2008年9月議会(2009.09.25) 一般質問

●一般質問

市民派ネット 中西とも子

◎化学物質アレルギーと化学物質過敏症対策について

1項目目は化学物質アレルギーと化学物質過敏症対策についての質問です。

箕面市のシックハウス症候群、化学物質アレルギー、化学物質過敏症に対する認識と公共施設やその周辺などにおける対策、取り組み方針・方向性などについてお尋ねします。

1点目に化学物質アレルギーと化学物質過敏症の定義、そして患者の実態について質問します。

私たちは、さまざまな化学物質のおかげで便利な暮らしを享受しています。住宅建材や家電製品、自動車、衣料や食品、医薬品、文具や化粧品などなど生活の至るところに化学物質が使用されています。しかし、これらが自然環境や生態系、人々の健康に及ぼす影響も深刻な問題となっています。経済や社会の発展と暮らしについて、国や自治体、企業、市民がどのような方向を模索していくのか、大きな課題です。

さて、空気中にはさまざまな有害化学物質が存在するといわれています。この化学物質を浴びることで、人の体内の許容量を越えたときに拒絶反応として発症するのが化学物質過敏症といわれています。

深刻な「環境病」ともいわれ、症状については、目や鼻・のどの刺激感や、息苦しさ、頭痛や倦怠・疲労感、視力低下、腹痛、下痢、湿疹、蕁麻疹、動悸や息切れ、不整脈、思考や集中力の低下、不安・不眠・うつ状態など多種多様です。

なぜ発症してしまうのか、についてですが花粉症の発症の仕組みと同じように、コップに例えられています。花粉症は花粉というアレルゲンを受け入れる体内のコップがいっぱいになった時、発症します。化学物質過敏症も化学物質に触れ続けた結果、その化学物質に対する体内コップが一杯になり、リミットを超えた時から発症すると言われています。多くの場合、一旦発症したら完治は難しく、ごく微量の化学物質に接するだけで、拒否反応を繰り返し示すようになり、あとはできる限り安全な環境を求めながらうまく付き合っていくしかないという状況のようです。

しかし、化学物質アレルギーや化学物質過敏症の実態については、一般的にはあまり知られておらず、多くの患者は増え続ける化学物質と格闘しながら、周囲の無理解のなかで身の置き場のない生活を余儀なくされています。

市はこのような化学物質アレルギーや化学物質過敏症についてどのような認識をお持ちでしょうか?

化学物質過敏症は誰にでも発症の可能性がありますが、原因がわからず苦しむ人も多く、専門家はとりわけ子どもや妊婦に及ぼす影響については危険性が高いと指摘しています。子どもの場合、大人と比較して、室内で体内に入る化学物質の量は少ないけれども、体重1キログラムで比較すると、大人の2倍近くの化学物質を取り込んでいることになり、相応の配慮が必要となってきます。

昨今、堺市におけるシックスクール訴訟(2007年)や県立保土ヶ谷高校の先進的な取り組みなどが報道され、シックハウス対策はやや注目を浴びてきました。しかしながら、たとえば、文部科学省の「学校環境衛生の基準」では検査方法や基準値は示されていますが、判断基準や事後措置については詳しく示されず、運用面においては大半が各自治体の判断に委ねられています。

箕面市では、教育委員会においては一定の取り組みや対応・対策が図られていますが、庁内全体としての課題について、どのように考えているのでしょうか?

市の主要政策のひとつである「安心安全対策」の中にこれらの課題も是非とも位置づけて検討いただきたいと考えますが、いかがでしょうか?

2点目として、国の対応と自治体でできることについての質問です。

化学物質に関する国の法制度は100近くあり、その法律を所管する官庁も経済産業省や厚生労働省、環境省、農水省、国土交通省など多岐にわたっており、しかも相変わらずこれらの所管省庁が縦割りでバラバラ行政であることも地方に混乱をきたしています。省庁の枠組みを超えて一元的に化学物質の総合管理が行えるようになることが望ましいのですが、箕面市ではどのような体制になっているのでしょうか?

