2005年 2月議会 代表質問要旨


◎「京都議定書」発効にともなう、箕面市のとりくみについて
  「京都議定書」が、採択から七年越しの2月16日に発効しました。難産の末の発効は、国際社会が先送りしてきた多くの課題や問題に対し、多国間が強調による問題解決に取りくんだ成果といえます。やっとスタート地点にたどり着いたのであり、これから地球温暖化防止に向けた環境政策の効力ある実行がもとめられます。
 政府は「京都議定書」発効を受け、2月26日、今国会に提出の「地球温暖化対策推進法改正の概要」を固めました。温室効果ガスの削減目標達成に向け、一定規模以上の企業に温室効果ガスの年間排出量の報告を義務づけ、その内容を公表する、としています。「地球温暖化防止推進大綱」、「省エネ法」の改正等、国や府レベルでの整備を待ってからの検討というのではなく、基礎自治体として今すぐとり組めること、中・長期にわたってとり組まなければならないことなどを明確にしなくてはなりません。多岐にわたる課題について、市民元気クラブとしても本年度の予算要望のなかで様々な提案をおこなったところです。
 庁内エコ化、低公害車推進、環境教育、エコオフィス運動、家庭における省エネ運動、森林整備や植林事業、再生可能エネルギーの導入促進、不法投棄防止などなど自治体として温暖化防止策・環境対策を今後いかに継続・発展させて推し進めるのか。施政方針にあります「先進的な『環境都市みのお』をめざす」という市長の意気込みにおおいに期待いたします。
 まず庁内あげての一大運動としてとり組むことはもちろん、「箕面市地球環境保全行動計画」の実現にむけ、目標や基準を設定し、定期的な評価や罰則規定を盛り込んだ条例策定なども含めどのようにお考えでしょうか?温暖化対策ならびに環境行政をとことん推し進めるという意欲についてお伺いします。

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◎「みのりある情報公開と市民力の強化」について

 藤沢市長は「市政運営の基本姿勢」の第一に「市民の能力、力を最大限に活かすこと」と述べておられます。箕面市がこれから再構築しようとしている市民協働のまちづくりのありかたと、公正・公平・透明度の高い市政運営についてお伺いします。
 まず、そのプロセスとして@徹底した情報公開。都合の悪い情報を隠すのではなく、積極的に公開することで市民と共有化する。A徹底した市民参加がおこなえる環境を整備する。政策の形成過程に市民が参加できるようにし、市民が暮らしを見つめるなかで自分たちのルールをつくろうとする作業を通して、積極的な提言・提案をおこなえるようにするB「まちづくり理念条例」のもと、ビジョンを明確化したうえで、合意形成を図り計画をまとめあげる、ことが重要と考えます。すなわち、市長が提唱しておられる「市民の能力、力を最大限に市政に活かすこと」により行政・市民が協働で政策立案・実現をかちとり、豊かな地域コミュニティを創造することであると理解しています。また、市民参加の経験者は身近なひとたちへ繋げていくことができるため市民参加の拡大再生産が可能となります。
 さて「(仮称)まちづくり市民塾」は生涯教育としての位置づけでしょうか?あるいは成熟した「市民力」育成の場として位置づけられているのでしょうか?市民力の育成と効果的活用についてどのようにお考えでしょうか?
また、本定例会で上程される「公文書公開条例」あらため、「情報公開条例」についてお尋ねします。
 さきほど市民が政策の形成過程から情報を共有し、政策提言がおこなえることの重要性について述べましたが、残念なことに担当課からは意思形成段階の情報公開が為されることはない旨の説明をうけております。「箕面市市民参加条例」の第二条には「この条例において『市民参加』とは、市の意思形成段階から市民の意思が反映されること及び市が事業を実施する段階で市と市民が協働することをいう。」とあります。
 すでに国立市においては2002年に情報公開条例が改正され、意思形成段階の情報も市民に公開されています。「公文書公開条例」制定について先駆的役割を果たした箕面市が他市より後退することの無いよう、再度市長の見解をお願いいたします。
 さらに審議会についてですが、国や各地の自治体議員の間で、特定の団体から選出された代表者が市の事業にお墨付きを与える、という審議会の実態について問題ではないかという議論が提起されています。地域活動や子育て市民、ボランティア、NPOなど幅広い主体の参加で100人委員会などを設置し、行政の視点ではなくさまざまな生活者の視点が必要である、という考えはいまや住民自治の基本となっていますが、この点についてもお考えをお示しください。
 前市政の最大の問題点は情報公開の内容があまりにもお粗末であり、肝心な箇所は「供覧決済していないので文書不存在」などとして市民に公開しない、説明責任を果たさない、市民とひざを突き合わせて語らない、ということに尽きました。藤沢市長は、小学校区ごとに「市民対話集会」を実施し、庁内においては早朝から「おはようサロン」を開くなど、助役不在の激務のなか、市民の声を傾聴し、市政運営に反映させようと日夜奮闘されています。今後とも徹底した情報公開と市民に対する丁寧な説明や対話を期待いたします。
 また、「個人情報保護法」が4月1日から全面施行されますが、住民基本台帳の大量閲覧問題に対し、各市では住民のプライバシー保護の観点からさまざまな工夫がなされています。NPO法人「情報公開クリアリングハウス」の調べでは、申請者が実在する会社の人か否かを法人登録簿などで確認したり、DMの現物などを出させたりする自治体もあるとのことです。
 なんと大東市においては「大東市住民基本台帳の閲覧の制限に関する事務取扱要綱」が本年2月に作成され、営利目的の住民基本台帳閲覧を明確に文書化して禁止しています。もちろん、業者から提訴されれば敗訴することも承知したうえの方針と聞いており、担当課長いわく「市民の利益を一番に考えるのが市役所の務め」と自負しているとのことです。大東市ではこの要綱が作られる以前から大量閲覧を実質禁止していましたが、業者からの提訴は未だ一度もないそうです。さて、箕面市では現状の対応策以上に工夫されるお考えはありませんか?

