2010年12月議会 一般質問

●一般質問

市民派ネット 中西とも子

◎ 箕面都市開発鰍フ特定調停をめぐって

箕面都市開発鰍フ特定調停案をめぐって、様々な議論がおこなわれましたが、昨日、調停条項案の受諾が可決されました。昨今、地方自治体においても外郭団体の事業仕分け分が重要な課題になっています。税金の無駄遣いを改め、市民生活に最も大切なものに税金が配分されるよう、政策的にも発想の転換が求められています。このたびの件では、市も議会も大変重い荷を背負うことになりました。その重みを受け止めながら、今後の調停条項の計画遂行にあたり、一般質問を行います。

1点目に責任に関する件についてお伺いします。

今後の遂行にあたり、もし当初の計画が履行できなかった場合、その責任は誰が負うのか?現状では19年後の約3億円をまとめて市に返済する時がポイントになるように思います。

たとえば、現市長がその職を辞したのちの場合はどうなると考えているか?また出資法人支援担当員が在職中は何らかの責任を負うのか?あるいは、退職後は後続担当者がその責を負うことになるのか?

さらに、このたびの事態を引き起こした原因については、都市開発の経営の甘さと市のチェック不足、ということでした。「市のチェック不足」ということで、歴代市長はもとより、都市開発が2度目の指定管理の公募・プレゼンに落選し、またさらに満を持して臨んだであろう3度目の指定管理の公募に挑戦するも、三度落選するなど、担当部局や現市長の責任も問われているところです。

そこで、市長からは都市開発から完済させることが責任の取り方である旨の発言があったが、責任ある立場にいる人たちは、まず起きてしまった事象に対する責任をとり、同時に指導者は新たな打開策を図るものであると思います。民間会社であれば、降格・減俸などが定石です。市民と信頼関係を築くための前提として、市の謝意を物質面においても示すということについて、見解を求めます。

2点目に市民に対する説明責任、同意の取り方についてお尋ねします。

このたびの都市開発に対する5億2千万円という新たな出資は市民にとっても衝撃的でした。「特定調停」について、市民の理解を得るために事前説明会を開催しなかったのはなぜか?

また、今後、市の広報誌やHP上での説明はなされると思うが、言葉による補足説明がなければ、なかなか分りくい内容であると思われる。このような第三セクターへの出資については、市民の理解が不可欠であることはいうまでもないため、各地域における説明会が不可欠であると考えますが、市はどのように検討しているのでしょうか?

市民協働型社会を構築するためには、丁寧な説明と意見交換が必須である。市の前向きな見解を求めます。

3点目に債務の弁済方法について質問します。

調停条項では41年までに約4億円を返済する計画になっています。そこで「弁済方法の変更」として計画値の変更があった場合に回収を加速させる条項が含まれています。この件についてはが、市長は「できる限り41年を前倒しし」「期限を極力短縮することが最大のリスクヘッジ」という具合にきっちり早めに返してもらいたいという豊富を述べられていました。具体的な弁済額の増額幅については当事者間の協議によるものとされているが、まず、弁済額の増額が可能な計画値とは、どのような基準によると考えてよいでしょうか?箕面都市開発鰍ェ1500uの土地の活用について、駐車場経営からシュテルンへの賃借事業へ変換した際に、余剰となる約1千万円を市の返済分に上乗せするよう、私は提案しましたが、市の見解は「都市開発の体力低下になるので駄目だ」というものでした。また具体的な増額幅の決定は「当事者間の協議による」とされていますが、計画値の評価は毎年、どのような形で実施するのでしょうか?

さらに評価委員会のようなものは立ち上げるのか?透明性と精度の高いチェック体制の構築について、どのようなプランが検討されていますか?

4点目に箕面都市開発鰍フ義務履行違反があった場合についてお尋ねします。

本来ならば申立人が期限の利益喪失・保証人の代位弁済事由になる旨の記載事項が有る筈です。しかし、このたびの調停条項には都市開発に義務履行違反をカバーする保証人が立てられていません。監査法人の中間報告書面においても、「ペナルティが科せられる建て付けになっていない点は、実効性の面から若干の懸念がある」と記されています。市は「支配株主としてのガバナンスを通じてその実効性が間接的に確保されているとみれば特段の問題はない」と続けていますが、この間の経過を考えると、何と楽観的な条件設定にしたものかと驚きます。そこで、昨日の討論でも提案されていましたが、市民的な感情を受け止めていただき、市長の心意気と市民への信義を表していただくために、市長に保証人になっていただくという方法について、ご検討いただけないでしょうか?(もし、検討されたのなら、実現しなかった理由について説明を求める)

