2010年9月議会 討論

市民派ネット 中西とも子

○反対討論

◎第76号議案 第五次箕面市総合計画基本構想を定める件

市民派ネットの中西智子です。
第76号議案「第五次箕面市総合計画基本構想を定める件」に反対の立場で討論します。
この第5次総合計画は2007年から市民会議を立ち上げて、35名の市民と26名のサポートスタッフという庁内公募で集まった市の若手職員とともに、合計61名で活動を開始しました。第4次総合計画の検証を行い、行財政改革や都市計画の学習を重ね、また6つの分科会で議論を積み上げてきました。2008年には「市民と市民会議との意見交換会」を開催し、市民会議で蓄積した成果を参加した市民とも共有し、意見交換するなど、検討成果の拡大再生産をはかりました。そしてさらなる検討を加えて「提言書」案を作成し、パブリックコメントや再び市民との意見交流を重ねながら、さらに練り上げて「提言書」を完成させました。このように第五次総計はその策定にあたり、計画過程を重視した市民参加型の「協働型計画」であり、その意味では大変評価しています。

また、市民意見の把握のあらたな手法を検討するという姿勢や、評価・検証作業において、市民参加で実施するという方向性については評価し、おおいに期待します。

さて、将来都市構想の「総合計画が描く都市イメージ」と将来人口についてですが、構想の人口推計には北急延伸による増加分を加えていないという問題があり、特別委員会においても足し算・引き算の答えが合ってない内容ではないかという意味の指摘がありました。
北急延伸で、船場とかやのを合わせて52,000人の乗降数が見込まれていますが、それが総計の人口推計には反映されていません。また、萱野の現状の自然を守る、というものの、すでに地元の地権者からは、延伸が実現したら畑を処分する話なども聴かれるようになりました。しかし、萱野の自然は現状のまま残す、ということなので、萱野周辺の田畑が建築物に変わらないよう政策的な働きかけがおこなわれるということになります。では、かやの中央の新駅で見込まれている乗降客3万9500人はどこから来てどこへ行くと想定されているのでしょうか。現実的にはありえない構想となっています。
なお、市民会議においては、北急延伸については慎重にという意見もあり、議論されてきた経緯があります。
時代の移り変わりとともに、社会情勢・経済情勢が変化しています。現状を冷静かつ客観的・科学的に分析するなかで、ベターな方針を見出していかねばなりません。北急延伸による副産物、これはメリット・デメリットを検討するなかで、たとえ歴代の市長の主要政策であったとしても、時代にあった政策を選択するという意味で見直しを含めて、市民と丁寧な議論が必要であるということを、強調したいと思います。

さらに、今後の既成市街地の少子・高齢化が懸念されており、とくに単身世帯化対策が重要となってくると思われます。これは住宅・福祉・社会保障の各分野対策と地域のコミュニティー強化、まちづくり支援が必須となります。空き施設など民間のものを含めて、いかに今ある社会資源を活用しながら、きたるべき時代に備えていくかという課題については、具体性に欠けています。上位下達型ではなく下位上達型の新たな地域コミュニティーの醸成に向けた持続可能なまちづくり施策が見えません。中心市街地の活性化策もとおりいっぺんの記述に終わっていています。

第5節の、いわゆる「あらたな公共」にかんする記述について、厳しい財政運営をのりきるために市民参画や協働の理念が活用されています。市民参画や協働をうたいながら、随所に「自己責任論」が見え隠れします。貧困化と格差拡大が懸念されるなかで、効率化がなじまないサービス領域があることにはふれられていません。行政が本来担うべき課題を明確にしたなかで、市民の自律的なかかわりがあるのだと考えますが、残念ながらこの基本構想においては、本来の行政の役割について、市民の幸福の実現と権利を守るという基本的な責務についての行政の主体的な決意がみえません。「市民を安上がりな公共の担い手にする」と揶揄されないためにも、行政は自らが担わなくてはならないミッションについて、つねに意識し、表明しなければならないと思います。

以上、この第5次総計における基本構想について、市民会議で時間と労力をかけて練り上げた「提言書」は、策定会議の過程で変形し、審議会において大きく変更が加えられました。市民会議がこだわってきたあらたな自治のありかたや市民参画や協働の理念はかろうじて残っていますが、構想の中にちりばめられたニュアンスは微妙に違和感が残るものとなりました。