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◎箕面版・行財政改革について

 自治体をとりまくきびしい情勢のなか、自治体の役割と行政サービスのあり方について再確認する必要があります。自治体のコスト感覚・経営手法が問われる一方、納税者である市民は受益者負担を余儀なくされようとしています。
 1月20日、経済財政諮問会議は、プライマリーバランスの黒字化目標を1年前倒しにし2012年に達成できると発表しましたが、『週間東洋経済2月5日号』は「GDP(国内総生産)成長率が2008年度から3〜4%台と高成長を維持する楽観シナリオ」であり、「『団塊の世代』の大量年金給付を迎える2012年〜2014年度の影響が書かれていない」と指摘しています。その一方で消費税2ケタもやむなしとする増税論が台頭しはじめています。三位一体論の矛盾とひずみのなか、少子高齢化とあいまってますます基礎自治体にしわ寄せがおこり、厳しい財政との対峙を余儀なくされています。
 とりわけ、箕面市の財政においてはこれまでの大規模開発のツケのあおりでどうしようもない状況に追い込まれています。断腸の思いで緊縮財政に踏み込まざるをえなかった市長の心中をお察しいたします。この先人のツケを受け止めなければならない現状の打開策について4点質問します。

(1) 地域の社会資源・キーパーソンの発掘・発展、有効活用について、どのようにお考えでしょうか?独自の産業振興に成功を収めた先行地域の具体的とりくみの経緯・経験と成果研究、共通因子や方策にかんする調査・研究ついて、お示しください。

(2) 徹底してムダを無くすことが急務と思われますが、たとえば議員がかかわる委員会や審議会の報酬見直しについてどのようにお考えでしょうか?また、様々な事業に充てる補助金が効果的に使われるよう、常に「市民の貴重な税金から捻出している」という認識で、使用目的や実績報告書の内容チェック等にあたるべきであると考えますがいかがでしょうか?

(3) 各自治体では地域の事情に即した財源確保の手段として、特区制度を用いた企画立案・チャレンジを果敢におこなっています。「箕面市経営再生プログラム」意外の施策として現状では、承認されていない地域宝くじや地域通貨などにみられるユニークなアイデアを駆使しながら施策に取り入れるというお考えはあるのでしょうか?

(4) 市長は所信表明から一貫して「職員の意識改革」を掲げておられます。長年しみついた感覚を変革していくことは並大抵のことではありません。あえて、課題にあげられ、首長みずからが改革の先頭に立たれようとされていることに敬意を表します。もちろんすべての職員の方々がそうであるとは言いませんが、民間企業出身者のわたくしからみれば市民サービスに対する誠意や創意工夫が希薄であるように感じる局面が見受けられます。また何事も即時に「できない」と結論を出す前に、あらゆる角度からシュミレーションを試みるべきではないでしょうか?従来の慣例から解き放たれた発想と想像力を養っていただきたいし、またその能力を持ち合わせている職員のかたを適材適所に登用していただきたいと思います。
 首長が範を示しユニークな発想・アイデアと豊富な知識、行動力で職員を牽引しリーダーシップを発揮されるようお願いいたします。また今後、職員養成や各分野のエキスパートを計画的に育成することなどは検討されているでしょうか?