5点目に情報提供についての質問です。

今回の特定調停について、その履行については市は無論、議会も大きな責任を負うこととなります。履行に向けて、議会も厳しい視座でチェックしなければなりません。そのためには、従来のような情報提供のあり方では進まないため、市が進んで情報提供されることを切に願います。調停条項案の中で、都市開発の財産及び損益の報告書のほか、「会計帳簿」のコピーも可能であることが明記されています。昨今、議会に対する市の情報提供は後退気味である部署が散見されます。帳簿上の個人情報への配慮は当然ですが、市が事前に入手し、墨塗りが必要な箇所については事前にチェックするなどして、積極的かつ速やかな情報提供に努められるよう求めるが、いかがでしょうか。

 男性の育児休暇と男女協働参画

昨今、「イクメン=男性の育児参加」が話題になっています。とりわけ首長の育児休暇宣言は、マスコミがこぞって報道し、また特集を組むなどして論議を呼びました。わが箕面市においても、市長の育休がやはり話題となり、賛否両論、市民から60数件のご意見が寄せられたと聞いています。

この、寄せられた意見で「賛成」意見は「できる人ができることからすればいいし、無理せず、自然に広がればいい」「市長がとれば男性職員がとりやすくなる」「トップから変わらなければ」といったものでした。

一方反対意見は「民間では育児休暇など取りたくても取れないのが現状なのに、何故市長が有給で休みを取れるのか」「育児休業を取れるような環境を作ることが先決で、首長は最後に取るべきだ」「給与が減額されないのはおかしい」などなどさまざまであったそうです。なお、約8割が反対意見であったとのことでした。

私は基本的に男性の育児休暇取得をもっと推進させるべきであると考えています。そのためには男性が育児休暇や介護休暇をきちんと取得できる環境の整備が必要です。その意味で、このたびの市長の育児休業については、休みを取る行為そのものについてはもちろん異論はありません。しかし、タイミングと十分な説明責任が果たせていなかったことや、当初「首長が率先して育休を取ることで制度の推進をはかる」と説明されていたのに、市民の反応が予想以上に厳しかったからなのか、途中から本来の趣旨がトーンダウンしてしまったことは極めて残念に思います。職員が取りやすくするためというの目的があったのなら、その環境整備はいうまでもなく、意味や意義について、丁寧に発信していただきたかったですし、首長としての立場から政策的な視点を持つことは、大変重要であるはずです。せっかくのよい機会であったのに、市長がみずから、男女協働参画の視点を明確にされなかったのは、たいへん残念だったと思います。

今年6月に施行された「改正育児・介護休業法」では、妻が専業主婦でも夫の育休取得が可能になりました。しかし法制度が整っていても、職場ではなかなか休暇をとりにくいという現状があります。箕面市役所においても、育児休業の取得は2010年に1人、部分休業は2008年にのべ3人です。公務員ですら、このような状態なのですから民間においては推して知るべしでしょう。休みたくても人員体制が整っていないとか、「子どもが生まれたら父親も休みをとって育てるのがあたり前」という意識の問題などがあると思います。そしてもっと言えば、仕事をする時間と家庭生活の時間がもっとバランスよくなれば、子育てや介護がしやすい社会になると思います。

さて、今回、市長の育休で明らかになった課題について、今後、政策的に男女協働参画を有意義に展開していくために、一般質問を行います。

1点目に市長の「育児休暇」に関連してお伺いします。

このたび、市長が育児休暇を宣言された前日の、10月19日に市長ほっとミーティングが開催され、その場で参加者から「二人目の出産間近だそうだが、育児休暇を取れば?」というような質問がありました。市長は「うーん、考えてはいますが・・・検討中です」と答えるにとどまっておられました。しかし、翌日には「明日から育休とります」と突然宣言され、市の職員も私たち議会も大変驚きました。本来ならば、もっと事前に「生まれたら、育児休暇をとる」「理由は斯く斯く然々・・・」と宣言をすべきだったのではないでしょうか。せっかくのチャンスなので、父親が育休をとることの意義や目的について丁寧に説明して欲しかったと思います。そして、男性の職員が育休を取りやすくするための整備を行うべきではないでしょうか。

市長の育児休暇が報道されるや否や、市役所には市民からのメールやファックス、電話、来庁などでの反響がありました。報道では「箕面市長は20日、出産に合わせて翌21日から連続16日間の『育児休暇』を取得することを明らかにした。」とありましたが、ご自身のブログ上では、「『育児』モード」と呼び、その後の育休中のブログでは次のように述べておられます。「まずは『育休ってなんだ?』『世の中で育休は必要なのか?』をちゃんと考えるのが先。僕はそう思います。」これでは、箕面市は育休推進の立場をとっているといいながら、「何故、育休を推進するのか」を説明されておらず、とりわけ父親の育児休暇の位置づけや意義については、政策的にどのように連動しているのかさえ明らかにしないまま、理論的・政策的課題を棚上げにしてしまっています。また通常ならば「報道資料」として、ホームページ上で公表するはずなのに、今回はそうしていないのは何故なのでしょうか?

