2011年5月議会 討論

○反対討論

◎第66号議案 箕面市一般会計補正予算(第3号)

市民派ネットの中西智子です。
第66号議案 箕面市一般会計補正予算(第3号)に反対の立場で討論し、以下に理由を述べます。

 まず1点目として、この補正予算の債務負担行為には、多世代交流センター管理運営事業費が含まれていることです。

そもそも多世代交流センターとは、子どもを中心として様々な世代間交流の場であるべきだと考えます。また子育て支援センターは地域社会全体で子育て支援を行うための拠点として整備されるものです。しかし、そのような視点から事業を検討するのではなく、ただただ効率優先、効率至上主義の考えにたち、新子どもプランによって子育て支援センターひろば型を市内5箇所に設置しなければならないという計画であるため、高齢者の合築施設に組み込んだと理解しています。そして、老人福祉センター、養護老人ホーム、介護保険施設とこの子育て支援センターをワンパックとして1つの事業所に指定管理と抱き合わせて営業権を与え、かつ施設の提案・建設までも指定管理者に丸投げするという信じられない方式を編み出しました。

松寿荘(老人福祉センター)と子育て支援センターの管理・運営は、10年間の指定管理期間の後も、公募は行わず、実質的には随意契約のようなものとなります。これでは、利用者のサービス向上にはならないでしょう。

少なくとも、地域交流の施設や子育て支援施設などは、将来的に地域住民が主体的に企画・運営できる仕組みを残しておくべきであり、これは未来のまちづくりにとっても、重要な要素であると考えます。地域住民が、地域の施設を自ら運営するということは、新たな公共の担い手として市民の参画を進めることでもあるのです。

老人福祉施設の建設そのものに反対するものではなく、また養護老人ホームについても基本的に民営化には賛成しかねますが、施設の建設に反対するものではありません。施設再編における市の考え方、とりわけ指定管理制度の運用の方法について、望ましくなく、またこのような前例を作ることも問題であると考えます。

2点目に、歳出の土地開発公社貸付事業5800万円、ならびに債務負担行為の滝道観光振興事業6000万円についてです。これは、滝道の河鹿荘跡地を市が土地開発公社に先行取得させ、のちに市が買い上げる、というものです。

6000万円の内訳は、5500万円程度で購入したとして、さらに3%の手数料(165万円)+鑑定料約30万円×2社分(60万円)の残り(約275万円)が維持管理費とのことです。

ちなみに桜井駅前の用地取得の場合は、鑑定について複数からとるべきだと提案しましたが、建設水道常任委員会では「その必要はない、もったいない」という答弁でした。部署間で基準が違うとは一貫性にかける行政運営であり、これは別途検討課題であると考えています。

まず、土地取得の提案に到る経緯についての問題です。

事前の説明及び総務常任委員会での市の答弁では、地域創造部長の個人的な知り合いである箕面市不動産事業協働組合というところに滝道の土地等、取引があれば教えて欲しいと依頼していたところ、この4月中旬あたりに河鹿荘の跡地が売りにだされているとの情報を入手した、というものでした。それに加えて、同不動産会社に、マンションや老人ホーム建設が目的のオファーがあった。だから、観光資源としての景観を守るために、いったん公有化をはかり、マンション建設を止める、という決断をしたというものでした。

しかし、まことに奇妙なのは、マンション建設云々は問い合わせのみであり、何ら具体性はないようです。もし誰か他の人が取得して滝道の景観を害するものを建設するといけないので、という仮説のはなしなのです。私は市内の不動産会社に、河鹿荘跡地の売買についての情報収集を行いましたが、昨年の競売以来、そのような話は聞いていない、とのことでした。もちろん、たまたま問い合わせた会社には情報が渡っていなかったのかもしれません。また、オファーの有無や詳細については事前のヒアリングで何度も確認しましたが、「知らない」とひたすら不明瞭な説明でした。問い合わせがあっても、金額的に折り合いが合わず、あるいは現地をみて断念した可能性があります。しかし、どういう経緯で現在の持ち主が情報源の不動産会社に土地を売りたいともちかけたのか。なぜ売りたいのか、まったく不明なのです。このところが非常に疑問です。