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◎すべての世代が安心して暮らせるための施策について
 これまでの質問とも密接に関連しますが、2005年2月に発表された内閣府の世論調査では「物の豊かさ」より「心の豊かさ」を重視する成人が6割をしめたそうです。いまや学校で、職場で、子育てや介後の現場で老若男女を問わず、心の病を抱えた人々が急増しています。あるいは、病にいたらなくても様々な不安をかかえ、将来に対する希望を見い出せなかったり、また自ら命を絶つひとも多くなっています。自然破壊、食生活の破壊、生活環境の破壊や職場でのストレス等、心とからだにダメージを負い、子どももおとなも高齢者も「病んで」います。治安対策をいくらおこなっても、その根本となる問題を解決しないかぎり、人々の不安は払拭できないと考えます。今こそ各世代の人々が安心して暮らせるための施策が必要です。
 以下、5つの点につき質問します。

(1) 各世代を通して「心のケア」が必要であると考えますが、この問題をどのように位置づけ、検討していますか?

(2) 介護保険制度改定にともなう施策について、利用者の負担が増加することについてどのようにお考えですか?また、現場で働く人たちの処遇も非常に厳しいものがあります。良いサービスは良い労働環境から生まれます。先日の石川県かほく市の介後施設内で起きた痛ましい事件も現場の勤務体制に問題があったことも一因であるといえるでしょう。この介護現場の課題についても見解をお願いします。

(3) 「交通バリアフリー基本構想」にもとづく道路整備について、高齢者・車椅子・ベビーカー等の安全対策と移動の確保のために至急、実施されるようお願いいたします。

(4) 子育て支援策について、就労支援(再就職=職場復帰)が望まれるところですが、専業主婦であってもキャリア志向であっても、社会との接点が保障され、子育て期間中の勤務時間の短縮などが制度化されるよう、また男性も同様に育児休暇や時短が制度対象となるよう、まず自治体が率先して実践できるようにしてはいかがでしょうか?

(5) 公の施設の民営化や指定管理者制度の導入で、働くひとの人権や労働条件が著しく損なわれる危険性があります。良いサービスを提供するためにも働く人々が安心して就労でき、ゆとりのある日常を確保することが望まれます。つまり、ゆとりのある暮らしが良い仕事、良い近所付き合い、良い家族や友人関係を築く素となります。そのために箕面市ではどのようなとり組みや配慮が可能でしょうか?

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◎箕面市の平和・人権・国際化について
 今年は敗戦後60年という節目にあたります。施政方針のなかに「再び戦争の悲劇を繰り返さないため、国際社会の恒久平和の実現に向けた事業を実施するとともに、『人権のまち条例』や、策定中の『(仮称)人権のまち基本方針』にもとづき、市民との協働により啓発などの人権施策を推進」とありますように、市長の平和・人権施策にかける意気込みを感じます。
 ちまたでは憲法改正が論議され、世界に誇る平和憲法の精神が形骸化の危機にさらされようとしています。箕面市が憲法の理念をまもり、「箕面市非核平和都市宣言」「平和人権宣言」「箕面国際化推進計画」などなど平和施策・人権施策・国際施策にとりくんできた経緯をふまえ、さらに維持・発展させていくことが重要です。その意味で、憲法理念・精神をはぐくむために策定された「教育の憲法」とも呼ばれる「教育基本法」も守らねばならないことはいうまでもありません。個人は国家のためにあるのではなく、個々人が尊重され、個性が生かされる社会でなければななりません。主権在民の意味をあらためてかみしめたいと思います。
 さきほど、敗戦後60年の節目と申しましたが、3月3日の朝日新聞にヨーロッパ総局長の非常に感慨ぶかい記事が掲載されていました。その記事のなかで、アウシュビッツ解放60周年の1月27日にロンドンのユダヤ博物館で講演したヘレン・バンパーさん(80歳)は強制収用所の生存者や拷問体験者の心のケア一筋に生きてきたひとですが、「私はただひるまずに話しを聞き、彼らが語る真実を抱きしめる証人であろうとしてきました」ハンバーさんは拷問やレイプのために心に傷を負った3万5千人人々に接してきました。そしてこう続けています「それにもし被害者が許しを与えても、それだけではは充分でない。どうしたら将来、悲劇の再発を防げるか。加害者、被害者、がその後も共に問い続けることが大切なんです。事実を否定すれば、同じことが違うかたちで必ず繰り返されますから」
 また、国際化について定住外国人に選挙権を与えようと埼玉県草加市をはじめ3市が構造改革特区に名のりをあげています。箕面市にも定住外国人が多く、歴史的形成過程をふまえれば参政権があたえられるのは当然ですが、これは真の国際化と住民自治の活性化にもつながるものと確信いたしますが、この件についてどのようにお考えでしょうか?

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