営事業を徹底的に洗い出すことから始め、今後取り組むべきことは何か、あるべき図書館像は何かについての議論を重ねながらの作業は簡単なものではありませんでした。そのプロセスがあったからこそ、数量的な効果性、効率性にとどまらず、公共図書館の理念、使命、豊中市の地域特性や行政全般の計画や施策とも連動した、質的な評価を重視した自己評価システムを作成することができたと思います。特に豊中市立図書館の理念、使命や目標については、豊中市の特色を踏まえた現実的でわかりやすいものに努めるとともに、評価項目等についても、可能な限り図書館運営に役立つ、実践に即したものとなるよう工夫しました。

さらに、このような図書館評価システムは、学問的には研究が進み、標準的な参考例は示されているものの、実際に導入している自治体は少なく、多くの自治体ではみずからに適した内容のシステムについて研究・検討段階にあるのが現状です。全国的にも先駆的な取り組みであるいう自負を持って、豊中市のみならず、全国の図書館にとっても有益なものとなるよう腐心しました。とあります。

先進市の取り組みに学び、あるいは箕面流に改良して、よい手法はしっかりと取り入れていけばよいと思いますが、いかがでしょうか。よりよい図書館運営をめざし、効果的な評価制度の導入について提案いたしました。

以上、2項目の質問を行いました。誠意のあるご答弁をお願いいたします。


  ◆再質問 

ただいまのご答弁に対し再質問いたします。
2項目について質問いたしましたが、残念ながら十分なお答えをいただけませんでしたので、要望並びに再度の質問をさせていただきます。

1項目めの超高齢社会、単身者の増加などに備えた箕面市の課題についてですが、少子超高齢化社会に対応するための検討会の立ち上げやニートやひきこもりなどの若者就労支援、特に義務教育を終えた若者の受け皿となる部署の設置、災害時のマイノリティーへの配慮や支援策などについては、残念ながら、お答えいただけませんでした。

また、若者の就労支援については、若者が自立できるよう真剣に支援していただきたいという意味で質問いたしましたが、ご答弁の支援策は年1回開催のもので、実際の就労につながったのは1名程度という事業だったと伺っております。

さらにパーソナルサポートサービスについては、生活保護窓口からの引き継ぎが余りないようですが、中間総括を行い、行政とNPO、関係機関との連携をさらに深めていただける体制で事業の深化につなげるよう検討をお願いいたします。

私は、少子化や単身世帯の急増について現状の課題をどのようにとらえていくのかが大切ではないかと思います。さまざまな価値観や多様な生き方が尊重される社会を築いていかなければならないというふうに考えております。

単身であっても、高齢であっても、障害を持っていても、1人で子育てしていても、外国人でも安心して暮らせるためには、何が必要であるかを考えていこうという提起をさせていただきました。

そのためには、それぞれが個人単位で尊重され、さまざまな価値観、生き方を互いに認め合える基本的人権を大切にする意味が浸透したまちづくりが重要であると考えております。

このようなまちづくりのために行政ができることは何か、ほどよい距離感で緩やかにつながっていける社会の形を模索していきたいと思っておりますので、真剣に取り組んでいただきますように要望いたします。


続きまして、図書館評価についての再質問をいたします。

8館構想(たたき台)には図書館全体のあり方と経費配分を見直して、経費をふやすことなく、図書館のサービス維持向上をめざすというふうにありまして、市の拠点アクションプランには行政の無駄をなくして、効率化するにはサービスの低下とイコールではありません。市民の皆さんに直接関わる部分のサービスはより充実しながら、見えないところの無駄を省くというふうに書かれています。

図書館の行財政改革が行われても、しっかりと市の担保が図られていかなければ、単に安かろう、悪かろうになるだけです。市も市の拠点アクションプランにおいて大切にしてきたものをこれからも大切にすると宣言しているのです。市の拠点アクションプラン導入について議会や図書館協議会で非常に危惧されていた課題も箕面市の図書館サービスの維持向上が本当に図れるのかという点でした。その意味で、行革後の図書館サービスの質について多角的に検証されていく必要があると考えまして、箕面市が培ってきた大切にしている課題を検証するために、今回このような図書館評価の方法があるのではないかという提案をさせていただきました。

また、図書館協議会で今後議論していくということなんですが、どのようなたたき台をもとに議論をされるのでしょうか。

8館構想から市の拠点アクションプランを導入するまでのスピードをもってすれば、図書館サービスの検証方法についても、もっと検討がなされていてよいのではなかったでしょうか。

業務を効率化してサービスは低下させないぞという意気込みや本気度が残念ながら感じられません。100%司書をめざすとアクションプランに示されていたにもかかわらず、11月には突如、司書ではない新館長が誕生いたしました。

また、図書館のホームページにある図書館協議会の会議録、これも4月分までしか更新されておりませんので、この間の図書館運営に関する大切な協議内容が利用者の皆さんと共有できておりません。
来春からはIC委託の導入をはじめ、人件費の削減を含むアクションプランが順次実施される予定ですが、具体的な図書館サービスの検証方法に関する議論は棚上げ状態になっています。

そこで、再度以下の質問をさせていただきます。

このたびの一般質問をめぐって教育委員会はアクションプランの導入に関する評価と図書館評価は別次元であるかのようなご見解を示されました。

では、このたび提案した図書館評価のあり方についてはどのように評価されるのでしょうか。今回というか、今は必要ないということなのでしょうか。

また、行革後の図書館サービスの維持向上のための検証は、どのような工程で取り組まれ、その方法については、具体的にどのように検討されていくのでしょうか、真摯なご答弁をお願いいたします。


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