2011年2月議会 一般質問

●一般質問

市民派ネット 中西とも子

◎ 官民境界の確定と建築確認について

私たち議員は市民から、市政や市民サービスにまつわるもろもろの相談を受けることが多々あります。昨年の第3回定例会においても、私は市役所の役割や市民への対応について一般質問を行い、全庁的な改革を求めたところです。しかしながら、残念ではありますが、この課題の根は深いようで、市民への対応についての市民からのクレームは後を絶ちません。今回は市民相談の一例を紹介しながら、あるべき市役所の役割や対応について質問をいたします。

今回、官民の土地境界の確定において、市民の方から相談を受けました。一般的に土地の境界をめぐっては、紛争に至ることは珍しいことではありません。しかし、民民間ではなく、官民の境界確定については、行政の公平、公正、丁寧な説明に基づいた事務執行が求められると思います。相談者、以下Aさんといいますが、Aさんが市役所等とのやりとりを録音していたため、客観的に把握することに役立ちました。Aさんは、市役所とのやりとりにおいて、難しい専門用語が飛び交うため、即座に意味ができないことがあったので、聞き逃さないよう録音されていたようでした。Aさんからは、事の重要性から住所、氏名を公表してもよいとの申し入れをいただきましたが、私の配慮で実名は伏せて質問をさせていただきます。

まず、経緯についてですが、今回の件は、旧来の地権者の土地とミニ開発で転入してきた住民の土地が市道を挟んでおり、申請者である、以下Bさんといいます、Bさんの土地を確定させるために官民の境界を決めたいということで、Bさんから市に申請が提出され、Bさんの土地に関係する地権者に立ち会いの依頼がありました。Aさんは、この関係者の一人であり、この官民境界線の確定に関わる市の事務執行について数々の疑問が生じて、私のところに相談に見えたものです。

さて、Aさんの土地は、申請者Bさんの貸借地です。Aさんは、セットバックした履歴を示す書類があると市に申し出ておられました。また、市とのやりとりの中で疑問が出てきたため、Aさんは納得がいかない幾つかの項目について、複数の方々に相談し、その相談を受けられた方は市と協議しながら、課題をまとめてAさんに提示されました。その内容は、まずAさんの主張として、丁寧な説明と職員の対応、接遇改善、Bさんと市道の境界を示す資料の提示、Aさん提出の資料の精査、そして実測。

次に、Bさんの主張として、自主的に0.85メートルセットバックしていた。市道は市の所有地なので、市が方針を示すべき。そして、市の主張は、隣接地で3件の明示を完了しているが、Aさん提出資料の道路位置指定図と整合しない。したがって、既に明示されたものに基づいて立ち会いを行い、Aさんの了解が得られなくても、1月中に明示を確定させるというものでした。その後、Aさんと市との間でやりとりがありましたが、その概要とAさんの訴えは次のようなものです。

1、今回の問題は、官民の境界確定に際し、道路の中心線の位置確定について、現況の道路状況とも矛盾するものであるにもかかわらず、Aさんは疑問に思う項目については市から適切な回答がもらえないことに憤りを感じる。Aさんは、自宅の新築時には、2メートル30センチだった道路の中心線から85センチセットバックしたときの3メートル15センチ幅よりも現在の道路幅が狭くなっていて、大変矛盾があると感じている。また、申請者が既にセットバックしているとのことだが、対側のAさんは道路位置指定図等により、既に85センチセットバックしたことがわかる書類を示しているのに、申請者のBさんからの資料は何もないので、何度もBさんの資料の提示を市に求めたが、対応してもらえなかった。2カ月近くたった3月16日になって、市は開示請求すればとか、出せるものなら出すし、出せないものなら出せないなどと、市民にとっては理解しがたい説明を行った。

2、市はAさんの書類の精査と実測という主張を無視し、Bさんの口頭での申告を認めて、周囲の状況から境界を確定した。その結果、4メートル道路実現のために、さらに市はAさんにもう94センチ後退すべしと告げている。これでは、Aさんは合計179センチもセットバックしなくてはならず、余りにも理不尽であると感じている。市は、過去の境界確定から道境を設置したが、図面上と実際の道幅には矛盾が発生し、現況の当該道路は不自然に歪曲している。これはBさんの並びで既にセットバック済みのDさんの境界線、既明示ですが、それと結ぶと中心線がゆがみ、不自然な道路となる。また、種類の異なる道境が側溝を挟んで埋め組まれている箇所もあり、理解に苦しむ。