さらに、後の調査ではこの不動産会社の2009年から2010年度組織表に、常任相談役として前市議のお名前が記載されていることを知りました。地域創造部長が個人的に入手されていた情報の発信源が前市議であったかどうかは定かではありませんが、もっと詳しい情報を教えていただくこともできたと思われますので、何故そのようなことを隠していたのか、隠す必要があったのか、まるで不可解です。

次に買取り価格ほかの問題です。当該地を含む約880uの土地は昨年3月に競売物件として4030万円で落札されています。今回、市はこの3筆の土地のうち2筆、約560平米を5500万円という先方の希望価格でおおむね買い取る計画で試算し、予算計上しています。落札された土地をその約2倍の予算を充てて市が買い上げるという具合になります。

おまけに、観光資源を守るために以前からアンテナを張っていたのなら、市は何故競売時に取得しようとしなかったのでしょうか。この競売物件は箕面市も債権者として差し押さえに参加していた物件でした。裁判所からは市に競売の情報が入っていたはずです。市が競売を見過ごし、あえて高い金額でこの土地の入手を図ることなど到底、認められる訳がありません。

さらに、買い上げた後の利活用が不明瞭であることです。観光資源を保全する(守る)といいながら、その資源の具体的活用策はなく、「物販や飲食業などで」民間事業者に委譲、またはサブリースを考えている、というレベルです。  総務常任委員会では、何度も市の覚悟を質しましたが、買い手、借り手がつかなければつくまで待っている。耐震補強や保全のための修繕などは、買い手、借り手が行うというもので、市が手を加えて、例えば市の歴史資料館として、あるいは観光案内(グリーンツーリズム)の拠点やイベントスペースとしてNPOなどの市民が使えるようにする、というものでもありません。サブリースで貸し出すのだから市は損をしない、という見解は非常に甘く、いい加減であるといわざるをえません。

加えて、560番地の現在駐車場となっている部分をポケットパークにしたい、という市の答弁でしたが、予算計上もされておらず、また、そうなると店舗としての駐車場用地が確保されなくなり、商業用地として借り手の幅が一段と狭まることとになります。矛盾だらけで市がなにをしたいのかさっぱり分かりません。不明瞭な予算執行の提案であるといえます。

また、滝道は箕面市の景観条例で景観配慮地区、山すそ景観保全地区に指定されています。建築行為を行う場合は、市に報告しなければならず、市は景観に配慮するように指導ができます。高さも12mまでと規制されています。仮に、マンションほかが建設されたと仮定しても、景観に配慮した建物であれば問題ないと考えます。現に、つるや旅館跡地のマンションはまだ景観条例ができる前に建設されましたが、樹木を残し、景観に配慮した造りとなっています。

突然のように滝道の観光資源としての「景観を守りたい」と言い出した市ですが、景観条例が策定されてからいくらでも景観地区指定がおこなえたにもかかわらず放置しておいて、いきなり保全のために6000万円の予算を計上するというのはあまりにも不自然です。

委員会では、河鹿荘が登録有形文化財になるのでは、という意見がありましたが、私は現場を何度も見に行き、建築物に詳しい人にも同行してもらいましたが、あの建物はおろか、滝道沿いの土塀や石垣についても風情はあるが、有形文化財というほどの代物ではない、とのことでした。

滝道を歩いていて、景観上でいえばもっと整備しなくてはならない箇所がいっぱいあります。予算執行には、明確な理由と合理性が必要です。現状では、このまま執行すれば住民監査請求の対象となるでしょう。

この提案に到る経緯、買取価格をめぐる問題、利活用など使途が不明瞭な点など、予算執行が認められない問題が山積しています。

以上の理由から第66号議案には反対であることを表明し討論を終わります。


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