先般、「薬剤散布」をめぐって、国の通達を知らなかったことから、化学物質アレルギーや過敏症に対する担当課の情報不足や認識の希薄さ、庁内連絡体制が整っていないなどの問題が明らかになりました。

化学物質に対する住民の環境衛生管理の箕面市の司令塔はどこが担うのでしょうか?各課の情報共有化はどのように図られていますか?また、今後市でガイドラインの作成などは検討されているのでしょうか?

自治体でできる取り組みについて、他市の取り組みも参考にしていただきたいのです、たとえば、人がよく集まる公共施設やその周辺環境における改善策、地域住民・業者への理解を求めるなど、どのような対策を行い、かつ検討されているのでしょうか?

たとえば、投票所など、化学物質過敏症の有権者が入れる環境整備なども必要です。

公共施設のVOC測定と結果の公開、効率的な換気方法、薬剤散布時の告知、消臭・消毒・芳香剤・床ワックスなどの見直し、整髪剤や化粧品などの自粛または呼びかけ、職員の啓発・協力の呼びかけ、市民への啓発等の取り組みについて、自治体がすぐに取り組めることはたくさんあります。

行政と医療の連携や情報収集・提供、相談窓口の開設についてはいかがでしょうか?

環境省は、PRTR制度によってどんな化学物質がどれだけ排出されているのかという情報を誰もが入手できるようにしました。PRTR制度とは個々の物質を規制するのではなく、化学物質の排出に関する情報を公表することにより、国と企業との間で個別の物質規制ではなく、市民やNGO、地方自治体などがそれぞれの役割を果たしていけることを目的としています。まずは、市民が関心を持ち、毎日の暮らしを見直すことができる仕組みを進めていくことが大切です。

化学物質アドバイザー制度や環境カウンセラー制度の活用を提案しますが、いかがでしょうか?

以上、医学的に確率した単一の疾患ではないために、難しい側面があることは否めませんが、発症者は年々増加傾向にあり、各自治体においてさまざまな対策が講じられてきています。ある日突然、誰でも発症する可能性があるため、発症者対策と予防対策はきわめて重要課題です。地球環境にも、人の心身にも良い環境を作ることは、切実な課題です。情報公開、庁内の情報共有をはじめ、箕面市のさらなる前向きな取り組みを期待いたします。

◎公益通報(内部告発)制度について

2項目目に、公益通報(内部告発)制度について質問します。

私は議員になって以来、しばしば市民や業者の方々から、封書やメールで行政を正す内容の通報をお寄せいただくことがあります。その多くは匿名によるものが多く、一つひとつの内容について、通報者からヒアリングをしなければ前に進まないものや、個人のプライバシーに関わるものなど、途中で断念せざるを得ない場合もありますが、議員や議会宛ての「告発」や「公益通報」については、原則的には可能な限り調査しなければならないと考えています。

さて、本年8月にも箕面市議会の各議員に対して、「内部告発」と想定される文書が送付されました。この文書に対する市の扱いをめぐり、若干の疑問点と今後の課題について、公益通報制度の観点もとりいれながら、質問させていただきます。

1点目に、8月に各議員、市長、マスコミ宛てに送付されたとされる文書と市の対応についてお尋ねします。

送付文書の概要は、「職員の家族に仕事を発注するのは、癒着ではないのか」という内容で、新聞の切り抜きや市の関連するホームページのコピー、提供者の資料ほかが添付されていました。ここでは個人を特定する表現は避けて申し上げます。

この件に対し、送付日から数日後に、当該職員が所属する部署より、各議員に対し見解を記した文書の配布と説明が行われました。

その概要としては、箕面市のPRビデオとポストカードの寄贈があったこと、寄贈であり、資金の流れは一切ないため、不正な事実は存在しない、というものでした。そして、即日、担当部は豊中の記者クラブへ赴き、その旨の説明を行ったとのことです。

さて、当該の職員の方は日々精力的に職務を遂行されているように見受けられますし、寄贈であったため、告発文書で指摘された「仕事を発注している」という事実が存在していないことは明確です。しかしながら、この件に対する市の対応について、若干の疑問が残った件について、以下の質問を行います。

