2009年9月議会 討論

市民派ネット 中西とも子

○反対討論

◎第92号議案 箕面市立市民活動センター条例改正の件

市民派ネットの中西智子です。第92号議案 箕面市立市民活動センター条例改正の件について反対の立場で討論します。

この条例改正案は、理事者の説明によると、これまで市が実施していたNPO補助金事業を来年度から市民活動センターへ移管するというものです。

この移管については、本年6月8日に開催された第1回NPO促進委員会の中で突如、行政側から報告案件として提示されたところ、出席委員からは矢継ぎ早に反対意見や疑問点などの質問で紛糾したため、7月13日に引き続き議論されることになったものです。そしてその場でもさまざまな異論が出たにもかかわらず、十分な合意形成を行わないうちに市は移管計画を推し進め、市民活動センターの募集要項に盛り込んだという経緯があります。これは、議会での議決を待たずに先走りした、議会軽視ともいえる行為です。

また本来ならば市長が促進委員会に諮問し、丁寧に議論をつみ重ねて結論に導くという選択肢があったと思います。しかしそのような手法を選ぶことなく、委員の納得が十分得られていなかったにもかかわらず、拙速に方針決定するなど、合意形成の図り方、プロセスは納得できるものではありません。

さらに残念なことは、情報公開・情報提供に関する市の姿勢です。

7月13日の議事録が本日9月25日現在でも入手できず、市のホームページ上にもアップされていません。委員会開催後、2ヶ月以上経っても会議録が公開されないのは極めて不自然であると言わざるをえません。文教常任委員会の審議資料や、本会議採決のための判断材料となるわけですから、情報公開・情報提供の原則を逸脱していること自体、拙速に移管決定した問題性の一端を如実に物語っています。ちなみに「箕面市民会議」は、昨年(2008年)9月に次期総合計画の策定に向けた提言書をまとめて倉田市長に提出しましたが、そのなかで、審議会などの会議録については、速やかな2週間以内の公表を提言しています。

文教常任委員会では、このNPO補助事業の移管についてのメリットとデメリットについて、市は「市民活動センターがNPOの持続的発展を保障するための中間支援組織としての機能が強化される」ことをメリットとし、またデメリットについては「行政職員とNPO市民との直接かかわる機会が減ってしまう点」であると答弁されました。さらにデメリットの対処法については「協働フロンティア事業」を介してNPOとの接点を確保したい、とも述べられました。

NPO補助事業では2008年度で28件の申請がありましたが、協働フロンティア事業の昨年度の採択はわずか1件であり、今年度も申し込みは2件しかありません。このことは、「協働」の担い手となる団体の育成が、まだまだ途上にあることを示しています。NPO補助金を受けた市民団体からフロンティア事業にエントリーする団体がもっともっと増えて欲しいものですが、これら市民団体の育成支援や「協働」の担い手の発掘など、リアルな現場から行政が遠ざかってしまうということは、実効性のある「市民協働」の実現に向けた努力を行政自らが放棄することにほかなりません。

指定管理者の業務の範囲については、公が行うこと、民が行うこと、公と民が行うことについての仕分けが先に検討されるべきであり、このことに関してはNPO促進委員も「補助金事業という分野については、指定管理者に任せるのではなく、市が行う業務である」と表明しています。

また補助金決定業務とアドバイスを同一主体が実施するのはおかしいと思います。

そもそも文教常任委員会における当初の理事者説明では「NPO補助金を市民活動センターの事業として移管する」と明確に答弁していたのに、質疑を交わすなかで、「指定管理者制度の中で、財政的な支援も実施していただくという業務を位置づけるということだ」という具合に説明内容が変わってきました。場当たり的ともいえる答弁の背景に、行政内部でも十分な検討がなされてこなかったことや、とにかく行政が担当していた補助金事務を指定管理者に委ね、あとはお任せするというような思惑が感じられました。NPO団体を支援・育成する原資がしっかり確保されるのかについても、詳細は今後の検討となっているため、気がかりです。

これからは「市民協働」の時代であると言われて久しいですが、地方自治・住民自治の推進にはこの「市民協働」が不可欠です。

しかし、箕面市において市民と行政の「協働関係」はまだ十分に熟成しているとはいえない状態です。「市民協働」とは、互いの信頼関係が不可欠であり、互いに学び、アイデアを出しながら得意分野において協力しあうということです。その作業を行政が軽視する、あるいは早々に手放してしまっては、真の市民協働は獲得できないでしょう。

また行政とは異なる発想や行動を持つNPOなどと対等の立場で協働することによって、職員は意識改革や、長年の間に培われてきた行政主導体質の改善や見直しの必要に迫られます。だからこそ、協働の担い手、新たな公共の担い手となる市民団体と行政は向き合う場を大切にしなくてはならないのです。市民活動センターに丸投げするのではなく、行政も加わって協働の推進策を検討すべきでしょう。少なくとも、一定の道筋が整うまでは、そうすべきであると考えます。

以上の理由から、本条例改正案には反対の意思を表明し、私の討論といたします。


○討論

◎第101号議案 平成21年度箕面市一般会計補正予算(第5号)

通告外ではありますが、発言通告締切日以降に得られた調査結果により、若干の課題提起を含め討論させていただきます。

この補正予算案(第5号)は、おもに地域情報通信技術利活用推進交付金を財源とする事業です。このなかの「行政情報ネットワーク実証実験基盤システム導入事業」と「学校安全安心システム構築事業」について意見を述べます。