なお、過去にBさん、対側のAさんの隣接するCさんの新築に当たって、道路確認申請に使用された資料には、それぞれ中心線から2メートルの位置にセットバックされている図面が添付され、建築確認が行われている。このことから、今回の境界確定された位置については疑問を感じる。

3、さらにBさんの土地面積は地籍測量時の履歴を参照すると、近年のほうがふえている。この現象は、道路行政、建築行政が関わる中で起こっていることで、土地面積がふえているということは、市道とBさんの土地の境界が経年変化していることを示しているのではないか。

4、官民境界の立会時に、今回の境界線確定に大きく関わっている過去の既明示について、Aさんと隣接するCさん、申請者Cさんの立ち会い時には申請者Cさんが入会している自治会ではない人が利害関係人として立ち会い、境界確定図にも署名・押印している。一般論として、多人数で威圧感がある中では異議を唱えづらく、またご近所としての摩擦を敬遠し、渋々ながら境界線を認めてしまう。あるいは、異議を唱えても押し切られてしまうというのはあり得ることではないか。

5、境界線明示申請の手続は、対側の市民からの異議申し立てがあるにもかかわらず、行政は申請者が急いでいるからという理由で手続を完了した。ことあるごとに申請者の都合、あるいはこれ以上の期日の延期はという意味ですが、Bさんに許してはもらえないなどと、Bさんの都合を優先するかの説明が繰り返された。Aさんは、なぜ自分の声にも耳を傾けてくれないのかと悲しくなった。

また、説明を求めたAさんに対して、◯◯測量士が詳しいからそちらに聞けばよくわかるなどと、民間の特定事業者を勧めるという対応は、適切な事務であったとは思えず、今から思えば不可解である。

以上が、Aさんの主張です。

以上のAさんからの相談を踏まえ、以下に3点の質問を行います。

1点目に、公共用地境界確定に関する手続の流れと対側や隣接など、とりわけ利害が絡む立会人へ事務の流れや意味などについて丁寧に説明するべきではないでしょうか。ホームページに手続の流れや簡単な説明を行っている他の自治体もあります。専門的かつ一般市民にはわかりにくい官民境界確定の事務手続であるため、市は今後、市民に対して事務手続の流れがわかりやすくなるよう、どのように検討していくのでしょうか。

2点目に、公共用地の境界確定協議が不成立の場合、境界確定訴訟等によって解決を諮ることになりますが、道路課職員が当該市民に裁判で争っても既明示が最優先されるのでなどと、裁判をしても無駄であるかのように、市民の当然の権利を放棄させるようなアドバイスを行いました。また、平成17年以降は、不動産登記法改正により筆界特定制度も紛争解決の新たなメニューとして加わったにもかかわらず、この制度のことも伝えませんでした。

私は、異議がある、そのようなときはどうすればよいのかと尋ねるAさんに対して、市は適切な指導をしなかったのはなぜでしょうか。これは、職員の事務執行として適切であったと考えるのでしょうか。

3点目に、このような官民境界の確定事務のあり方は、一方の市民への利便を図るかのような疑念を与えかねません。全体の奉仕者たる公務員の原則からも、課題を残さないような対処方法が望ましいのではないでしょうか。官民境界線の確定については、異議を唱える市民については丁寧な説明、合理性のある対処が必要です。

今回の場合は、市民の疑問にはきちんと答える、一つ一つ答える。また、実測してほしいという訴えには応じることは可能であったのではないかと考えます。スピーディーな事務処理が求められているという点からは、速やかに結論を出したいという担当部局のお考えもあったかもしれませが、納得できない一方の市民の疑念を放置しておくと、その後の地域コミュニティーにも大きな亀裂をつくることにつながるのではないでしょうか。

もしかしたら、官民境界の確定については、従来から今回のような手順で進め、市民からの多少の不満があってもおさめてきたのでしょうか。古い行政体質の一掃が求められております今日において、住民の行政への信頼を勝ち取るために、異議を唱える市民に対しては合理的な説明と精査、解決策などが、改善、工夫が求められております。今後、どのように市は努力、検討していくのでしょうか。