まず、適切な手続きのもとで「寄贈」を受け付けたのか、という点です。

市の委託事業ではなく、寄付行為だから問題がない、という論拠は説得性に欠けるのではないでしょうか。「無償」とはいえ、提供者にとっては「宣伝効果」という十分なメリットが得られるという考え方も成り立ちます。提案ビデオの中身を確認した上で、提供を受ける、あるいは辞退するという決定を行うのが通常の手続きではないでしょうか?原部の説明によると、企画書なしの口頭による提案を7月15日に受け、部内で協議のうえ、その翌日の16日に即、受領決定を下し、ビデオ納品当日まで内容チェックを行わないまま、7月24日にビデオとポストカードを受領したとのことです。このとき初めて庁内で内容を確認し、それを翌25日の市のイベントで放映、配布されたということで、やや不自然さが残ります。もちろん市民や企業が好意で市に貢献したいという志を否定するものではありません。要は公平・公正で、原則的な手続きが行われたのか、ということが重要ではないでしょうか?寄付行為ということで、提供者側には、他意がないかもしれません。しかし、受ける側としては、ビデオの中味が箕面市のPRにふさわしい内容になっているか、商店や民間施設、飲食店の紹介に偏りがないか、不適切な表現がないかなどチェック項目を予め明確にしたうえで、提供を承諾するという手続きによる、公平・公正で慎重な対応が必要であったと思います。できあがったビデオは公共の場で何度も放映され、ビデオのエンドには提供者の社名と箕面市のテロップが並列して掲載されています。見方によっては、箕面市がお墨付きを与えて特定業者の宣伝行為に一役買う、とうけ取られる危険性も備えています。誤解を招かないためにも、提供者の好意を受けつつも、一定のルールのもとで透明性と十分な説明ができる状況であることが担保されるべきではないでしょうか?

2点目に、箕面市の公益通報制度が機能しているか、またその課題について質問します。

「公益通報保護法」は2006年に施行され、各地方公共団体において自主的、主体的に通報処理の仕組みを整備することになりました。法令違反行為や不祥事に関しては、見て見ぬふりをするのではなく、声をあげ、問題を把握し、是正することが、長い目で見れば役に立つという意識変革が必要です。また、この公益通報は、公正な社会の実現のために不可欠なものであると言えます。通報者が安心して通報できる仕組みをどのように整備するのか、課題であると考えます。

さて、箕面市の「公益通報制度」は条例で定められていません。

2007年10月1日に「箕面市職員等の公益通報に関する要綱」が施行されていますが、条例ではなく、要綱だけで内部規約をつくったのは何故でしょうか?広島県三次市や長浜市、国分寺市、千代田区などは条例制定しており、千代田区では外部に設置した弁護士などの行政監察員に通報することができるようにしており、通報をしたことにより不利益な取扱いを受けないよう配慮しています。

また、大阪市の公益通報制度では弁護士や公認会計士などの外部委員で構成される「大阪市公正職務審査委員会」が窓口となり、専用ファクシミリ、メール、郵送などで受け付けています。実名通報者には希望すれば、調査結果が通知されますし、また匿名での通報も受け付けています。「大阪市コンプライアンス白書」(2008年)によると、通報者を市民にも拡大し、外部窓口を設けるなど、通報しやすい環境の整備に力を入れています。

さらに多くの自治体で、制度の存在を市のホームページなどで告知し、制度の意義や仕組み、通報件数や調査結果の公表をおこなっています。

さて、箕面市の公益通報制度の実施状況はどのようになっているのでしょうか?また市民はその実施状況をどのように知ることができるのでしょうか?

現行の箕面市の公益通報制度では、窓口が職員課となっており、氏名も明記しなくてはならいため、実際には使いづらい制度となっているのではないでしょうか?

また、職員以外にも、労務提供先の労働者、派遣労働者、取引先の労働者など「外部の職員からの通報」についての整備はどのようになっているでしょうか?あるいは、大阪市のような市民からの通報はどのように整備されているのでしょうか?

これらは重要な課題であるため、先進自治体の取り組みを参考に、箕面市でも制度の見直しや、条例制定など今後に向けて前向きな検討を求めるものですが、いかがでしょうか?