まず、「行政情報ネットワーク実証実験基盤システム導入事業」についてですが、この事業の概要は市が提出した交付金申請書によると、「市民・地域事業者への防災情報提供の一貫性・即時性の確保のために、事業参加者の個人宅等から、市役所イントラネット内のグループウエアや公式ホームページ編集システムを利用可能にするICT基盤を構築する」ための実証実験を行うものです。もっと分かりやすくいうとパンデミックや大規模災害などで自宅を出られない環境下で、被害状況をリアルに共有するために、個人のパソコンに専用のVPNソフトを導入し、既存の庁内イントラネット内には専用サーバを新設することで、イントラネット内に設置したパソコンを遠隔操作し、地域組織内の専門的防災情報を参照・更新できるようにするというものです。実施計画書では、このことにより随時、市のホームページ上で最新の防災情報が提供でき、医療機関や介護施設、学校、保護者・地域の防災組織などとの間で専門情報が共有できるため、横断的な業務継続が可能になるという効果をうたっています。

さて、この事業にパソコン200台を含むシステム機器やソフトウエア、システム構築委託費などで44,938千円の補正予算が計上されています。全額、国の交付金とはいえ、元は住民の税金であり、また事業の管理には人を配置するわけですから、この事業の優先度と規模が適正であるか否かについては、精査が必要です。

そこでまず第一に、緊急時、災害時の業務継続計画などが並行して計画されるなかで、この事業が位置づけられなければ、導入効果が得られないこと。第二に、議会に対する理事者の8月の事前説明では、将来的なテレワークを視野にいれたものであったのが、委員会前の説明資料では災害時対策となっており、事業の目的が不鮮明であること。第三に実証実験は、3ヶ月弱の期間で行われるという計画ですが、その後、どのように処理されるのかが不明であり、参加者に渡したソフトは試験後も使用されるのかも方針が見えていません。実証実験に本当に200台のパソコンが必要なのか、かえって管理の負担やセキュリテー面での不安を抱え込むことになるのではないか、など課題面も多いと考えます。

ゆえに、パソコンが必要最小限の台数で実証実験の結果が得られるシステムに変更すべきではないでしょうか。地方自治体の使命は最小の費用で最大の効果をあげることであることを、今一度思い起こすべきです。

全体的な計画の中で、効果的・最適な事業のあり方を検討、位置づけるべきだ、と考えます。 次に「学校安全安心システム構築事業」についてですが、この事業の概要はICタグ、監視カメラ、オートロックの活用と外壁を高くする改修工事や防犯灯設置などで、安心・安全・見守りシステムを構築するというものであり、国のユビキタスタウン構想のモデル事業として位置づけられている、とのことです。文教常任委員会では、有事の時、不審者情報を警察などに提供できること、監視カメラが抑止力に繋がるという説明がありました。

しかし、一方で、ICタグを活用した登下校時間のメール配信サービスは保護者が民間会社(NTT西日本・中国)と有料で任意契約をおこなう必要があることなど、事業の初期整備費用は無償であっても、実際の運用面では任意とはいえ保護者負担が発生するものであること、その費用負担が厳しい家庭に対しての補助については、市は想定していないため、これから検討しなければならないかもしれない、という曖昧なものでした。さらに、監視カメラの運用に関する取り決めもこれからの検討というアバウトな事業計画であることも明らかになっています。監視カメラやICタグデータの管理・運営など、市民のプライバシーにかかわる問題については、大変重要であるため、市民に対する十分な配慮と慎重な対応、事前のルール作成と周知を徹底させていただきたいと強く要望します。また、委員会では議論になりませんでしたが、ICタグの電磁波が子どもに与える健康被害についても慎重に検討されねばなりません。

さらに、見守りというデリケートで人の温かみを必要とする部分を機械に任せる、機械に頼りすぎることの危険性があります。また学校訪問者に対して、オートロックを活用し、学校が「信頼がおける人物」と規定した人については自動で入校できるようにしたい、とのことでしたが、そもそも「信頼がおける」という規定についても曖昧で定かではありません。また人と人とがお互いに声を掛け合うことで確認し、信頼関係を構築するという、大事な作業についてはその手間を惜しむべきではないことを付け加えておきたいと思います。

監視を強めることで抑止力を期待するよりは、人が寄り添うこと、地域のまちづくりに参画する人々をさらに増やす工夫を重ねることで見守り体制を築くことも検討するべきではないかと思います。青少年を守る会の日頃の活動には敬意を表しますが、さらなる地域づくりのなかで、見守りや安全・安心な社会が構築されるのではないでしょうか。よく知らない大人を警戒するあまり、「おはよう」と声をかけても反応しない子どもたちを増やさないためにも、警鐘をこめて申し上げるものです。

国も地方も厳しい財政状況であることは否めません。今回の交付金の使い方については新政府も事業の必要性と経済効果を十分に吟味するようにというコメントを発表しています。緊急性を要するものに税金を使い、不要不急のものについては見直しをかけるという姿勢を地方からも示していかねばなりません。税金の無駄遣いのツケはいずれ納税者にまわることを念頭に、以上2点の事業につきましては、いくつかの課題提起と提案(要望)を行いました。実施に向けて理事者の前向きな検討を強く要望・期待するとともに、補正予算総体については反対するものではないことを表明し、私の討論といたします。


2009年9月議会報告へ戻る


閉じる

トップページへ戻る