市民意見の把握にあらたな手法を取り入れること、計画の評価・検証を市民参加で行うこと、市民参画を推進するという姿勢は評価したいと思います。しかし、合理性に欠ける人口推計と都市構想、北急延伸計画だけが特化され、北急ありきのまちづくり構想の非現実性と、既成市街地における課題に対応するためのまちづくり計画に具体性がなく、お金の配分を含め、全体的にバランスの悪い内容になっているため、この第5次総合計画基本構想には反対であることを表明しまして、討論といたします。

○賛成討論

◎第80号議案 「箕面市の公の施設における暴力団利益排除のための関係条例の整備に関する条例制定の件

市民派ネットの中西智子です。
通告外ではありますが、第80号議案「箕面市の公の施設における暴力団利益排除のための関係条例の整備に関する条例制定の件」について、簡潔に討論いたします。

この条例の設置目的は、公の施設における暴力団の利益になる利用について排除し、市民生活の安全及び平穏の確保を図る、と説明されています。
暴力団の利益につながることに対しては、全力でこれを阻止しなければならないことはいうまでもありません。全国的にも悪質な暴力団に対して住民・事業者が勇気を出して声をあげています。全国的な流れに連帯する意味で、またその行動を行政が後押しするためにも、本条例の意義があると考えています。
ですから、この条例案に反対はしませんが、看過できない問題があるため、課題提起としてあえて討論させていただきます。

まず、一点目に手続き上の問題があることです。
箕面市個人情報保護条例では、第10条において「保有個人情報の収集目的外利用及び外部提供の制限」について定めてあり、原則禁止となっています。また、目的外利用については箕面市個人情報保護制度運営審議会に諮る必要がありますが、それさえ実施されていません。第86号議案の府営・市営住宅の入居に関する条例改正については警察への情報提供について、(これも問題をはらんでいるのですが)かろうじて「本人の同意」を得ることになっていますが、本条例においては、本人の知らない間に氏名・生年月日・性別などの個人情報が、暴力団ではない市民であっても疑われた場合には、警察へ提供されることが可能となっています。なお、この条例では教育委員会または市長などは「箕面署長の意見を聴くことができる」とあるだけで、公の施設利用者の個人情報を提供することについて具体的な内容は明記されていません。個人の同意がなく、条例にも具体的な部分は明記されていない。審査会にもかられていないので、これでは、箕面市個人情報保護条例に抵触しているのではないでしょうか。

二点目は、「暴力団」の定義が曖昧で、市が主体的に規定できていないことです。
この第80号議案では、暴力団の定義を「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」第2条第2号に規定されている「暴力団 その団体の構成員(その団体の構成団体の構成員を含む。)が集団的に又は常習的に暴力的不法行為等を行うことを助長するおそれがある団体をいう。」としています。これは第2条第3号・第4号・第5号の「指定暴力団」ではないため、「暴力団」にはどのような団体を含むのか、ということが問題となってきます。市の主体的立場において、この「暴力団」の具体的内容について明確化できるならともかく、市は条例でいうところの「暴力団」の定義を「法律に定めるもの」というだけで具体的な運用については、リストの紹介だけでなく条例の適用対象を特定することも「警察にすべてお任せする」というスタンスです。これでは市の主体的立場が問われてしまいます。条例を執行するにあたり、条例に明記されている内容について十分に説明できないということがあってはならないと考えます。

三点目は冤罪を生む可能性や対策についての議論や検討がなされていないことです。警察との覚書も締結されておらず、協議も行われていません。このような状態では市民の人権が守られないばかりか、仮に同姓同名の市民が誤って「暴力団」のレッテルを貼られた場合など、冤罪になったとき、誰に責任があり、市民はどこへ苦情を訴えればよいのかも明確ではありません。

以上、もっと丁寧に検討を重ねたうえで議会に提案していただきたかったと残念に思います。担当部局には課題解決に向けた早期検討・取り組み、および運用については人権に配慮した慎重な対応を切に願っておりますことを申し添え、条例の趣旨の重さを受けとめて、本案には賛成といたします。


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