さらに、市長のブログでは「育休」モードに入ったが、休んだのは正味6日間程度で、あとは忙しく殆ど仕事をしていた、ということが説明されています。でもこうなると、何のための「育休」プロパガンダだったのでしょうか?首長と一般職員の区別はあると思いますが、丁寧な説明をしていただかないと、「仕事が優先、育児は二の次」との誤解を与えてしまいます。最高責任者として危機管理を遂行するという問題と、自らが率先してあるべき生活モデルを実践するということをしっかり区別して説明していただかなくては、結局、今回の市長の「育休」モードとやらは、単なるアピールに過ぎないといわれても否定できないのでなないかと大変残念に思います。

このたびの市長の「育休」取得について、どのように総括しておられるのかを問うものです。

2点目に、育児休暇に絡んで見えてきた課題について質問します。

今回、市長の育休取得について市民から寄せられた意見の大半が反対意見であった、とのことでしたが、このうち、育休自体に否定的なのではなく、首長としての自覚を問うものや、プロセスの問題を指摘したものを除いて、やはり気にかかるのは、父親の育休取得に対する否定的な意見が散見されたことです。このことは、2009年度に実施された「箕面市民の人権に関するアンケート調査」、および「男女協働参画に関する市民意識」の報告書の内容とも相関関係があるように思います。

この「男女協働参画に関する市民意識」は男女協働参画第5期の計画策定に向けて、第4期の計画推進の結果を検証したものです。

報告書では、男女協働参画に関して、さまざまな課題が挙げられていますが、なかでも
「性的役割分担」に対する考え方については、前回調査のときよりも後退しています。これは2009年度の全国調査との比較、また同じ年に行われた大阪府の意識調査との比較においても、箕面市は性的役割分担を肯定する意識が男女ともに根強くなっていて、この意識の是正という点で後退していることが分かりました。報告書では「性による役割を固定することで男女ともに家庭、職場及び地域における活動を制限されることがないように、固定的性別役割分担意識の解消に向けた取り組みが求められる。」とあります。さきほどの育休の問題とも関連しますが、育休の取得を躊躇させる原因のひととつが、「意識」の問題であることを考えれば、「女性は家庭」「男性は仕事」という固定的な役割意識から、もっと開放されて、しなやかな生き方ができる社会をつくっていかねばなりません。

これまでも、男女協働参画課は様々な取組みを担ってきたと思いますが、この「性的役割分担意識」の肯定が強まっている傾向を、どのように捉えているのでしょうか? さらに、報告書にあるように、とりわけ10代の男性の意識が保守化している傾向をどのように捉えているのでしょうか?

また、男女格差に関する設問では「不平等な扱いを感じている」人が、女性は81.9%、男性77.7%と多く、雇用の機会や働く場、社会の慣習やしきたりなどがネックになっていることがあげられています。報告書では、「現実に置かれている状況に対して不平等と感じる市民は多く、社会の中の慣習や職場等をはじめとして、結果としての平等を実感できるような施策が求められている」としています。

このように、市としてもさまざまな取り組みを行ってきたにもかかわらず、あいかわらず男女の格差は根強く残っています。ということは、やはりこれまでの推進体制を捉え返し、今後の施策に生かしていくために何をなすべきかを真剣に考え、課題化していくべきだと考えます。

具体的に、これまでの推進体制をいかに総括し、今後の課題をどのように抽出していますか?

報告書に提起されている「各項目の仔細な分析と実態の把握、これまでの施策の点検や成果の検証」についてどのように取り組む予定でしょうか? さらに、問題解決に向けて施策の企画・策定・実施についての計画はいかがでしょうか?

報告書によると、人権学習は7割の人々が学校の授業で学んできたとしているが、今回の男女平等に関する意識調査から、まだまだ厳しい現状にあることが分かりました。教育の現場では、どのように総括し、今後どのような取組みを検討しているのでしょうか?

現在、男女協働参画第5期の計画策定が進められていますが、その前提として、第4期の計画をいかに総括しているのでしょうか?成果と課題がどのようになっているのかを明らかにすることで、次期計画に発展的につないでいけると思うのですが、そのような作業は行われているのでしょうか?また、行う予定はあるのでしょうか?

男女協働参画の推進は、男女協働参画課のみで担えるものではなく、全庁的な課題であることは言うまでもありません。各課で、またひとりひとりの職員が、意識を変革し、かつ夫々が担っている仕事のなかでどのような関わりがあるか、どのような課題があるかを真剣に模索し、生かしていくべきであると思います。近頃は行政サービスの窓口業務をはじめ、民間委託が進んでいます。職員の意識調査などを含め、より踏み込んだ解決策、啓発について今後の取り組み方策を問うものです。とくに、職員の人権意識は、男女協働参画を推進するうえでも、大事であると思います。

建前論だけでなく、行政として、暮らしやすい社会を築くために、具体的な政策目標をもっていただきたいと思います。

以上、真摯なご答弁をお願いします。


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