以上、2項目にわたり、理事者の真摯な回答を求めて私の一般質問を終わります。

再質問

ただいまのご答弁に対しまして、再質問いたします。

まず、1項目目の化学物質アレルギーと化学物質過敏症対策については、いささか物足りない思いと今一歩踏み込んだご答弁がいただけなかったことは残念ではありますが、今後、各部局間の情報共有を進めていただくということと、取り組み方策について調査・研究を進めていただく、という姿勢を前向きに受け止めまして、実効性のある施策に取り組んでいただくよう、強く要望いたします。ご答弁は結構です。

2項目目についてですが、まず私が「内部告発と想定される文書」と発言したことに対する情報について逆に質問いただいたことについてですが、ひとつには送付された封筒表書きに「告発書類在中」と記されていたこと、もうひとつは、「告発」の内容が、内部の事情にある程度精通している者が知りえるであろうと推察されることから「想定される」という表現を用いました。もちろん「想定」であるので、確定ではありませんし、私が知り得ている情報というのは、この送付されてきた文書と原部からの説明によるもので、通報者の情報については存じ上げません。

そして、私が今回問題ではないか、と提起しているのは提供者や当該職員ではなく、市の対応についてであり、担当部の情報提供が不十分であることです。私が原部に求めた時系列の説明が色々と脱落していたため、とても不自然な流れに思えました。

これは、つい先週末に明らかになったことですが、15日に市のPRビデオとポストカードの寄贈の申し入れがあり、部内で協議のうえ16日に受領決定を行った、という当初の説明だったものが、実はそれ以前に寄贈に関する打ち合わせが、原課でおこなわれていた、ということです。7日にはすでにポストカードのサンプルコピーが原部に届いており、このカードには市が版権をもつ画像データが使われていました。庁内の稟議が上がるまえに、画像データが外部へ流出していたことになります。このことは、庁内処理がなあなあでアバウトに行われていたことを示していますが、箕面市ではこのような扱いが今回に限らず、常態化されていたのでしょうか?また、このような事実が、当初、寄贈を受けた経緯を時系列に沿って説明を求めたときに伏せられていたのはなぜでしょうか?

何度もも申しますが、市民の善意による活動や寄付を否定するものではありません。重要なのは、公平・公正で透明性のある手続きと公開が為されているか、という問題なのです。たとえ親族であろうがなかろうが、寄付を受ける側の行政側の姿勢や市の財産の取り扱い、情報公開をめぐる対応が問われているのです。

この件に関して、市の見解を求めます。

さらに、公益通報制度のあり方についてです。

公益通報者保護法のガイドラインQ&Aでは、「具体的に通報を受け付ける体制をどうするか、その他、通報処理のあり方をどうするか、または、通報者の便宜を考慮して、総合的に通報を受け付ける体制とするか等について、地方公共団体の実情等に応じて整備を検討していただくことになります」と書かれています。そして、ガイドラインが「参考になると思われる」と書かれているように、ガイドラインはあくまで国が作成した「参考」なのです。地方自治が叫ばれる今日においては、中央からの指示にしたがって体裁だけを整えるのではなく、実効性の高いとりくみを実施すべきであると思います。先進市の取り組みに学び、よい取り組みは大いにとりいれるべきかと思います。

市は職員に対し、この制度をどのように周知させていますか?

また、外郭団体や指定管理者、委託業者など外部の労働者に対して、具体的にどのように説明していますか?

また、この取り組みは職員対象ということで、内規という扱いとなっていますが、たとえば大阪市や三次市にように、積極的に市民の通報も同じような受け付けをおこなっていることについて、どのように評価していますか?

さらに、これらの自治体では匿名での受付を行っていますが、これは法律で保護されているとはいえ、実際に目に見えるかたちでの不利益が実証されにくいこともあることから、専門家の間でも問題視されています。通報しやすい条件を整えてこそ、内部通報が行いやすくなります。悪意のある通報については、精査のうえ適切に処理すればよいことです。

少なくとも、このような通報制度を実施していることを市の広報やホームページでしっかり市民向けに広報すべきであると考えますがいかがでしょうか? 以上、再質問といたします。


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