質問は以上です。真摯な理事者のご答弁を求めます。

官民境界の確定と建築確認について(再質問)

ただいまのご答弁に対しまして再質問いたします。

この場は委員会ではなく、一般質問なので、細かいやりとりは控えさせていただきます。

また、今回は、私は官民の境界確定について、確定された内容の是非、つまり境界確定された内容が正しいか間違っているかという問題を質問しているのではなく、市民に対する行政事務の進め方についてお尋ねしているものです。ご答弁をお聞きしていますと、その辺を誤解されているのではないかと思いますので、改めて申し上げておきます。

また、ご答弁の冒頭に、一関係者の主張のみを聞いてとか、十分な調査がない、あるいは一方的な指摘とのご指摘をいただきました。これについても、私の質問でも述べましたように、Aさんは専門用語の意味や区別がその場で聞いただけでは即座にわからないため、また市とのやりとりを正確にご家族に伝えたいという思いから、一連のやりとりを録音されておりました。中には録音状態が余りよくなくて、詳細が聞き取りづらいものもありましたが、私は、Aさんのみからの聞き取りだけで申し上げているのではないことを、改めて申し上げたいと思います。

また、Aさんだけではなく、今回の土地に関わるさまざまな資料をはじめ、近隣住民の声の収集や現場の状況調査を行った上でこの質問に臨んでおりますこともつけ加えさせていただきます。そして、私は何よりも、弱者である市民の声を代弁するという立場で質問しておりますので、ご理解いただきたいと思います。

さて、境界確定の事務は、一般市民にとってはとてもわかりにくく難しいものです。まず、そのところの認識が市の職員さんにご理解いただいているかどうかです。事前に道路課、建築指導課とお話をさせていただいたとき、普通の人はわかってますよというふうにおっしゃっていただいたとき、私はとても驚きました。不動産にそこそこ精通しておられる方や何度か境界確定に関わるなどで、さまざまな経験を積んでこられた方ならよくご存じかもしれませんが、余り経験のない方にとっては、日常生活に関わりがないため、わからなくても不思議ではありません。具体的に何かの不利益が発生したときに始めて事の重大さに気づくという方も少ないのでは思います。これぐらい知ってて当然というスタンスで市民と向き合うのではなく、とりあえず最初は一から説明するつもりで接するという姿勢が大事ではないかと思います。

私が1点目で質問をしている事務の流れや意味などについて、丁寧に説明するべきではなかったかというのは、大前提として対側者Aさんには、Aさんが境界確定の事務全般を知らないという認識で説明をされたのかということです。

ご答弁にあった適切な事務処理とは何を指しているのでしょうか。事務的に、法的に問題がなかったということでしょうか。市民と直接に接しておられる職員の方には個々の市民の方と向き合うとき、どういう心がけで対応されるのでしょうか。

今、目の前の市民の方に何をしてあげるのが一番なのかという相手の身になった対応を心がけておられるのでしょうか。行政側が説明したと思っていても、それを受けとめる市民が理解できていなければ意味がありません。この件で、事前に道路課とお話ししたときも、開口一番にうちは完璧です、適切に事務処理しましたというふうにご担当者はおっしゃっていました。

しかし、当該市民が納得できていない状況であるにもかかわらず、完璧、適切と言えるところにやはり真摯に市民と向き合うという姿勢が見えません。あるいは、このAさんがクレーマーとでもお考えなのでしょうか。机の上の書類には問題がなくても、さまざまな問題を残しているのではないでしょうか。

さて、そこで2点、お伺いいたします。

1点目にAさんが一貫して求めておられる土地測量図と道路位置指定図の精査、実測、これはかなわないことなのでしょうか。道路位置指定図だけでは正確に欠けるというようなことでしたけれども、土地の測量とあわせて意見書を精査すれば、位置も明らかにすることも可能ではないでしょうか。

2点目です。Aさんは現在、市道とAさん宅の土地の官民境界の確定を求めて申請書を提出されています。境界確定がまだ完了していないのですが、Aさんの対側にある土地に現在新築住宅が建設されようとしています。Aさんと市の境界確定が完了していないため、道路中心線も決まっておらず、したがって、道路幅も未定です。この状態を受けて、市は住宅建築の施工者に対してどのように指導されるのでしょうか。

以上2点を再質問といたします。


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